人間関係

「妻がこんな女性だったなんて……」夫を幻滅させた、新居引っ越し時の「妻の問題行動」とは

結婚して新居に越した時、妻の言動に違和感を覚えたという44歳男性。以前は冷静ですてきな女性だと思っていたが、夫婦生活を続けるうちに妻の性質が明らかになっていく。妻を理解したくてもできない男性の悩みは深い。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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引っ越しを機に妻の印象が変わることに……

引っ越しを機に妻の印象が変わることに……

石橋を叩いて渡る人もいれば、石橋の存在すら気付かない人もいる。石橋を叩いたあげく渡らない人もいるし、石橋を叩き壊す人もいるかもしれない。何か物事を行う時、考えて選択、決断に至るまでのスピード感はそれぞれだろう。

ただ、昔から「案ずるより生むが易し」というように、あれこれ考えたところで取り越し苦労になることもある。だから行動することが大事なのだという風潮がある。

シミュレーションばかりする妻

「うちの妻はとにかく慎重派。僕がわりと無鉄砲なタイプなので、落ち着いて慎重な彼女とは補完し合えると思っていた。でも実際に結婚生活をしてみると、慎重という域を超えている。何かをする時、否定的な憶測と予想で潰れてしまうんですよね、妻は」

困惑したようにそう語るケンイチさん(44歳)。3歳年下の妻とは結婚して12年、10歳と7歳の子がいる。

「付き合っている時は、落ち着いていて冷静ですてきな女性だと思っていました。でも結婚して新居に越した時、あれっと思ったんです」

当時は賃貸のマンションだったのだが、上下左右の部屋にはタオルでも持ってあいさつに行こうと話し合っていた。

消えない妻の心配

「ところが妻は、『引っ越しのあいさつってタオルなんかでいいの?』『タオルを差し出して、なにこれという顔をされたらどうする?』『いきなり訪ねていっていいのかしら』『ヘンな隣人が越してきたと思われないかしら』と不安ばかりを口にする。今時、あいさつに来るだけまっとうな人だと思われるよと笑って言うと、『あいさつに来るなんてうっとうしいって思われない?』と。あいさつせずに誰だこいつと思われるよりは、あいさつしてうっとうしいと思われた方がマシだよと言ったら、やっぱりうっとうしいんだ……と。そういう意味じゃないと言っても、なにやら考え込んでしまって。明日にしようと言うんです」

ところが次の日になっても、妻の心配は消えなかった。結局、ケンイチさんは一人であいさつに回った。いっぺんにすませて帰宅すると、妻は「私が行かなかったから変だと思われたんじゃない?」と言いだした。だったら来ればよかっただろと言うと、「でも……」と下を向いている。

「何を言っても、でも、だっての繰り返し。自分で判断して決断する癖をつけた方がいいよと言ったこともあります。面倒になっちゃって少し険悪な感じにもなりました」

その後、子どもが生まれると妻は少しずつ強くなっていった。ケンイチさんはそれを見ながらホッとしていたという。

子どもの意見を聞かない

それでも生活していく上で、妻が何かにつけてケンイチさんの判断を仰ぐのは止まなかった。

「何が不安なのか、どうしてそこまであれこれ考えるのかが僕には分からないから、理解し合うのが大変。最近では、娘がサッカーをやりたいと言いだした時、『女の子がサッカーをやるなんて、うちの両親にどう言ったらいいんだろう』『サッカーでケガをしたらどうしよう』『勉強がおろそかになったら困るわよね』『洗濯物が増えて、乾かなかったらどうしよう』と、もはや妄想としか思えないような言葉が次から次へと出てくるわけです。そういう心配ごと、全部どうでもいいことじゃないかなと言うと、どうして、私のことをバカにしてるでしょって。きみはシミュレーションしすぎる。そこまでやっていたら、なにも始まらない、始められないと思わず説教してしまいました」

子どもがやりたいということはやらせればいい、あとがどうなるかは始まってみなければ分からないし、問題が起こったらその時に解決すればいい。人生、シミュレーションばかりしていたら何もできないよとケンイチさんは言った。

「そうしたら、あなたには計画性がないと。いや、娘の人生だからオレらが計画したって無駄でしょ。そんなやりとりがあって、娘に意志を確認したら、やりたいんだと言うわけです。だったらやればいいよと言いました。あとから妻は『私は反対だって言ったのに。私の意志は尊重されないわけね』と。実際、サッカーをやりたいのは娘なんだから、きみの意志はどうでもいいんだよ、オレの意志もどうでもいい。娘を一人の人間として尊重した方がいいと」

原因は夫婦関係にある?

そうすると妻は、「娘がパパ活したいって言ったら認めるの?尊重するの?」と突拍子もないことを言いだした。もしかしたら妻が、そこまでごちゃごちゃ言うのは、夫婦の関係に不満があるのかもとケンイチさんは考えたという。

「オレに不満があるなら言ってと水を向けたら、『私が何か言っても、あなたはきちんと聞いてくれない。そうなると私はさらにイラッとしてしまう。だから言わない方がいいと思う』って。もうそういうシミュレーションはやめろよと強く言ってしまいました」

常に話が進んでいかない、打開策を伝えても妻は考えを進めようとしないから、彼はいら立つばかりだ。生きていくのが疲れるだけだろうと彼は推測している。

「結局、他からの評価を気にするからそういうことになるんでしょうか。僕には彼女の思考回路を理解することができなくて……」

妻を理解したい、だができない。そんな悲しさも湧いてくることがあるとケンイチさんはつぶやいた。
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