
人が離れていく人と、応援され続ける人。その違いはどこにあるのでしょうか。その答えは、能力や才能よりも「人との関わり方」にあるのかもしれません。
アジアの財閥や華僑など世界基準の富裕層と深いかかわりを持つ新井亨氏の著書『トップ1%の富裕層が子どもに伝える 世界一のお金の教育』は、彼らから学んだ「富のルール」を伝える一冊。
今回は本書から一部抜粋し、富裕層が「クレクレ人間(もらうことばかり考える人)」と距離を置く理由と、信頼を集める子どもを育てるための共通点について紹介します。
「クレクレ人間」はお金持ちになれない
世の中には、いつも「自分が得をすること」ばかり考えている人がいます。「何かいい情報ない?」 「仕事を紹介してほしい」 「手伝ってくれない?」ということを聞くのに、自分からは何も与えない。
こうした人は、いわゆる「クレクレ人間」と呼ばれるタイプです。クレクレ人間の特徴は、とても分かりやすいものです。常に「もらうこと」を考えていて、自分が得をすることを最優先に考えており、相手の立場や利益をあまり考えない人のことです。
最初のうちは、人の親切に助けられて、一時的に仕事がうまくいくこともあるかもしれませんが、この関係は長くは続きません。なぜなら、人は「奪われる関係」を長く続けたいとは思わないからです。
最初は親切で助けた人も、何度も同じことが続くと、こう思うようになります。
「またお願いされるのではないか」 「今回も何か頼まれるのではないか」 。電話がかかってくると、「どうやって断ろうか」 と考えるようになります。
メールが届くと、「またお願いかな」と身構えるように思われてしまった時点で、その人との信頼関係はすでに崩れているのです。人は、気持ちの良い関係を求めます。一緒にいて楽しい人、お互いに助け合える人、信頼できる人などとは、自然と良い関係が長く続きます。
しかし、一方的に求められる関係は、どこかで終わりを迎えます。あなたの周りにも、きっと思い当たる人がいるのではないでしょうか。いつも何かを求めてくる人、お願いばかりしてくる人、自分の利益の話しかしない人は、短期的にお金を稼ぐことはあるかもしれませんが、それは長くは続きません。
なぜなら、成功には「応援」が必要でありビジネスは一人ではできないからです。仕事を紹介してくれる人や協力してくれる仲間、そして信頼してくれるお客様という人たちの存在があってこそ、大きな成果が生まれるからです。
クレクレ人間は応援されませんし、常に自分の利益を優先しているから最終的にお金も仕事もない状態になります。
「ギブファースト型」に人も仕事も集まる理由
人は、自分のことを考えてくれる人を応援します。相手の成功を願う人、相手の利益を大切にする人、周りの人を大事にする人など、こういう人の周りには、自然と人が集まり、多くの仲間がチャンスを運んできます。
資産を築いている人の多くは、「紹介が自然に集まる状態」を作っています。
普段から自分の利益を優先するのではなく、「この人にとってプラスになるかどうか」という基準で人をつないでいます。「この人とこの人が組めばうまくいきそうだ」と思えば、自分の利益にならなくても積極的に紹介をしていき、相手が困っていれば、自分の持っている情報や人脈を惜しみなく提供する。
その結果、「あの人は信頼できる」 「あの人を通すと良いご縁がつながる」という評価が広がり、自然と多くの人が集まるようになります。すると今度は、周りの人たちがその人に対して、仕事や投資のチャンスを優先的に持ってきてくれるようになるのです。
実際に、このような人は広告費を使わなくても、紹介とリピートだけでビジネスが回り続け、結果として安定した収益と資産を築いています。これは特別な能力ではなく、「先に与える」という行動を積み重ねた結果なのです。
たとえ同じような能力や環境を持っていても、「クレクレ型」 と「ギブファースト型」 で結果が大きく分かれるケースがあります。ある二人の営業担当者の例を紹介します。
一人は、会う人すべてに対して「仕事をください」 「紹介してください」 とお願いをするスタイルでした。もう一人は、「この人にどんな価値を提供できるか」を常に考え、役に立つ情報を伝えたり、相手のビジネスが伸びるヒントを情報共有していました。
短期的には、前者の方が成果が出ることもありますが、時間が経つにつれて、周囲の反応は大きく変わっていきました。クレクレ型の人には次第に連絡が来なくなり、関係も途切れていきます。
一方、ギブファースト型の人には「まずあの人に相談しよう」と声がかかるようになり、そこから大きな案件や継続的な取引につながっていきました。結果として、5年後、10年後には収入だけでなく、関わるビジネスの規模や資産にも大きな差がついていたのです。
これはスキルの差ではなく、「どう人と関わってきたか」 という姿勢の違いなのです。では、具体的にどのようにすれば「ギブファースト型」 になれるのでしょうか。
難しいことではなく、相手にとってプラスになる情報を一つ提供して、誰かの役に立つ人を紹介したり、相手のビジネスが良くなるアイデアを一つ伝えるという小さな積み重ねを続けることです。これを習慣にするだけで、人との関係は大きく変わり、結果としてお金やチャンスも自然と集まるようになります。
華僑が重視する「先に与える」という文化
ここで、著者である新井自身の考え方も紹介しておきます。
私自身も、いわゆる「クレクレ人間」とは付き合わず、仕事もしないと決めています。以前、華僑の友人から「どんな魅力的な取引でも、クレクレ人間とは仕事をするな、名刺はすぐ捨てろ」 と助言されました。
一方的に自分の利益を優先する人とは、人間関係でもビジネスでも、長期的に良い関係を築くことができないから、話をする機会すら持ちたくないという拒絶ぶりです。華僑の世界では、名刺交換の際から「仕事をください」という姿勢の人とは、一切関係を持たず、すぐに名刺をゴミ箱へ捨てるといわれています。
一番大切なのは、「自分は相手のために何ができるか」 を先に考えることです。華僑の人たちは、まず相手にメリットを提供することを徹底しています。
だからこそ、華僑の世界ではお互いに相手の利益を考える企業同士が協力することで、新しいビジネスが生まれ、成功するスピードも非常に速くなるのです。華僑同士が一緒にビジネスをするのは、同じ民族がルーツだからではありません。
お互いが「相手を先に儲けさせよう」と考える文化を持っているからこそ、長期的に安定した関係を築くことができるのです。成功とは、誰かから奪うことで手に入るものではなく、周りの人との信頼関係の中で生まれるものです。
だからこそ、自分のことばかり考えている人は、長く成功することができないという考えを子どもに伝える必要があるのです。つまり、成功を目指すなら、まず自分が与える人になることは、長く豊かであり続けるために大切な考え方なのです。
著者:新井 亨(実業家)
サブスクD2C総研株式会社代表取締役。ARAIインベストメント代表、株式会社Telemarketing One代表取締役。英国ウェールズ大MBA卒業。中国・北京へ留学、現地で富裕層向け美容室事業、貿易事業、不動産事業など複数事業を成功へ導く。2024年には東京証券取引所へ新規上場。サブスク事業などクライアントのマネタイズ実績累計1000億円以上。医療法人理事に就任、「新宿クリニック」「表参道総合クリニック」など経営。国内外の華僑ビジネスにも深く精通、「華僑経営オンラインスクール」塾長。






