高齢者が感じる自分が要介護になった場合の経済的不安とは?
公益財団法人生命保険文化センターが行った「2023年度ライフマネジメントに関する高年齢層の意識調査」において、介護を受けていない高齢者に対して、自分が要介護状態になることへの経済的不安について尋ねています。その結果は、以下のとおりです。●自分が要介護状態になったときの経済的不安 画像より、「不安感がある」と答えた人が65.9%、「不安感がない」と答えた人が33.1%となっています。
男女別では、特に差はみられません。しかし、年齢別にみると60~69歳の場合、「不安感あり」と答えた人が72~74%と高くなっています。一方、「不安感なし」と答えた人で高い割合を示したのは80~89歳の層で41~45%となっています。意外ですが、年齢が高くなればなるほど、要介護状態になることへの不安感が低くなっているようです。
●介護保障の準備状況はどうなっているの?
同調査では、さらに高齢者がどのように介護資金を準備しているかについても尋ねています。その結果は、次のとおりです。
上位5つを以下に挙げます。※複数回答
・1位:預貯金「64.6%」
・2位:生命保険「50.2%」
・3位:損害保険「16.1%」
・4位:共済「10.9%」
・5位:不動産の売却や賃貸「7.9%」
介護状態に対しては、預貯金、生命保険で備えるというのが多くの人の考えのようです。
年齢別にみると、「預貯金」の割合は、60代、70代、80代は60~66%です。90歳以上になると預貯金の割合は最も多い77.6%となっています。
一方、60~64歳は、「生命保険」で備えている人が58.7%と最も高くなっています。その後年齢層が高くなればなるほど、割合が低くなっていきます。
必要となる介護費の目安とは?
生命保険文化センターが行った調査で、介護経験がある人にどのくらい介護費用がかかったのかを聞いたところ、介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、住宅改造や介護用ベッドの購入費など一時的な費用の合計が平均74万円。毎月の介護費用は平均8万3000円です。なお、介護を行った場所別に介護費用(月額)をみると、在宅では平均4万8000円、施設では平均12万2000円です。
さらに、介護を行った期間(現在介護を行っている人は、介護を始めてからの経過期間)は平均61.1カ月(5年1カ月)です。
これより、もし介護状態になったとき、1人当たりに要する介護費用の目安は約580万円となります。
参照:公益財団法人生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」
高齢者が要介護に備えるには?
介護には平均で約580万円の費用がかかるとされており、預貯金や生命保険などで計画的に備えておくことが大切です。特に、老後の生活資金を確保しながら介護費用を準備するためには、使い道を決めた貯蓄を分けて管理するなど、計画的に資産を運用することが重要になります。また、経済的な準備だけでなく、介護が必要になったときにどこに相談すればよいのか、利用できる介護サービスにはどのようなものがあるのかを事前に調べておくことも大切です。早めに情報を集め、家族とも話し合っておくことで、いざという時にスムーズに対応できるでしょう。
要介護にならないために、健康維持を心がけよう
高齢になれば介護が必要になる可能性は高いですが、そうではない方も多くいます。日々。健康維持を心がける生活をしましょう。具体的には、旬のものを中心としたバランスの良い食事を取る、定期的な運動で足腰や心肺機能を維持する、定期的な健康チェックをする、良質の睡眠を取るなどが挙げられます。健康であれば介護のリスクを減らすことができ、医療費や介護費用も抑えられます。
高齢になれば、現役のときよりも時間的なゆとりが生まれます。ゆとりの時間をぼーっと過ごさず、生きがいを感じられる趣味などに時間を使いましょう。
趣味を持つことで、毎日を生き生きと過ごすことができますし、そのつながりから周囲や家族とのつながりを維持することができるかもしれません。人々と和やかな人間関係が構築できれば、さまざまな場面で、家族、友人などからのサポートを受けやすくなります。社会的なつながりを持つことは、心身の健康維持に寄与し、孤立を防ぐ効果も期待できます。