今回は、「65~69歳」の方々の中で、どのくらいの人々が働いており、その方々の平均年収はどのくらいなのかご紹介します。
老後を漠然とイメージするだけだと不安ばかり感じてしまいますが、高齢者の就業状況や収入事情を把握しておけば、どの程度の生活水準となるのか見当がつきます。それを踏まえてこれからどうしていけばよいか、具体化するための参考にしてください。
「65~69歳」で働いている人の割合はどのくらい?
「2024(令和6)年版高齢社会白書」によれば、2023(令和5)年の労働力人口は6925万人でした。そのうち、65~69歳は394万人(5.7%)です。また、同調査での65~69歳の就業率は10年前の2013(平成25)年が「38.7%」、2023(令和5)年が「52.0%」となっており10年前と比較して13.3ポイント上昇しています。以前であれば、65歳を過ぎたら、旅行に出かけたり、孫の面倒を見たりしてリタイア生活を過ごすというイメージがありましたが、最近は、約半分の人が働いていることがわかります。
【年齢階級別就業者数及び就業率の推移】 65~69歳で就業している人の雇用形態について見てみると、「役員を除く雇用者」のうち非正規職員・従業員として働く人の比率が高く、男性の場合が「67.6%」、女性の場合が「84.8%」となっています。
非正規雇用とは、パート、アルバイト、労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員、嘱託などが該当します。非正規雇用は正社員のときよりも収入は減ります。しかし65歳になれば、公的年金収入を生活の基盤として、給与収入は補助程度でいいと考える人も多いのではないでしょうか。また、まずは生活リズムを整えるために働くという場合であれば、身体に無理がかからない非正規雇用は理想的といえるでしょう。
●ここ10年で65歳以上の就業者が増えている産業は「医療、福祉」で約2.4倍
非正規雇用で働く場合、65歳以上の人はどんな産業で働いているか見てみましょう。
【主な産業別65歳以上の就業者数及び割合(平成25年、令和5年)】 65歳以上の就業者を産業別に最も多いものから4つを挙げると、
・第1位「卸売業、小売業」:132万人
・第2位「医療、福祉」:107万人
・第3位「サービス業(他に分類されないもの)」:104万人
・第4位「農業、林業」:99万人
となっています。
また、ここ10年間で65歳以上の就業者が増えている産業は「医療、福祉」の107万人。10年前の2013(平成25)年では44万人でしたが、63万人も増加しており、約2.4倍にもなりました。
「65~69歳」で働いている人の平均年収はどのくらい?
次は、65~69歳の平均年収を厚生労働省「2023(令和5)年賃金構造基本統計調査 結果の概況」で確認してみましょう。それによれば、男女をあわせた平均賃金は26万9800円で、年収に換算すると323万7600円となります。また、男女別で見てみると、男性の平均賃金が29万3300円(年収に換算すると351万9600円)、女性の平均賃金が21万7100円(年収に換算すると260万5200円)となっています。
まとめ
65~69歳の高齢者は約半数が就業しており、その多くが非正規雇用です。老後の資金計画を考えるときは、自分が受け取る年金に平均年収の約323万円がプラスされたものが年間の収入目安と考えておきましょう。
高齢者の就業先で大幅に増加しているのは「医療・福祉」分野。65歳からの就業を考え、自分に合う仕事かどうか調べてみることも老後準備の一つになるでしょう。