堂本剛さんは心地よくて不思議な空気感の人
――森崎さんが演じるモーは、コンビニ内で堂本剛さんとのシーンがほとんどでしたが、堂本さんとの共演について教えてください。森崎:俳優としての堂本剛さんと対峙(たいじ)するのは初めてだったので、どんな感じなのか想像がつかず「緊張で話せなかったらどうしよう」など、少しネガティブになっていたのですが、撮影現場に行ったら、スッと静かにその場にいらっしゃって。話しても話さなくても関係ないような心地良さがありました。すごく穏やかで不思議な空気をまとった方でしたね。
――堂本さんとの共演を経験して、刺激になったこと、学んだことはありますか?
森崎:たくさんあります。剛さんがワンシーンごとに荻上監督とじっくり話し合って撮影に臨んでいる姿が印象に残っています。撮影するシーンの沢田の気持ちや在り方などを必ず監督と共有していました。自分の中だけで解決せず、監督と話し合って、納得して演じることの大切さを改めて学びました。 ――完成した映画を見て、いかがでしたか?
森崎:本当に素晴らしかったです。脚本を読んだときには、映像が想像できなかったのですが、完成した映画を見て、荻上監督の描く世界に堂本剛さんの魅力が加わって、唯一無二の世界が作り上げられていると思いました。今までに見たことのない作品ですし、荻上監督と堂本剛さんのケミストリーが素晴らしい作品だと思います。
スピルバーグ監督から贈られた言葉
――キャリアのことについてもお話を聞かせてください。森崎さんは芝居だけでなく、歌手の分野でも活躍されてきましたが、2018年、スティーヴン・スピルバーグ監督作『レディ・プレイヤー1』でハリウッドデビューをしたときは衝撃でした。森崎さん自身、あの作品からキャリアの変化は感じますか?森崎:そうですね。『レディ・プレイヤー1』に出演して、森崎ウィンという名前を広く知っていただけましたし、海外の映画業界に対しても、僕みたいな俳優が日本にたくさんいることを知っていただける機会だったと思います。ハリウッド映画に出演するなんて機会は、人生で何度もあるわけではないので、本当に貴重な経験でした。
クランクアップのとき、スピルバーグ監督に「俳優の仕事を続けて。英語をもっと勉強して、また撮影現場で会おう」と言われたことが忘れられません。「僕はこの世界に向いているんだ」という自信になりましたし、自分の頑張り次第なんだと。スピルバーグ監督が背中を押してくれたんだと思います。
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