ユヌス氏をもっと知るための2冊
ユヌス氏の関連書籍はこの2冊。全体像を知るには「ムハマド・ユヌス自伝」、融資のシステムや現場の生の声を知るには「グラミン銀行を知っていますか」がおすすめ。 |
ビジネスとして考えれば、新たなるリスクを背負う事業拡大ですが、貧困の解消を目指して、常にチャレンジを続けているのも素晴らしいと思います。ガイドも1998年にユヌス氏が来日された際に、講演会に行きましたが、論理的な手法で社会を大きく変革していることに「こういう人を現代の革命家と呼ぶのだろう」と感銘を受けました。
ムハマド・ユヌス氏をもっと知るために、関連の本は現在2冊出版されています。1冊は「ムハマド・ユヌス自伝―貧困なき世界をめざす銀行家」(ムハマド・ユヌス&アラン・ジョリ著、猪熊弘子訳・早川書房)、もう一冊は「グラミン銀行を知っていますか」(坪井ひろみ著・東洋経済新報社)です。前者はユヌス氏とグラミン銀行の足跡を知るために、後者は、グラミン銀行の詳しいシステムと、それによって貧困を抜け出せた女性たちの実例が、地道なフィールドワークによって集められた生の声として知ることができます。
自伝の翻訳者から、メッセージ
「ムハマド・ユヌス自伝」の翻訳者の猪熊弘子さんは、なんとAll About「幼稚園・保育園」ガイドとしても活躍されています。記事の作成にあたってメッセージを寄せてくださいました。最後になってしまいましたが、紹介させていただきますね。「翻訳本を出版した後で、来日したユヌス氏にお会いしました。にこやかな微笑みを絶やさず、穏やかな口調で話してくださる、とても優しい方でした。
世界で最も貧しいといわれるバングラデシュで生まれ、豊かなアメリカで学んだユヌス氏は、自国の貧しさを救うために何をすればいいか考えに考え、自分がアメリカで学んだ経済学の知識を逆手にとってマイクロクレジットを考え出しました。
働きたい…という気持ちがあっても、誰もお金を貸してくれないために何もできず、貧困から抜け出せない大勢の人々。特に貧しい女性の力を信じて、彼らが貧困から抜け出すための銀行を作り上げたのは、経済学の観点からも素晴らしいと言われています。
今回、ノーベル平和賞を受賞したことで、ユヌス氏とグラミン銀行のスタッフたちの長年の地道な努力が、ようやく世界に知られることになるはずです。日本で唯一のユヌス氏の著書の翻訳者としては、そのことがいちばん嬉しいですね」
実際にお会いしたことがあるなんて、素晴らしい! うらやましすぎです!!
この本を読むと、マイクロクレジットが試行錯誤の上に作られた精密なシステムであることがわかります。ユヌス氏の人となり、そしてグラミン銀行を知るにはとてもオススメです。また、貧困の国というイメージばかりが伝えられるバングラデシュの豊かな文化を知る手がかりにもなるでしょう。ぜひ手にしてみてくださいね。
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