Q. 「若者の孤独死」にも関係する「セルフネグレクト」とは何ですか?
若くても「セルフネグレクト」の状態から、社会との接点を失ってしまうケースも……
Q. 「『若者の孤独死』が都心でも増えている、というニュースを見ました。『セルフネグレクト』の状態になっているケースも少なくないと報じられていましたが、若くても、実際にそのような状態になることはあるのでしょうか? セルフネグレクトというものは、一人暮らしの高齢者に多い問題かと思っていました。周りにできることはありますか?」
A. 「セルフネグレクト」は誰にでも起こり得ます。小さなサインを見逃さないで
セルフネグレクトとは、「成人が通常の生活を維持するために必要な行為を行う意欲・能力を喪失し、自己の健康・安全を損なうこと。必要な食事をとらず、医療を拒否し、不衛生な環境で生活を続け、家族や周囲から孤立し、孤独死に至る場合がある」と定義されており、「自己放任」とも言います。高齢者だけでなく、誰にでも起こり得る問題です。そして、一度セルフネグレクトの状態になってしまうと、自力での回復は非常に困難になります。今報じられている「若者の孤独死」のように、命にかかわる、深刻な問題に発展してしまうこともあります。
セルフネグレクトの原因はさまざまですが、特に若年層の場合、うつ病や統合失調症などの他の心の病気が関係していることも少なくありません。その場合、状況はより深刻です。少しでも早く医療機関を受診し、原因となっている心の病気の治療を開始する必要があります。
一方で、日常生活が荒んでいるからといって、必ずしも「セルフネグレクト」だとは言えません。心理的な問題としてのセルフネグレクトではなく、他に深刻な事情を抱えているケースもあるからです。
例えば、心の問題ではなく「経済的な問題」で、食費や交際費、通院費が捻出できなくなっている場合や、「身体的な問題・持病の問題」で、体調が非常に悪く、外出や家事などができなくなっている場合もあります。それらも他人から見ると、セルフネグレクトの状態に見えるかもしれません。しかしこれらはそもそも心の問題ではない、他の根本的な問題があるわけです。それらの問題を解決する必要があります。「あの人は最近、日常生活がちゃんと回っていなさそうだから、きっとセルフネグレクトだ」などと、決めつけないようにしましょう。
いずれにしても、食事や身だしなみなど、それまでできていたことが急におろそかになっている場合は、すでに本人だけでは解決できない、何らかの問題を抱えているサインです。社会的なつながりを失ってしまうと、他人は問題の深刻さに気づきにくくなってしまうのも、この問題の難しい面です。もし何か少しでも異変に気付けたなら、「何らかの適切なサポートが必要な状態かもしれない」と、まずは多くの方に知っていだたければと思います。
さらに詳しく知りたい方は、「若者から高齢者まで起こり得るセルフネグレクトとは」をあわせてご覧ください。