野外イベント発 参加型社会を目指す
羽仁カンタさん 64年東京生まれ。A SEED JAPAN理事。ごみゼロナビゲーション事業部統括責任者。 |
ボランティアの役目は、会場内に設置してあるエコステーション(ごみ箱)の後ろに立ち、捨てに来る人にごみと資源の分別を呼びかけること。代わりに分別をやってあげるのではなく、捨てに来た人を文字通り、ナビゲートし、自身で分別をしてもらおうという活動です。
A SEED JAPANは、これを「来場者参加型」と呼び、イベント環境対策プロジェクトとして展開しています。その活動は各地で大きな成果を上げ、特にフジ・ロックでは 参加した海外のアーティストたちから“世界一クリーンな野外フェス”とまで絶賛されるようになりました。
その仕掛け人、A SEED JAPAN理事で、ごみゼロナビゲーション事業部 統括責任者の羽仁カンタさんにご登場いただきました。フジ・ロックへの思い、活動の目指すところなどをうかがいます。
フジ・ロックが世界一クリーンな野外フェスになった理由
留学先のアメリカから帰国し、参加した野外フェスのあまりの汚さに驚いたことが、活動を始めたきっかけだったそう。 |
フジ・ロックは、ごみのないクリーンな野外フェスだと評価されています。それは、羽仁さんを始め、A SEED JAPANの活動によるところが大きいのでしょうか。
羽仁:
僕らがというより、来場者がごみを捨てないから、分別してくれるから、クリーンな野外フェスになったということにつきますね。
1998年からフジ・ロックでのごみゼロナビゲーションの活動を行っていますが、世界で一番きれいな野外フェスと言われるようになったのは、2000年頃からかな。3年間活動した辺りから、参加者のマナーが向上して、意識が変わったと実感できるようになりましたね。
その頃から、フジ・ロックに出演した外国人アーティストから「こんなきれいな野外フェスは欧米でもない」と驚かれたり、音楽ライターの知人から、「アーティストにインタビューしたら『世界一クリーンな野外フェスだ』って言っていたぞ!」なんてことを聞かされたりするようにもなりました。僕は「え? そうなの? 知らなかったよ」(笑)って感じでしたけれど。
それを僕らのおかげと言ってくれる人も多いけど、僕はそうは思っていない。きっかけにはなっているかもしれないけれど、それを実行して、世界一クリーンな野外フェスにしてくれているのはお客さん。ほめるならお客さんをほめてほしいですね。
次ページでは、ロックのスピリットが野外フェスをクリーンにしたというお話を!