バルセロナ/バルセロナの観光・世界遺産

ピカソ美術館、見どころや入場料など/バルセロナ(2ページ目)

【2018年更新】スペインが世界に誇る偉大な画家の一人ピカソは、多感な思春期をバルセロナで過ごしました。バルセロナのピカソ美術館では、世に稀に見る、天才画家の才能が花開く寸前のスケッチなどの作品にも触れることができます。ピカソ美術館の見どころ作品や、開館時間や入場料、アクセスなどをまとめました。

秦 真紀子

執筆者:秦 真紀子

スペインガイド

1899~1901年、アーティスト前衛期

ピカソ

人が大好きで絵を描いているとき以外は常に誰かと一緒にいたというピカソ

この時代には、現実的な描写だったこれまでの作品と明らかに異なる、ピカソが新たなステップを昇ったことが分かる作品が現れます。例えば「カウチ(el deván)」。石炭、パステル、色鉛筆を使ってニスを塗った紙に、19世紀末バルセロナの夜の典型的な様子として、旧市街の食堂で楽しむ男女を描きました。

後にピカソの親友、秘書となった彫刻家、作家のジャウマ・サバルテスの肖像画「退廃的な詩人(Poeta decadente)」も見物。頭にバラの冠を被ったサバルテスを描いた作品です。サバルテスをモデルにした作品は数々ありますが、どれも皮肉やジョークを交えたものだそうで、かなり近しい二人の間柄が伺えます。

1901~1904年パリのピカソ 青の時代

ポストカード

周辺の土産物店にはピカソの絵画のポストカードも並ぶ

1901年にパリで初の個展を開き、その後パリに移住。ピカソが世界に羽ばたく第一歩を踏み出したパリ時代の始まりです。「縁日の小屋(barraca de feria)」は、街中に設置された小さなサーカスの様子ですが、群集の中で手前の女性のみが絵画目線で正面に移っている、遊び心ある作品。

パリ初期の作品はパリの夜をテーマにしたものが多いとあり、「抱擁(el abrazo)」は、ピカソのアトリエがあったモンマルトル地区の自由や奔放さを象徴した、男女の抱擁を描いたものです。

その後は、親友の自殺にショックを受けて青をベースに娼婦やアーティストを描いた、青の時代。バルセロナに展示されているものは比較的明るい色を使っている作品が多いです。例えば「待つこと(la espera)」またの名を「マルゴット」という作品は、ゴッホに影響を受け、黄色が目立つ壁を背景に、華やかな赤い洋服を着た娼婦の画。パリの画廊の展示会に出展し、ピカソが国際的に知られることになった、有名な絵画です。

「演目の最後(el final del número)」は、パリでピカソが虜になったキャバレーの世界を描いたもの。出演者の女性が笑顔で客席に挨拶する様子が描かれています。

1905年~1906年、ばら色の時代

1904年にフェルナンド・オリヴィエと知り合ってから、もの悲しい青の時代から一転、明るい作風に変わりました。「ばら色の時代」といっても、キャンパス全体が青色の作品が多かった青の時代と違って、キャンパスをピンク色でいっぱいにするということはなく、肌の色などほんのりピンクに染まったようなぬくもりが感じられる色調になったということだそう。「カナルス夫人の肖像(retrato de la señora Canals」では、うっすらとピンクに染まった夫人の頬のあたりにばら色の時代が感じられます。

1917年バルセロナ

フランスに移ってからもちょくちょくバルセロナを訪れていたピカソ。その時期に大の闘牛好きで知られる彼が描いたのが「角で突かれた馬(caballo corneado)」。セピア色の布に黒鉛の鉛筆で描かれた死を目前にした馬の絵画です。後にスペイン内戦を描いた「ゲルニカ」の原作となった作品だとか。

「コロン通り(el paseo de Colon)」は、バルコニーから見たコロンブスの塔を描いた作品で、今も昔も変わらないバルセロナの街並みが感じられる作品。

押さえたい作品当館の目玉

登場人物などを縦に配置したベラスケスが描いた原作。ピカソバージョンには、鳩や当時の妻ジャクリーヌもいます

登場人物などを縦に配置したベラスケスが描いた原作。ピカソバージョンには、鳩や当時の妻ジャクリーヌもいます

さて、他の作品に比べ、展示スペースを大きくとって紹介されているピカソ美術館の注目作品は、プラド美術館にあるベラスケスの「女官たち(ラス・メニーナス)」をピカソがアレンジした作品群。一人のモデルをあらゆる角度から捉え1つのキャンパスに収めるという、ピカソが確立したキュビズム法で描いた作品です。とってもカラフルで奇想奇天烈な、私たちがイメージするピカソらしい作品群。

1957年に南仏のカンヌで描いた「小鳥たち(los pichones)」。アトリエの前に広がる景色を描いた爽やかな作品です。

ピカソ老年期と版画

ピカソ

ピカソの死後、当時の妻と元妻一人は自殺してしまったとか

老年期のピカソは、画法の改革を行ったと言われ、作品はさらに複雑で理解しがたい方向へ。「座った男(hombre sentado)」を見れば一目瞭然! 女性のようでも動物のようでもある不思議な人物が主役です。

2008年に増設された版画専用の部屋では、素朴なタッチの作品がたくさん見られます。

なんと98歳まで生きたピカソ、油絵、デッサン、版画、挿絵、彫刻や陶器も含めて4万5000点以上もの作品を残したと言われています。その中でこの美術館で出会えるのはほんのわずか。お見逃しないように!

<DATA>
El Museo del Picasso(ピカソ美術館)
住所:Montcada 15-23 Barcelona(Googleマップ
TEL:(34) 93 256 3000
開館時間:9:00~19:00(木曜~21:30)
閉館日:月曜、1月1日、5月1日、6月24日、12月25日
入館料:11ユーロ(木曜18時~、第一日曜は無料)
アクセス:地下鉄4号線Jaume I 駅徒歩6分
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます