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新NISA制度つみたて投資枠は約8割がプラス
2024年から始まった新NISA制度では、つみたて投資枠を利用した人の82.8%がプラスとなりました。また、成長投資枠を利用した人も70.2%がプラスとされており、新NISA制度を利用した多くの投資家が好調な結果を得ていることが分かります。 特筆すべきは金融経済教育を受けたことがある人の方が、プラスの割合が高いことです。つみたて投資枠では金融教育経験者の88.5%、成長投資枠では78.1%がプラスであり、これは、投資に関する知識がある人ほど、適切な投資判断ができていることを示しています。新NISA制度の購入資金の中心は預金・給与・年金
新NISA制度を利用する人の多くは、「預金・給与・年金」から投資資金を捻出しており、その割合は74.9%にのぼります。一方で、「旧NISAの保有銘柄の売却資金」は12.8%、「課税口座(NISA以外)の保有銘柄の売却資金」は11.2%であり、単にこれまでの投資資産の売却資金が新NISA制度に充てられたわけではありません。 つまり、これまで投資未経験であった方や投資経験者が新NISA制度をきっかけに新たに資産形成を始め、株式市場に追加で資金の流入が促されていることを示しています。
新NISA制度利用者の4割は年収300万円未満
新NISA制度利用者の年収を見ると「年収300万円未満」の層が39.7%で最も多く、「300万円~500万円未満」の層が27.7%となっています。これは年収が高い人だけでなく、幅広い層で新NISA制度が利用されていることを示しています。 これまで投資は高所得者層が中心と思われていましたが、今回の調査結果では中低所得層の人たちも新NISA制度を活用した資産形成を始めている点が明らかになりました。成長投資枠の購入銘柄は、日本国内株式が48.8%
成長投資枠の購入銘柄のうち48.8%が日本国内株式でした。これにより国内企業への投資が促進され、日本経済の活性化にもつながることが期待されます。つみたて投資枠では全世界株式型インデックス投資信託が人気
つみたて投資枠の購入銘柄では、36.8%の人が「全世界株式(日本を含む)のインデックス型投資信託」を選択しています。また18.5%は「全世界株式(日本を除く)のインデックス型投資信託」を選択しています。 「全世界株式型インデックス投資信託」は、世界全体の株式の値動きを示す指数(インデックス)に連動します。この投資信託は世界中の株に分散投資をしたのと同じ効果が得られるため、投資初心者やリスクを押さえて安定的なリターンを得たい人に人気があります。また、つみたて投資枠は長期的な資産形成が目的のため、インデックス型投資信託は最適な投資先と言えそうです。
1銘柄も売却していない人が多く、中長期の利用が定着
2024年中に新NISA制度で1銘柄も売却しなかった人の割合は、つみたて投資枠で83.2%、成長投資枠で75.3%でした。これは、新NISA制度の非課税メリットを活かした中長期投資を考える人が多いことを示しています。 投資初心者だけでなく投資経験豊富な方にも「株や投資信託は頻繁に売買するのではなく、じっくり長期保有することが重要」という考えが広まりつつあるのかもしれません。まとめ
制度開始から1年が経過し、新NISA制度を利用した多くの投資家の資産が、プラスとなったことが明らかになりました。特につみたて投資枠を利用した人のプラス割合は約8割であり、つみたて投資の有用性が明らかになりつつあります。また、金融経済教育を受けた人ほど利益を出している割合が高いことから、正しい投資の知識を身につけることが成功のカギであることも分かります。
新NISA制度の最大のメリットは、値上がり益や運用益が無期限で非課税になる点です。通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、新NISAを活用すれば、得られた利益をそのまま資産として積み上げることができます。
つみたて投資枠では長期・分散・積立投資が可能であり、初心者でもリスクを抑えながら安定的に資産を増やしやすい仕組みになっています。
また、成長投資枠では好きなタイミングで個別株にも投資できるため、幅広い投資戦略をとることが可能です。つみたて投資枠と成長投資枠を組み合わせて自分の投資スタイルに応じた運用ができる点も、新NISAの魅力といえるでしょう。
日々の値動きに一喜一憂することなく、新NISA制度を利用した中長期的な資産形成をお勧めいたします。
〈参考〉
・日本証券業協会 新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)