暮らしの歳時記

Q.「朝顔は縁起がよくない花」と聞きましたが本当ですか?【歳時記の専門家が解説】

夏を彩る朝顔(アサガオ)は昔から大人気で、七夕とも深く関係する花ですが、「朝顔は縁起がよくない」といううわさも……。その理由を「暮らしの歳時記」ガイド・和文化研究家の三浦康子が解説します。※画像:PIXTA

三浦 康子

執筆者:三浦 康子

暮らしの歳時記ガイド

朝顔は、夏を彩る人気の花ですが…… ※画像:PIXTA

朝顔は、夏を彩る人気の花ですが…… ※画像:PIXTA

早朝に咲く朝顔は、とてもきれいで涼し気。毎朝、開花を楽しみにしながら育てている人も多いと思います。夏を彩る花として、暑中見舞いや夏のイラストの定番にもなっています。
 
そんな朝顔が「縁起のよくない花というのは本当か?」という質問にお答えします。
<目次>

Q.「朝顔は縁起がよくない花」と聞きましたが、本当ですか?

【回答】朝顔は、古くから「縁起がよい」といわれてきた花です。

一方、1日しか咲かない儚(はかな)さや、ツル植物の絡みつく性質から「縁起がよくない」と考える人もいます。受け止め方は人それぞれなので、朝顔が「縁起がよい」理由と、「縁起がよくない」理由を解説します。

朝顔は「縁起がよい」といわれる理由

朝顔は七夕とも関係が深い花 ※画像:PIXTA

朝顔は七夕とも関係が深い花 ※画像:PIXTA

ここからは、朝顔が縁起物といわれる2つの理由について解説します。 

【1. 七夕との深い関係】
朝顔は、別名「牽牛花(けんぎゅうか)」といいます。牽牛は彦星のことです。
 
朝顔が日本に伝来したのは奈良時代末期で、遣唐使が中国から種子を持ち帰り、貴重な生薬として使われました。大事な牛を牽(ひ)いて行き、牛と朝顔の種子とを交換したという中国の故事から、朝顔のことを漢名で「牽牛花」、朝顔の種子を「牽牛子(けんごし)」といいます。
 
七夕の彦星は「牽牛星(けんぎゅうせい)」と呼ばれることから、織姫の「織女星(しょくじょせい)」には「朝顔姫(あさがおひめ)」という異称があります。
 
そして、朝顔はちょうど七夕の頃に開花することから、朝顔の花は織姫と彦星の逢瀬がかなう七夕の縁起物とされ、七夕の頃に各地で「朝顔市」が開かれるようになりました。東京・入谷の朝顔まつり(例年7月6~8日開催)が特に有名ですが、江戸時代に品種改良が盛んに行われて朝顔ブームが起き、江戸っ子を夢中にさせたのもこの地です。
 
【2. 花言葉】
朝顔の花言葉は「愛情」「固い絆」「明日も爽やかに」。ツル性の植物であること、1日を清々しく始める象徴であることに由来します。

色別の花言葉もあります。
浴衣のような模様が入った品種も ※画像:PIXTA

浴衣のような模様が入った品種も ※画像:PIXTA

  • 白:あふれる喜び、固い絆
  • 青:儚い恋、短い愛
  • 紫:冷静、平静
  • 赤:儚くも情熱的な愛
  • ピンク:安らぎに満ちた気分

朝顔は「縁起がよくない」といわれる理由

朝顔のツルとツルが絡み合う様子 ※画像:PIXTA

朝顔のツルとツルが絡み合う様子 ※画像:PIXTA

それでは、縁起がよくない理由などんなものでしょう。
 
【1. 儚さの象徴】
朝顔は、朝咲いて夕方にはしぼんでしまうため、儚い恋や短い愛、報われない思いを連想させ、縁起がよくないとする説があります。
 
【2. 絡みつくから怖い】
ツルがしっかりと巻きつく様子から、「あなたに絡みつく」「離れられない」「執着」「束縛」といったイメージを連想させることもあります。
 

朝顔は夏の風物詩

早朝に咲く朝顔は、すがすがしい一日の始まりを告げ、涼し気な姿で夏を彩ってくれます。
 
儚さに美しさを見い出すか、報われないととるか。ツルが絡みつく様子を固い絆と感じるか、それが怖いと感じるかは人それぞれです。ただ、前向きにとる人が圧倒的に多いので、朝顔は夏の風物詩として人々に愛されてきたのではないでしょうか。
 
<参考>
入谷朝顔まつり」(下谷観光連盟・入谷朝顔実行委員会)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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