暮らしのお金

3カ月で「保険使い放題」の衝撃。数千万円の高額治療も……外国人への甘すぎる医療制度の正体

日本の公的医療保険が一部の外国人に「使い倒されている」現状に警鐘。元内閣官房参与の著者が、高額療養費制度の裏側に潜む問題点を解説します。 ※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

日本の公的医療保険が一部の外国人に「使い倒されている」 ※サムネイル画像:PIXTA
日本の公的医療保険は一部の外国人に「使い倒されて」いる? ※画像:PIXTA

なぜ外国人は「わずか3カ月の滞在で、数千万円もの高額治療が受けられる」のでしょう。善意で成り立つ日本の医療制度が、今まさに崩壊の危機に瀕している理由とは?

元内閣官房参与で数量政策学者の髙橋洋一氏による『60歳からの知っておくべき政治学』は、私たち日本人が自分自身の生活を守るために理解しておきたい財政・税制の仕組みについて分かりやすく解説する人気シリーズ第4弾。

本書から一部抜粋し、国際情勢が複雑化する中で表面化してきた国民健康保険の問題点と制度崩壊を防ぐための具体的な処方せんを紹介します。

<目次>

3カ月滞在で「保険使い放題」

2025年2月、国民民主党の玉木雄一郎代表は「外国人がわずか90日の滞在で数千万円相当の高額療養を受けられるのはおかしい」と言及し、制度の見直しを提言した。

この背景には、日本の国民健康保険制度における外国人加入要件の異常な緩さがある。この問題の原点は2012年、民主党政権下での制度変更にある。

もともと国民健康保険に加入するには「1年以上」の在留資格が必要とされていたが、省令改正によって「3カ月以上」に短縮された。通常、このような制度変更は国民的な合意のもとで行われるべきだ。

閣議なしで変えられた「省令」

しかし、当時はパブリックコメントでも批判が集まったにもかかわらず、厚労省による省令改正という「閣議を伴わない手続き」で実行されてしまった。

米国では、研究者として赴任する際でも、公的医療保険は基本的に利用できず、民間保険に加入することが前提となっている。実際、ビザの発給条件に「民間保険加入証明」が求められることが多く、それがなければ入国すらできない。

公的医療制度は自国民および永住者を対象とするのが世界の常識であり、日本のように3カ月の在留資格で国民健康保険を適用する国は極めてまれである。相互主義に基づき、日本も外国人には民間保険加入をビザ発給の条件とすべきだろう。

公的保険の対象を国民と永住者に限定し、それ以外の外国人には民間保険で対応させるというかたちが望ましい。そもそも、健康保険を不正利用できてしまう構造に問題がある。

不正を防ぐマイナ保険証の役割

一例として、保険証の貸し借りや使い回しが挙げられる。これに対し、マイナ保険証の導入は、顔認証やICチップによる本人確認を可能にし、不正利用の防止に貢献する制度である。

マイナ保険証への批判や抵抗を示す人は、不正利用の余地を狭めることを不都合と感じる一部の層、特に外国人の一部の利用者ではないかという見方もある。

在留期間については、法改正をせずに省令だけで元の1年以上に戻すことはできる。第2次安倍政権下でもこの点は改正されなかったが、それは大きな問題意識が表面化していなかったことが一因と思われる。

近年のインバウンド急増や、短期滞在ビザによる医療目的渡航(メディカルツーリズム)の事例が増えつつあることを踏まえれば、制度の見直しは急務だ。

欧米諸国では近年、移民に対する公的サービス提供のコストが国民負担を上回るとして、受け入れ制限に向けた政策転換が相次いでいる。

日本においても、国民と外国人の間における制度の使い方への意識の乖離が顕著であり、エリート層と一般国民との間で外国人に対する扱いをめぐる意見の温度差が拡大している。

公的医療制度を持続可能なかたちで運営するためには、その対象を明確に限定し、安易に外国人に適用しないという国際的な常識に立ち戻る必要がある。

髙橋 洋一(たかはし・よういち)プロフィール
1955年東京都生まれ。数量政策学者。嘉悦大学ビジネス創造学部教授、株式会社政策工房代表取締役会長。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年に大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(内閣総務官室)等を歴任。小泉内閣・第一次安倍内閣ではブレーンとして活躍。「霞が関埋蔵金」の公表や「ふるさと納税」「ねんきん定期便」などの政策を提案。2008年退官。菅義偉内閣では内閣官房参与を務めた。『さらば財務省!』(講談社)で第17回山本七平賞受賞。その他にも、著書、ベストセラー多数。YouTube「髙橋洋一チャンネル」の登録者数は132万人を超える。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

カテゴリー一覧

All Aboutサービス・メディア

All About公式SNS
日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
公式SNS一覧
© All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます