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歳末助け合い募金とは?募金の使い道やたすけあい運動のルーツ

赤い羽根共同募金が行う「地域歳末たすけあい募金」とは。年末になると各地で実施される募金活動の一つで、年末の風物詩ともいえます。助け合いが大事なことはわかるけれど、 何に使っているのかご存知ですか?今回は募金のルーツから集められたお金の使い道を解説します。

筑波 君枝

執筆者:筑波 君枝

ボランティアガイド

募金の使い道をきちんと知ろう!

歳末たすけあい募金の使い道

歳末たすけあい募金は、同じ地域に住む人たちが、新しい年を安心して迎えるための活動に使われます


年末になると、各地で行われる歳末たすけあい募金。たとえわずかな額ではあっても、多くの人が賛同することで、大きな力とすることができる募金活動は、互いに助け合う社会を作る源にもなります。協力した方もいることでしょう。

では、その募金どう使われているかをご存じですか?案外、知らなかったりしませんか?募金は誰でも簡単に参加できるボランティアの基本のき。それだけに、その使途をめぐっては、さまざまな言われ方がします。ときには“疑惑”なんて言葉が使われたり……。

「私のお金」が、どう使われているのかを知るのはとても大切なことです。「こういう風に使われるのなら、また協力しよう」と気持ちにもなりますから。「だったら調べてみよう」ということで、その行方を追ってみました。
   

歳末たすけあい募金とは?使途は地域のお年寄りや福祉施設へ

集まった募金は福祉団体、社会福祉協議会、ボランティア団体、そして町内会や自治会に分配され、歳末たすけあい運動に使われます。対象は、ひとり暮らしのお年寄りや障がいのある人、経済的に困っている家庭等はもちろん、一般家庭も含まれます。

使途はひとり暮らしのお年寄りへのおせち料理の配食、障がいのある方や福祉施設を利用される方のためなど、地域の課題やニーズに応じて変わります。ただ、誰もが安心して新しい年を迎えられるような活動に使われる点は共通しています。

歳末たすけあい募金は、直接「○○のために」と使途が決められているのではなく、そこに住む人たちが安心して新しい年を迎えることができるための活動に使われるものなのです。活動の中には、クリスマス会、もちつき大会など自治会が行う地域の行事も含まれていますから、めぐりめぐって募金をしている私たち自身が歳末たすけあい募金の恩恵を受けることもあります。
 

歳末たすけあい募金を集めているのは「赤い羽根共同募金」

歳末たすけあい募金は、赤い羽根でおなじみの共同募金会の事業です。共同募金会は、都道府県単位に置かれ、募金を集めて分配する仲介機関です。仲介機関というとちょっと耳慣れませんが、寄付金をより効率よく集め、必要とするところへ分配していくことが目的の機関です。共同募金会は、大きく分けて3つの募金活動を行っています。
  • 赤い羽根募金
  • 歳末たすけあい募金
  • 災害募金(義援金)

東京都で協力した共同募金は「東京都共同募金会」に集められ、都内各地域や福祉活動を行う団体に分配され、それぞれの目的で使われます。ちなみに、NHKも12月になると「歳末たすけあい募金」と「海外たすけあい募金」を呼びかけていますよね。こちらも、「歳末たすけあい募金」は中央共同募金会に、「海外たすけあい募金」は日本赤十字社に寄付されています。簡単に言ってしまえば、NHKの募金に協力することで、共同募金会のたすけあい募金に協力していることになるわけです。
 

歳末たすけあい運動を支える募金

歳末たすけあい募金のルーツは、第二次世界大戦前から地域の民生委員が中心になって続けている「歳末たすけあい運動」にあります。年の暮れ、生活に苦しんでいる方やひとり暮らしのお年寄りが明るくお正月を迎えるために何ができるかを考え、支援する活動です。助けを求める人に対する見守りや聞きとりを行い、必要とするものを地域で補ってきました。日本の地域社会では、戦前からこうした活動が行われ、今に受け継がれています。

戦後、共同募金会が設立されたことで、その資金を集める募金活動が、「歳末たすけあい募金」となりました。つまり、歳末たすけあい募金は、歳末たすけあい運動という活動を支える資金であると考えるといいでしょう。
 

ひとりじゃないことを伝えるメッセージ

最近は、福祉団体などに金品の贈呈を行うのは減少しているそうです。代わりに、地域で開催する年末行事や障がいを持つ方が働く共同作業所の行事など、より多くの人が参加でき、かつ地域に密着した活動に使われる傾向があります。

こうした行事ごとには地域のつながりを強めると共に、ご近所同士で顔を合わせる場をつくる意味もあります。ご近所がわいわいと楽しむ場にいろいろな人が参加して交流することで、孤立しがちな人に「ひとりじゃないよ」というメッセージが伝わります。

近所にどんな人が住んでいるかわからないような状態では、困ったことが起きてもSOSを求めることは難しいもの。でもなんらかの活動を通じて地域の人たちが交流を持っていれば、緊急時にその人にサポートを求められます。

いざというとき、「助けて!」を言える人が近くにいることほど心強いことはありません。それはお年寄りや経済的に困窮している人だけではなく、そこに住む人たち全員にいえることですよね。それが、安心できる地域づくりにつながっていくのではないでしょうか。
 

私たちの募金の使い道を調べるには社会福祉協議会等へ

では、募金がどう使われているのか知りたくなったら、それを知る方法はあるのでしょうか。中央共同募金会には「はねっと」というデーターベースがありますので、そこにアクセスしてみてください。こちらに、共同募金会に集められた赤い羽根募金の使途が地域ごとに記されています。

たとえば、All About本社があるのは東京都渋谷区。検索してみると2016年度、1年間に1496万1932円の募金が、主に高齢者、障害児や障害者、児童・青少年、そして課題を抱える人などに使われたことがわかります。

もっと細かいことが知りたい人は、募金を管理している団体(社会福祉協議会など)も記されていますので、そこへ直接問いあわせ、説明を受けたり、報告書をもらうなどすればより詳しい情報を受け取ることができます。逆に全国でどんなことに使われているのか、全体像を知りたいという場合は、中央共同募金会の「つかいみち」に紹介されています。
 

募金は安心して暮らす街にするための種

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歳末たすけあい募金は巡り巡って自分に返ってくる


募金詐欺なども多いため、最近は募金は好きではないという人も多いようです。好きではないけれど、近所の人に頼まれたから、あるいは通りがかりに募金活動を目にしたから、「お付き合い」的に募金をする人も少なくないでしょう。「お付き合い」も大切な動機です。そのお付き合いが地域の人がたすけあえる社会を作るための資金になるわけですから。そう考えると歳末たすけあい募金は、安心して暮らすまちを作るための「種」のようなものだと気づかされます。

残念ながら、募金をかたる詐欺が多いのは事実。中央共同募金会でも「詐欺には十分に気をつけてください」と警鐘を鳴らしています。どこで集めている募金なのかに気を配りながら、わずかでもいいので、あなたもその種に協力してみませんか? 

歳末たすけあい募金はインターネット上からも協力することができます。クレジットカードやネットバンク、コンビニからの寄付など多様な方法が可能です。

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