1:『ワン・バトル・アフター・アナザー』2025年10月3日公開
世界三大映画祭のカンヌ、ベネチア、ベルリンで監督賞を制した唯一の監督と言われるポール・トーマス・アンダーソン監督の最新作は、レオナルド・ディカプリオ主演作。元革命家のボブ(レオナルド・ディカプリオ)の娘がある事情により誘拐され、彼が娘を救出するために奔走する物語。誘拐犯はマッチョで変わり者の軍人ロックジョー(ショーン・ペン)。
娘のために必死なのにどこかポンコツなボブと、残酷さとおかしさがミックスされたロックジョーのほか、登場人物全員のキャラが濃くて楽しい! 162分と長尺ですが、最初から最後までずっと大興奮の面白さでした! イチオシの大傑作です。
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
2:『秒速5センチメートル』2025年10月10日公開
新海誠監督のアニメーション作品を松村北斗主演で実写映画化した『秒速5センチメートル』。主人公の小学生&中学生、高校生、社会人の3章からなる作品です。小学生&中学生のときに仲がよかったけれど、転校がきっかけで、連絡を取らなくなった貴樹(松村北斗)と明里(高畑充希)。2人は中学生のときにある約束をしていました。大人になり、その約束の日が来たけれど……。
原作アニメーションの芯を崩さずに、うまく話を広げて物語を着地させていて素晴らしい。そのため、とても切なくて胸をギュッとつかまれる作品に。松村北斗の抑制の利いた芝居、森七菜の切ない思いがにじみ出るような演技、よかったです。
監督:奥山由之
3:『ローズ家~崖っぷちの夫婦~』2025年10月24日公開
1989年の夫婦喧嘩コメディーの傑作『ローズ家の戦争』を、現代にアップデートしたリメイク映画『ローズ家~崖っぷちの夫婦~』。ベネディクト・カンバーバッチとオリヴィア・コールマンという演技派俳優の共演作です。シェフのアイビー(オリヴィア・コールマン)と建築家のテオ(ベネディクト・カンバーバッチ)は、ロンドンからアメリカ西海岸へお引っ越し。人気建築家のテオでしたが、とある大失敗がきっかけでキャリアを失ってしまいます。一方、アイビーのレストランは大人気。やがて2人の夫婦関係に亀裂が……。
100%分かり合える完璧夫婦なんて存在しない。どこか我慢したり、許したりしながら、みんなうまくやっていこうと努力しているのです。しかし、一度怒りが沸点に達してしまうともう止まらない。この2人もそんな感じで夫婦げんかが大暴走! 普遍的な夫婦問題をブラックユーモアで描いた大人のコメディーです。
監督:ジェイ・ローチ
4:『愚か者の身分』2025年10月24日公開
西尾潤の同名小説を北村匠海主演で映画化。新宿・歌舞伎町を舞台に闇ビジネスから抜け出そうとする若者たちの3日間を描いた人間ドラマです。タクヤ(北村匠海)は、半グレ集団に所属し、戸籍の売買で生活費を稼いでいます。彼はマモル(林裕太)を仲間に入れて一緒に活動するように。しかし、ある裏切りをきっかけに半グレ集団のボスに狙われてしまうのです。
闇社会で生きる若者たちの命懸けの日々が生々しく胸に響く。俳優たちが脇役に至るまで全員好演。北村匠海、綾野剛の安定感に加え、メインキャストを務めた林裕太のフレッシュな魅力が本作の大きなキーになっています。必見です!
監督:永田琴
5:『てっぺんの向こうにあなたがいる』2025年10月31日公開
女性初のエベレスト登頂を成功させた登山家・田部井淳子さんの半生を描いた実話ベースの作品。田部井さんを演じるのは吉永小百合。彼女の若い頃をのんが演じています。1975年、エベレスト登頂を目指す田部井さん(吉永小百合/のん)たちの登山チームは、天候に振り回されながらも諦めず登頂を成功させます。しかし、彼女の成功を支えたチームの中には、田部井さんだけが英雄視されることに反発する者もいました。そんな中、彼女は最後まで山を諦めず、地道に活動を続けたのです。
けがでクライマーの夢を諦めた夫(佐藤浩市/工藤阿須加)、有名登山家の息子であることに反発する長男(若葉竜也)など、公私共に問題を抱えながらも、強い心で生き抜いた田部井さん。何があっても諦めず、かつ温かみのある生き様がとても心に染みる良作です。
監督:阪本順治
ほかにも、Netflix作品『ハウス・オブ・ダイナマイト』(2025年10月10日一部劇場で公開/10月24日配信スタート)『フランケンシュタイン』(2025年10月25日一部劇場で公開/11月7日配信スタート)は、限定公開ですが、2025年のアカデミー賞候補に入ってくる可能性が高い力作なので注目です!