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貯蓄1000万円あったら、老後の心配はどれくらい遠くなる?

老後の心配は、多くの人にあるものです。それでは、貯蓄が1000万円あれば、老後の心配は減るのでしょうか。今回は貯蓄状況によって、老後の心配がどれくらい減るのかをひも解いていきます。※サムネイル画像:amanaimages

西山 美紀

西山 美紀

貯蓄 ガイド

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貯蓄がたくさんあれば、老後の心配は減るもの?

貯蓄がたくさんあれば、老後の心配は減るもの?(画像:amanaimages)

貯蓄がたくさんあれば、老後の心配は減るのでしょうか。

金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯]」(2025年調査)の「老後の生活についての考え方」(金融資産保有額別)のデータを見てみましょう(一部筆者がデータから再計算しています)。

<老後の生活について>
★貯蓄ゼロ…「心配」81.7%、「それほど心配していない」18.3%
・貯蓄100万円未満……「心配」83.3%、「それほど心配していない」16.7%
・貯蓄100万~300万円未満……「心配」87.2%、「それほど心配していない」12.5%
・貯蓄300万~500万円未満……「心配」85.2%、「それほど心配していない」14.8%
・貯蓄500万~700万円未満……「心配」77.9%、「それほど心配していない」22.1%
・貯蓄700万~1000万円未満……「心配」75.2%、「それほど心配してない」24.8%
★貯蓄1000万~2000万円未満……「心配」76.3%、「それほど心配してない」23.7%
★貯蓄2000万~3000万円未満……「心配」58.7%、「それほど心配してない」41.3%
★貯蓄3000万円以上
……「心配」39.4%、「それほど心配してない」60.6%

★印に注目して見てください。「貯蓄がゼロ」から、貯蓄1000万円に到達する「貯蓄1000万~2000万円未満」に増えると老後の心配が大きく減るかというと、そんなことはありません。「心配」な人が81.7%から76.3%と、それほど減っていないことが分かります。

つまり「貯蓄1000万円」になっても、老後の心配が減るわけではないのです。

しかし、貯蓄がさらに増えていくと、「心配」と答える人が減っていきます。「貯蓄2000万~3000万円未満」は58.7%、「貯蓄3000万円以上」は39.4%です。

言い換えると、老後がそれほど心配でない人の割合は、「貯蓄1000万~2000万円未満」では10人に2、3人ほどと少ないですが、それ以上の貯蓄になっていくとどんどん増えていき、「貯蓄2000万~3000万円未満」では10人に4人ほど、「貯蓄3000万円以上」では、10人に6人ほどと、どんどん増えていくのです。

貯蓄1000万円では、老後の心配があまり減らない……それはなぜ?

では、貯蓄1000万円では、老後の心配があまり減らないのはなぜでしょうか。

それは、現役世代なら「住宅ローン返済や、収入の変化などによって、これから大きなお金が出ていって老後資金が足りなくなるかもしれない」と「老後までに、順調に貯蓄が増えていくとは限らない」と思うからではないかと推測します。

現役世代にとっては、貯蓄1000万円は老後専用のお金ではなく、近い将来使うケースが多く、老後資金としては不安がある人が多いでしょう。

一方で、老後が近い人や、まさに老後生活を送っている方は、「貯蓄1000万円では、老後資金としてはまだまだ足りない」と思うからではないでしょうか。

年金についての不安や物価高の不安もありますし、思った以上に長生きをすれば、それだけお金がかかります。医療費や家賃、またマイホームがある方は修繕費などにもお金がかかるため、1000万円では足りないと感じる人が多いかもしれません。

それでも「貯蓄1000万円」は意味がないわけではない

だからといって、貯蓄1000万円では全然足りずに無意味だ、というわけではありません。

年金だけでは生活費が足りないときに補てんに使えますし、医療などの突発的な支出にも備えられます。

生活費がもともと少ない方や、住宅ローンの返済が終わって住居費がほぼかからない方、公的年金に上乗せで準備してきた方、さらに老後にも何かしら副収入がある方は、貯蓄が多くなくても、そもそも貯蓄を取り崩さずに生活できるケースもよくあります。

また、貯蓄0円から、貯蓄1000万円まで増やすことは時間がかかりますが、いったん1000万円に到達すれば、リスクを理解したうえで一部を投資にまわして、お金にも働いてもらって増やすこともできるでしょう。老後間近の方でも、65歳から85歳までだとしても20年間ありますから、じっくり長期投資をすることも可能です。

0円から1000万円に増やすことに比べると、1000万円から2000万円、2000万円から3000万円に増やす方がスムーズなはずです。貯蓄をするスキルもどんどん磨かれていきます。

そう考えると、「貯蓄1000万円」について、老後の心配はそれほど減っていないデータではありますが、2000万円、3000万円と増えれば心配がどんどん減っていくデータもありますので、もう少しのがんばりと言えます。

また、1000万円に到達していない人は、まずは1つの貯蓄額の目標にしてみるとよいでしょう。生活費を見直してスリム化したり、老後に受け取れる年金額を調べたりすることで、不安がどんどん減ります。

そして、1000万円ある方は、改めて生活費のムダをチェックして省きつつ、投資なども一部取り入れながら、無理のない範囲で目指してみることも、老後の心配を減らすことにつながると思います。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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