定年・退職のお金

退職後に受け取るお金を課税・非課税で整理!退職後1年目の負担を乗り切るためのポイント

この記事では、退職後に受け取るお金の課税・非課税の整理と、健康保険・年金の基本的な考え方を押さえ、退職後1年目を乗り切るためのポイントをまとめます。※サムネイル画像:PIXTA

京極 佐和野

京極 佐和野

50代から考えるライフプラン ガイド

日本FP協会認定 CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、国家資格キャリアコンサルタント、JCDA認定CDAを保有し、マネープランと働き方の両面からアドバイス。人生100年時代の「自分らしく輝くセカンドライフ」実現にむけて、総合的な支援に従事。FP相談は20年以上の実績、研修・講演など活動は多岐に及ぶ。

...続きを読む
退職といっても、早期退職や定年退職、再雇用終了など状況はさまざまです。ただし、どのケースでも共通して悩みやすいのが、退職後に受け取るお金の扱いです。仕組みを知らないと、手取りや社会保険料の負担が重く感じられることもあります。

この記事では、退職後に受け取るお金の課税・非課税の整理と、健康保険・年金の基本的な考え方を押さえ、退職後1年目を乗り切るためのポイントをまとめます。

退職後に受け取るお金を「課税・非課税」で整理する

退職後に受け取るお金は種類が多く、課税・非課税が混在します。全体像を把握することが、手取りの見通しを立てる第一歩です。

退職後の各種給付の課税・非課税、税区分、受け取り方をまとめた表

退職後に受け取るお金の課税・非課税を一覧で整理(筆者作成)

※退職金は企業によって支給時期が異なりますが、税法上は「退職に基因して支給されるもの」が退職所得として扱われます。

このうち、退職金や企業年金の一時金(DB・DC)は退職所得として扱われ、課税対象ではありますが控除が大きく、税額ゼロになるケースも多いのが特徴です。

ここでは、退職所得がいくらになるかの計算式を紹介します。

【退職所得控除の計算式】
勤続20年以下:40万円×勤続年数(最低80万円)
勤続20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

【退職所得の計算式】
(退職金-退職所得控除)×1/2=退職所得

この退職所得に対して所得税・住民税が計算されます。

なお、退職金は支給時に源泉徴収で納税が完了していますので、翌年の住民税や国民健康保険料には影響しません。

退職後の“落とし穴”に備える

次に、退職後1年目に「あとから負担として表れやすいポイント」を見ていきます。

・2026年からの新基準「10年ルール」に注意
退職金やiDeCoの一時金は受け取る時期が近いと、退職所得控除を二重に使えない仕組みになっています。これまでは、受取間隔が5年以上あれば控除の調整を避けられましたが、2026年1月からは10年以上に延長されます。

退職金やiDeCoの受け取り時期は、事前に間隔を確認し、可能であればタイミングを調整しておくことが大切です。

・放置厳禁!企業型DCは必ず移管
企業型DCは、退職後6カ月以内に移管手続きを行わないと「自動移換」となり、資産が現金化されたうえで運用が停止し、手数料も差し引かれます。退職後は次の職場の企業型DCや、個人型iDeCoへの移管手続きを早めに進めておきましょう。

・退職後1年目に届く“後払いの請求”に備える
住民税や国民健康保険料は、前年の所得をもとに計算されるため、退職後も「後払い」で請求が届きます。定年退職などで収入が減ったあとに請求が重なると、負担を大きく感じやすいでしょう。退職後1年目の税金や保険料を見込んだ資金準備が欠かせません。

健康保険と年金の仕組みを押さえる

退職後は、健康保険や年金について自分で選択・確認する場面が増えます。まずは、健康保険の選び方から見ていきましょう。

●健康保険
退職後の健康保険は、次の順で検討すると判断しやすくなります。

①収入が基準内なら「家族の扶養」
保険料の自己負担がなく、年収など一定の基準を下回り、家族の扶養に入れる場合に選択肢となります。しばらく働かない人や、短時間労働の人、フリーランスに向いています。

②扶養に入れない場合は「任意継続」
最長2年、退職前に加入していた健康保険を継続できます。現役時代の標準報酬が低い人は、国保より安くなることがあります。

③単身で前年の収入(所得)が低い、逆に収入が高い場合は「国民健康保険」
国保は世帯の所得に応じた軽減や保険料の上限があるため、任意継続より安くなるケースがあります。

④働く予定があるなら「社会保険のある職場」
雇用条件によってはパートでも加入でき、保険料は会社と折半されます。

※介護保険料は65歳までは健康保険料に含まれますが、65歳以降は市区町村から本人に直接請求されます。扶養でも同じです。

●年金(保険料と受給)
年金は、健康保険とは別に考える必要があります。

国民年金の保険料負担は原則60歳までで、加入期間が480カ月に満たない場合は、65歳まで任意加入できます。老齢年金は65歳から受給が始まり、老齢年金を増やしたい場合は、厚生年金に加入して働くことで、その期間分が将来の年金額に上乗せされます。

一方、働きながら年金を受け取る場合は、給与と年金が合算されて課税されます。また、在職老齢年金は、賃金と老齢厚生年金の合計額が、次の額を超えると年金額が調整されます。

・2025年度は月51万円
・2026年度からは月62万円

知識が退職後の安心をつくる

退職後に受け取るお金は、課税・非課税の違いだけでなく、健康保険や年金、退職のタイミング、働き方によって手取りや負担が大きく変わります。

ただし、全ての制度を完璧に理解する必要はありません。大切なのは、退職金や企業年金の扱い、退職後1年目にかかる負担、そして健康保険と年金の基本的な考え方を押さえておくことです。

事前に知っておくだけで、防げる負担は少なくありません。退職後の生活を安心してスタートさせるためにも、早めに情報を整理し、自分の状況を確認しておきましょう。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品や投資行動を推奨するものではありません。
投資や資産運用に関する最終的なご判断はご自身の責任において行ってください。
掲載情報の正確性・完全性については十分に配慮しておりますが、その内容を保証するものではなく、これに基づく損失・損害などについて当社は一切の責任負いません。
最新の情報や詳細については、必ず各金融機関やサービス提供者の公式情報をご確認ください。

あわせて読みたい

カテゴリー一覧

All Aboutサービス・メディア

All About公式SNS
日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
公式SNS一覧
© All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます