そこで今回は、「家計の金融行動に関する世論調査2024年」(金融経済教育推進機構)のデータをもとに、40代で金融資産保有世帯のうち資産を増やした人・減らした人の違いを解説します。
40代の金融資産、「増えた人」が約5割で「減った人」の約3倍
まず、40代の金融資産が1年前と比べてどう変化したかを、単身世帯と二人以上世帯に分けて見てみましょう。●単身世帯
・増えた:49.1%
・変わらない:36.1%
・減った:14.8%
●二人以上世帯
・増えた:45.4%
・変わらない:39.1%
・減った:15.5%
40代は単身世帯も二人以上世帯も、約半数が資産を増やしています。減った人よりも増えた人の割合が3倍近くあるのは心強い結果です。適切な資産運用や収支管理を意識すれば、40代はまだ資産を増やせるタイミングといえるでしょう。
「資産が増えた理由」から学ぶ40代の資産形成ポイント
資産が増えた40代の人たちは、どのような理由で資産を増やせたのでしょうか? 単身世帯と二人以上世帯の上位3つの理由を比較してみます。※複数回答【単身世帯】
・1位:株式・債券の評価額が上昇したから(53.8%)
・2位:配当や金利収入があったから(39.6%)
・3位:定例的な収入が増加したから(31.1%)
【二人以上世帯】
・1位:株式・債券の評価額が上昇したから(41.1%)
・2位:定例的な収入が増加したから(36.3%)
・3位:配当や金利収入があったから(34.9%)
単身世帯は、株式や債券の値上がり益や配当収入といった「運用の収益性」が資産増加の大きな要因となっています。40代単身者は将来への不安から、積極的な運用で資産を増やそうとする傾向が強いことがうかがえます。
一方、二人以上世帯は単身世帯と同じく株式や債券の値上がり益が1位ですが、2位は「定例的な収入の増加」です。共働きなどで収入を増やすことが、資産を増やすための確実な戦略の1つと考えられます。
40代が資産を増やすために何を基準にしているの?
では、40代は金融商品を選ぶ際に何を重視しているのでしょうか。単身世帯と二人以上世帯の選択基準を比較してみます。【単身世帯】
・1位:利回りが良いから(30.6%)【収益性】
・2位:将来の値上がりが期待できるから(24.1%)【収益性】
・3位:少額でも預け入れや引き出しが自由だから(12.5%)【流動性】
【二人以上世帯】
・1位:利回りが良いから(25.2%)【収益性】
・2位:将来の値上がりが期待できるから(21.9%)【収益性】
・3位:元本が保証されているから(13.2%)【安全性】
単身世帯は、「利回りが良い」「値上がりが期待できる」など、収益性を最優先しています。これは、将来への備えを自分1人で担う必要があるため、「資産を増やすこと」に強い意識を持っているからでしょう。
一方、二人以上世帯も収益重視傾向はありますが、3位には「元本保証(安全性)」が入っており、資産を守る姿勢も見られます。
40代はまだリスクを取れる世代ですが、家族構成によって資産選びのスタンスは異なることが分かります。
「資産が減った理由」から見る40代の落とし穴
次に、資産が減った理由を単身世帯と二人以上世帯で比較してみます。※複数回答【単身世帯】
・1位:定例的な収入が減り、資産を取り崩したから(53.1%)
・2位:株式・債券の評価額が下がったから(12.5%)
・3位:自動車、家具、家電などの支出があったから(9.4%)
【二人以上世帯】
・1位:定例的な収入が減り、資産を取り崩したから(38.0%)
・2位:子どもの教育費・結婚費用の支出があったから(33.9%)
・3位:旅行やレジャー費用の支出があったから(21.5%)
単身世帯の資産減少の主な要因は「定例的な収入が減り、取り崩した」(53.1%)と高い割合を占めています。40代は、順調に昇進、昇給する人もいれば、やや頭打ちになる人もいる時期です。安定収入を確保しつつ、副業やスキルアップを通じて収入を増やすことを視野に入れるとよいかもしれません。
一方、二人以上世帯では、子どもの教育費や結婚費用といったライフイベントの支出が大きく影響しています。これらは避けられない出費のため、早めに計画的な資産確保を進めることが重要です。