コーチングのスキル<質問する>
二つめのスキルが「質問する」だ。ただ質問するのではなく、自分自身に問題の本質を気づかせるような質問のことだ。前ページの会話では*3の「みんなもできなかったのかな?」という質問で、予習をやってきた生徒の存在に気づかせる。その質問により、*4の「僕もそうすればよかった」という本来あるべき姿に気づかせることができたのだ。また質問する時は「プロセス質問」となるように心がける。プロセス質問とは「はい、いいえ」では答えられない質問のことだ。つまり質問の中に質問者が正解または不正解と思う選択肢を取り上げて「はい、いいえ」で選ばせるような質問はしないようにする。
*3で「昨日は時間があったんだから、昨日やればよかったでしょ?」と聞いてしまっては、子どもはぐうの音も出ずお手上げだ。これでは「あるべき姿」を押しつけられたとしか感じられない。あるべき姿と上手くいかなかった時との違いに気づかせ、どう行動すれば良かったかを自分で発見するように導くのがコーチングなのだ。
子供は認められて伸びる |
付け加えると、やる気を出させるために子どもをほめる必要があるが、その際は主体的にほめることだ。「今度のテスト82点だったの。すごい。」というほめ方よりも「一生懸命頑張ってたもんね。お母さん(お父さん)うれしいよ。」と「自分が」喜んでいることを伝えた方がより良いほめ方だ。結果よりもプロセスを認めてやりたい。
このように自分で気づくことにより、勉強を「やらされている」という状態から「自分からやる」という状態に近づけることができるのではないだろうか。中学受験で多くの成功例は本人がやる気になったことにある。少しでも早くやる気を引き出すことが、周囲の大人の役割に違いない。
◆関連記事
論理的思考力を養うロジカル・シンキングとは