子どもと全力で向き合う
全力で向き合うと言っても難しいことではない。まず遊びから始めればよいのだ。子どもが小さい内は能力で親が上回るために手加減してやるだろう。だがそれを悟られてはならない。本気で相対していないと子どもはすぐに気づいてしまう。だから親が本気で面白がりながら遊ぶと良い。親が真剣に楽しんでいれば子どもは一緒になって本気になれる。本気で向き合うことが将来の親子の絆を太くする助けとなる。
例えば親子でかけっこをする。幼児や小学校低学年なら親の方が速いだろう。それなら子どもを咲きにスタートさせたり、スタートラインをゴールに近づけたりしてハンディをつける。その代わりに全力で走ることだ。ゴール寸前まで勝敗が分からない真剣勝負の機会を作ってやる。わずかな差で子どもが勝ったときに子どもの目の輝きを見て欲しい。そうしたら親は本気で悔しがるといい。
トランプや将棋のゲームでも同じことが言える。トランプならば初回に配る札の枚数に差をつけたり、親が飛車落ちなど駒を少なくして対戦するのだ。その代わりに本気で対戦する。こうすれば子どもの実力が上がるにつれハンディが目に見えて減るのが分かるし、それがモチベーションにもつながる。わざと負けてやる必要もなく、一石二鳥の遊び方ではないだろうか。
思春期にやってはいけないこと
子どもの友だちは絶対にけなさないこと |
あいにく親の眼鏡にかなう友だちばかりでないのが普通で、「あの子とは付き合って欲しくないのだけれど」と親が思うような友だちも出てくる。でもそれを自分の子どもの前で決して言ってはならない。「○○ちゃんとはあまり一緒に遊ばない方がいいと思うけど」と口にした瞬間に、親は自分の味方ではないと決めつけられてしまうだろう。
ではどうやって望ましくない友だちを遠ざければ良いのだろうか。実はとても参考になる本がある。おすすめ書籍で紹介している「ナゲキバト」だ。
この中で主人公ハニバルは隣家に引っ越してきたチャーリーと親友になるが、だんだんチャーリーは悪さをするようになる。しかしハニバルの祖父ポップは決してチャーリーをけなしたりしない。ポップはあくまでチャーリーと一緒にハニバルがしでかしたことを通じて物事の善し悪しを伝えていこうとする。
ハニバルはチャーリーにそそのかされて質の悪いイタズラをするのが嫌になり、次第にチャーリーから離れていく。小説ではそれだけで済まないのだが、これはとても示唆に富んだ話ではないだろうか。
もしポップが「チャーリーは悪い子だから一緒に遊ぶのはおやめ」とハニバルに言ったなら、かえって反発して悪事がエスカレートしていたかも知れない。子ども自身が自分の価値観で友人を選ぶようにし向けたポップは素晴らしい。
以上ように、子どもの人格を尊重し、全力で向き合い、友だちをも合わせて認める態度を貫けば、後々成長しても親子の断絶とは無縁でいられるだろう。親と子であっても、人としての信頼関係を創り上げる努力を惜しんではならない。
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