今回は、老後も安心を手にする人の賢明な行動と、貧乏になってしまう人が陥りがちな行動を比較しながら、退職金の「本当の価値」について考えてみましょう。
一生貧乏になってしまう人がやってしまう「退職金の使い方」
貧乏になってしまう人の退職金を受け取った直後の行動には、いくつか共通したパターンがあると考えられます。●勢いに任せた高額な衝動買い
「長年頑張った自分へのご褒美だから」という理由で、車や高額な家具、最新家電などを退職直後に購入してしまうパターンです。一度財布のひもが緩むと歯止めが利かなくなり、老後の生活費の計算が曖昧なまま、際限なく支出が膨らんでしまいます。
●子どもや孫への線引きのない過剰な援助
かわいいお孫さんや、独立したお子さんを援助したいという気持ちはよく理解できます。しかし、度を超えた援助は、最終的に自身の老後資金を不足させる大きな原因になります。
●目的や計画が曖昧なリフォーム
「老後は快適に過ごしたい」と思い、リフォームを決行しても、計画が甘いと想定以上に費用が膨らみます。本当に必要か、優先順位は適切かなどを吟味せずにリフォームを行うと、後悔が残る結果を招きます。
●投資経験がないのに急にリスクを取る
退職金の一部を運用に回すことは間違いではありません。問題なのは、知識がないまま、勧められるがままに高リスクな金融商品を購入することです。投資経験が浅いと、損を被った際、焦る気持ちが優先して、さらにリスクの高い投資に手を出し、悪循環に陥るケースも少なくありません。
老後も安定を手にする人の「退職金の使い方」
一方で、退職金を「未来の資産」としてきちんと生かせる人には、いくつかの共通する賢明な行動パターンがあります。●「お金の役割」を冷静に考える
退職金を、「これからの生活を支える大切な資金」として扱います。そのため、すぐに使い道を決めたりせず、まずは一度、落ち着いてご自身の家計と老後のプランを徹底的に見直す時間を取ります。
●「生活費」と「余暇費」を明確に分ける
退職金の中から、最低限必要な生活費として確保すべき部分を明確にします。その上で、「楽しみのために使ってもいい分」を別枠として切り分けます。この線引きができる人は、長期的に安定した老後を送ることができるでしょう。
●投資は「自分が理解できる範囲」で始める
焦らず、無理せず、ご自身が商品の仕組みを理解できるものだけに絞って検討します。「大きく増やすこと」よりも、「老後資金は減らさないこと」を最優先にする堅実な視点を持っています。
●全ての支出に優先順位をつける冷静さ
リフォーム、旅行、趣味など、やりたいことがたくさんあっても、衝動的に使うことはありません。「本当に今、最も必要なことか?」「もっと安価な代替案はないか?」と、一度立ち止まって考える習慣があります。この冷静な判断が、お金の寿命を大きく伸ばします。
なぜ退職金の使い方がそんなに大事なのか?
退職金は、多くの方にとって「人生で受け取る最大のまとまったお金」です。その扱い方には、その人が持つお金の価値観、判断力、そして物事を客観視する力がそのまま表れます。まとまったお金を見ると、誰もが一時的に気持ちが大きくなりますが、現実として、退職後の収入は現役時代よりも大きく減るのが通常です。
したがって、「退職金の減り方」は、「老後の安心度」を左右する最も重要な指標になると言っても過言ではありません。
退職金は「未来の安心を買うお金」
退職金は、未来を支えてくれる大切な資金です。勢いに任せて使ってしまえば、数年で消えてしまいます。しかし、明確な目的を持って丁寧に扱い、計画的に運用すれば、20年、30年先の生活を支え続けてくれます。一生貧乏になる人は、「今すぐの満足」のために退職金を使い、一方で老後も安定を手にする人は、「未来の安心」のために退職金を使います。退職金を受け取ったら、数カ月は落ち着いてプランニングする時間を持ちましょう。慎重に行動することが、豊かな老後につながるでしょう。








