盲導犬はほめて育てる
盲導犬は、視覚に障害のある人にとってどんな犬かを、実際の動きを交えながらわかりやすく説明してくれます。 |
ところで、盲導犬の訓練とは、どのように行われると思いますか?
「訓練」という言葉のイメージからか、「厳しくしつけられて盲導犬になるのでは?」と思う方も多いかもしれません。でも、盲導犬を育てる上でもっとも大切なのは「人は信頼できるパートナー」と伝えることです。
たとえば「イレーネ」というイヌに、「イレーネ、ダメじゃないか」とネガティブな言葉をかけ続けていったら、「イレーネ」という自分の名前が悪い言葉に聞こえ、嫌いになってしまいます。逆に「よくできたね、イレーネ」「イレーネ、上手だね」と優しい言葉をかけ続けていけば、「イレーネ」と声をかけられることが喜びにつながります。
だから、訓練の基本は、「ほめて育てる」。温かい言葉をたくさんかけ、「人といることが楽しい!」と盲導犬が思えることが大切なのです。人間の子育てにもちょっと参考になりそうですね。
見学会でもスタッフは「good!」を連発しながら、盲導犬に優しく接していたのがとても印象的でした。そしてどのイヌも、ハーネスを外すと、人なつっこく、なでなでしてあげると幸せそうな顔をしたり、「ここをなでてよ!」とばかりに横になってお腹を見せたりと、人が大好き!モード全開でした。もうその姿がかわいくてかわいくて、メロメロになってしまったガイドです。
目の不自由な人へのサポートとは?
盲導犬を体験中。見学会にはお子さんの参加も目立ちます。こちらの女の子の将来の夢はズバリ訓練士なのだそうです。 |
信号でピタリと止まっていることを見たことがある人もいるかもしれませんが、これも色を見分けているのではありません。周囲の人たちが動き出したり、止まって信号を待っていたりという状況を盲導犬ユーザーが判断しています。だから、赤信号なのに渡ろうすることもあるそうです。そういった場面に遭遇したら、「まだ赤ですよ」と声をかけていけるといいですね。
ちなみに盲導犬への指示は日本盲導犬協会では英語が基本。方言や男性言葉、女性言葉のある日本語だと指示の言葉が不統一になりかねないという考えからです。そして、誰が指示しても、同じような動きをするように教えられています。
勇気や希望をプレゼントしてくれる盲導犬
訓練士学校の授業の様子も見学できます。素敵な仕事です。がんばれ、未来の訓練士! |
盲導犬と歩くことで、動きはとてもスムーズに速く街を歩けるようになります。見学会では、盲導犬の体験コーナーもありましたが、アイマスクをして白杖で歩くのと、盲導犬と一緒に歩くのとでは見ていてもはっきりわかるほどのスピードの差がありました。しかも、1日24時間、ずっと一緒。自由に行動をすることが可能になります。
「いつでも、安心して外出できる」って、当たり前のことのようですが、障害のある人にとってはとても大きな出来事で、精神的にも大きな変化をもたらしてくれます。視覚に障害があることで「外へ行くのが億劫になる」という方も少なくないそうですが、盲導犬と一緒に自由に行動できることで、外へ出ていく勇気や自信、希望も湧いてくるのです。