定年・退職のお金

50代が資産を増やすには?増えた人・減った人の違いを解説

「定年退職まであと少し……」50代になると、子育て世帯、単身世帯のどちらも老後資金について焦りを感じることがあるかもしれません。今回は、「家計の金融行動に関する世論調査2024年」(金融経済教育推進機構)のデータをもとに、50代で資産が増えた人・減った人の違いを詳しく解説します。

舟本 美子

執筆者:舟本 美子

おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド

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「定年退職まであと少し……」50代になると、子育て世帯、単身世帯のどちらも老後資金について焦りを感じることがあるかもしれません。退職後の暮らしが現実味を帯びてくる世代だからこそ、資産づくりの総仕上げが求められます。

今回は、「家計の金融行動に関する世論調査2024年」(金融経済教育推進機構)のデータをもとに、50代で金融資産保有世帯のうち資産が増えた人・減った人の違いを詳しく解説します。
50代が資産を増やすには?増えた人・減った人の選択の違いとは?

50代が資産を増やすには? 

50代の金融資産、「増えた人」が約4~5割

まず、50代の金融資産が1年前と比べてどう変化したかを、単身世帯と二人以上世帯に分けて見てみましょう。

●単身世帯
・増えた:41.1%
・変わらない:39.3%
・減った:19.6%

●二人以上世帯
・増えた:47.0%
・変わらない:40.7%
・減った:12.3%

50代では、二人以上世帯の方が単身世帯よりも資産を増やせた割合が5.9ポイント高く、資産が減った割合も7.3ポイント少ないという結果になりました。

単身者は一馬力で生活を支えるため、収入減や出費の影響を受けやすいことが要因と考えられます。一方、二人以上世帯では、老後に向けて共働きで世帯収入を維持・向上させ、その分を資産形成に回せることが強みとなるのではないでしょうか。

「資産が増えた理由」から学ぶ50代の資産形成ポイント

資産が増えた50代の人たちは、どのような理由で資産を増やせたのでしょうか? 単身世帯と二人以上世帯の上位3つの理由を比較してみます。※複数回答

【単身世帯】
・1位:株式・債券の評価額が上昇したから(43.3%)
・2位:配当や金利収入があったから(30.0%)
・3位:定例的な収入から貯蓄する割合を引き上げたから(23.3%)

【二人以上世帯】
・1位:株式・債券の評価額が上昇したから(42.8%)
・2位:配当や金利収入があったから(32.3%)
・3位:定例的な収入が増加したから(27.9%)

単身世帯は、3位に「定例的な収入から貯蓄割合を引き上げた」(23.3%)がランクインしています。これは、「将来のためにコツコツ備えよう」という強い意識がうかがえます。

一方、二人以上世帯では、3位に「定例的な収入が増加した」(27.9%)が入りました。共働きなどで世帯収入を増やし、その分を資産形成に回している人が多いと考えられます。

50代は退職までの時間が限られているからこそ、「運用で増やす」だけでなく、「貯蓄を増やす」や「世帯収入を高める」取り組みも重要だといえます。

50代は何を基準に金融商品を選んでいるの?

次に、資産を増やすために50代が金融商品を選ぶ際に重視している基準を、単身世帯と二人以上世帯で比較してみます。

【単身世帯】
・1位:元本が保証されているから(23.3%)【安全性】
・2位:利回りが良いから(19.2%)【収益性】
・3位:将来の値上がりが期待できるから(18.7%)【収益性】

【二人以上世帯】
・1位:元本が保証されているから(21.2%)【安全性】
・2位:利回りが良いから(21.1%)【収益性】
・3位:将来の値上がりが期待できるから(20.0%)【収益性】

単身世帯・二人以上世帯ともに、「元本が保証されている(安全性)」が1位となりました。50代は役職定年などで給与が減る時期でもあります。また、定年までの期間が短いため、大きな損失を避けたいという意識が強まることが原因として考えられます。

とはいえ、2位と3位には「利回り」や「値上がりへの期待」といった収益性重視する回答が続いており、限られた時間の中で「少しでも資産を増やしたい」という思いもうかがえます。

「資産が減った理由」から見る50代の落とし穴

次に、資産が減った理由を単身世帯と二人以上世帯で比較してみます。※複数回答

【単身世帯】
・1位:定例的な収入が減り、取り崩したから(60.5%)
・2位:株式・債券の評価額が下がったから(9.3%)
・2位:耐久消費財(自動車、家具、家電等)の購入があったから(9.3%)

【二人以上世帯】
・1位:定例的な収入が減り、取り崩したから(36.0%)
・2位:子どもの教育費・結婚費用の支出があったから(32.6%)
・3位:耐久消費財(自動車、家具、家電等)の購入があったから(18.0%)

単身世帯の資産減少の主な要因は、「定例的な収入が減り、取り崩した」(60.5%)が大きな割合を占めています。収入が減る理由は、失業や病気、役職定年などさまざまな要因が考えられますが、単身世帯は二人以上世帯に比べ、支出管理がゆるくなりがちな一面もあります。

収入減に備えるためには、日頃から固定費を見直し、支出をコントロールすることが重要です。加えて、就業規則で可能なら副業やスキルアップを通じて安定した収入源を確保することも、資産を減らさないための有効な対策といえるでしょう。

一方、二人以上世帯では、「子どもの教育費・結婚費用の支出」が2位に入り、子どもの独立前後で大きな出費が重なっていることがうかがえます。さらに、「耐久消費財の購入」も3位に入り、家族のライフイベントや生活環境の変化による支出が資産減少の原因になっています。お金が出ていくことが予想される時期だからこそ、事前に資金計画を立て、無理のない範囲で積み立てや投資を行うことが大切です。

まとめ

50代は、役職定年による収入減や、支出増(子どもの進学・老後に向けた家の修繕・耐久消費財の買い替えなど)が大きく家計に影響する時期です。iDeCoなどの非課税制度を活用し、効率よく老後資金を増やす仕組みづくりを意識することが重要になります。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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