
「72歳で英検1級に合格」と聞いた時、「いったいどんな人なのだろう。きっと特別な才能があるに違いない」と考える人は多いでしょう。しかし偉業を成し遂げたその人物は、超人ではなく一般的なシニア男性でした。
今回は江田信久さんの著書『才能やセンスは必要ない 72歳で英検1級とれた人がやっていた独学法』から一部を抜粋し、その平凡な1日をご紹介します。
筆者はオンラインで吃音の改善指導の仕事をしているごく普通の高齢者です。英検1級のために特別な英才教育も、徹夜の猛勉強もしていません。そんな男性が、日々のルーティンの中でどのように合格を掴んだのか。リアルな1日の全貌に迫ります。
なぜ続けることが才能を超えるのか
私には特別な才能があるわけではありません。もちろん、英語に関してもそうです。ただ、ひとつのことを続けられる能力は、人よりも長けているかもしれません。英検1級に合格したあとにお会いした多くの方から、この「続けられる能力」に対してお褒めの言葉をいただきました。自分ではあまり意識していませんでしたが、周りの意見が一致しているので、おそらくそうなのでしょう。
その土台や原動力となっているものは何か。本書の執筆が決まってから、この点について自分なりに分析してみました。大前提となるのは、何に関しても「続けよう」と思っていないことです。無意識のうちにやっていて、結果的に「続いている」のです。
力みはないし、焦りもないし、義務感にかられてもいません。つねに自然体です。ジョギング、犬の散歩、料理、食事、入浴、趣味(おもにギター)、仕事、そして英語学習。毎日同じようなリズムで、同じことを、同じペースでこなしています。
朝起きるのは7時で、すぐに犬を連れてジョギングに行きます。晴れでも雨でもです。走るスピードはゆっくりで、無理はしません。英検1級を目指すようになってから、ここでながら学習を並行しておこなっています。
8時半くらいに家に戻ってきて、シャワーを浴びます。吃音矯正指導の最初のコマは9時からなので、朝食をさっと済ませて仕事の準備をします。ひとコマあたりの時間は70分。午前9時、10時半、正午、13時半スタートなどの時間割です。どのコマがふさがるかはその日によっていろいろです。
夕方からは17時よりレッスンが入り、通常は23時10分まで仕事を続けます。土日を含んで毎日平均5コマ(約6時間)しています。指導のコマが入っていないタイミングでまとまった空き時間があれば英語の勉強にあて、スキマ時間には料理などの家事をしつつ、ながら学習に取り組みます。
コマとコマの間の休み時間は20分(この時間に、掃除や料理をします)。よって全コマびっしり入っている日は、夕飯は2回に分けて、空き時間がある場合は1回で済ませます。
仕事が終わったら入浴。その後に読書などのリラックスタイムを少し挟んで、布団に入ります。平均的な就寝時刻は、0時30分から1時の間くらいです。冬場は早朝に雪かきの作業が入ったり、日曜日は教会に礼拝に行ったりしますが、(日曜日しかレッスンを受けられない人もいらっしゃるので)日曜の午後もレッスンのスケジュールは入れています。
通常の1日の流れはほぼこのとおり。そして次の日を迎え、また同じことを繰り返すわけです。
日常を繰り返すことが最強だった
我ながら、なんの変哲もないルーティーンに感じます。でも、吃音に悩んでおられる方々の助けになっていることが私の喜び。これが日々の原動力となっています。
このルーティーンは23年間変わっていません。これを守ることができているから、何事も継続することにつながっているのかなと思います。
継続は力なり、ということわざは、まさにそのとおりだと思います。一時的に仕事を休み、すべての時間を英語学習に捧げ、短期集中スタイルで一気に頑張ったとしても、おそらく英検1級合格には至らなかったでしょう。
時間の制約があったので2年間はかかりましたが、少しずつ、マイペースで勉強に取り組んできたからこそ、最後までやり遂げることができたのです。
続けることが才能を超えた瞬間。そう表現してもいいかもしれませんね。
江田 信久(えだ・のぶひさ)
山形県在住の73歳。70歳を迎えた際、「何か新しいことをやってみよう!」と一念発起、突如、英検1級を目指して猛勉強を開始する。仕事の傍ら、毎日コツコツと学習を重ね、2年かけて英検1級を取得。その喜びを動画にしてYouTubeにアップしたところ多くの反響を呼び、YouTuberとのコラボ動画にも出演した。現在は、かつて吃音に苦しんだ経験をもとに、「さわやかカウンセリング」にてオンラインで吃音の改善指導をしている。






