内閣府の調査に見る「終活」への取り組み状況
内閣府「令和7年版 高齢社会白書」の中では「今後の生活の中で準備しているもの(全体)」について、60歳以上の男女2188人に聞いており、結果は次のとおりです。●今後の生活の中で準備しているもの(全体)※複数回答 ・準備しているものはない:37.4%
・身の回りの所有物の整理(※を除く):27.9%
・お墓の準備:20.4%
・葬儀の準備:20.4%
・財産の整理(相続の準備等)(※):12.7%
・身近な人へのメッセージやエンディングノート(自身の死後の希望や意思を遺族等に伝える文書)の作成:7.8%
・リビングウィル(終末期医療の指示・介護の希望・代理人に指定等)の作成:3.2%
・その他:3.5%
これより、いわゆる“終活”として想定される準備を進める人は、全体の6割程度にとどまっていることが分かります。
年代別に見る「終活」への意識の違い
さらに、年代別での終活への意識の違いを見てみましょう。●今後の生活の中で準備しているもの(性・年代別、家族形態別)※複数回答 年代別の終活の取り組みについて以下にまとめました。
【60代】
・前半(60~64歳)
男性の57.2%、女性の51.1%が「準備していない」と回答し、まだ半数以上が終活に着手していません。現役を引退したばかりで生活が大きく変化する時期であり、終活そのものを「まだ先のこと」と考えている人が多い段階です。
・後半(65~69歳)
「準備していない」人の割合は、男性45.9%、女性39.2%と減少。徐々に終活への意識が芽生え始め、葬儀やお墓の準備、所有物の整理に取り組む人が増えてきます。
【70代】
・前半(70~74歳)
「準備していない」と答えた人は、男性39.8%、女性34.5%。まだ4割前後が準備をしていませんが、60代よりは確実に意識が進んでいます。
・後半(75~79歳)
男性は38.4%と大きな変化は見られない一方、女性は22.7%と大幅に減少。男性に比べて女性のほうが早い段階から行動に移している様子がうかがえます。配偶者の死別経験や家計管理の中心を担ってきた影響も背景にあると考えられます。
【80代】
・前半(80~84歳)
「準備していない」と回答した人は、男性29.1%、女性18.6%と全体で最も低く、終活意識が最も高まる時期です。特に「葬儀の準備」や「お墓の準備」「身の回りの所有物整理」に取り組む人が増加しており、現実的な備えが進んでいるのが特徴です。
・後半(85歳以上)
一方で、85歳以上になると「準備していない」が再び増加し、男性25.8%、女性31.0%に。すでに準備をある程度終えている人も多い一方で、体力や判断力の低下により新たな取り組みが難しくなる影響も考えられます。
終活は「段階的」に、そして「自分らしく」
終活といえば「お墓や葬儀の準備」を連想しがちですが、実際には所持品の整理やエンディングノートの作成など、幅広い内容を含みます。一度に全てを整えるのは大変なので、年代やライフステージに合わせて少しずつ進めるのが自然な流れです。●60代は「身の回りのこと」から
60代は、まだ「終活は先のこと」と感じる人が多い時期です。大掛かりな準備に取り組む必要はありませんが、
・不要なものの整理
・保険や年金などの書類をまとめておく
といった身近なことから始めるのがおすすめです。体力も気力もあるこの時期に少しずつ進めておけば、後の負担を大きく減らせます。
●70代は「財産や相続の整理」へ
70代になると、より現実的に財産や相続のことを意識する人が増えてきます。
・預貯金や不動産の名義確認
・遺言書の作成や検討
・家族に伝えたい希望の整理
これらのことを準備しておくことで、残された家族が困らず、安心して暮らせる環境につながります。
●80代は「お墓や葬儀の準備が中心」
80代に入ると、調査でも「葬儀やお墓の準備」を進める人が多くなります。自分に合った葬儀の規模や方法、墓地や納骨の希望を具体的に家族と共有しておくと安心です。体力や判断力が十分にあるうちに取り組んでおくと、より自分らしい形を選べます。