今回は、ラジオ体操がシニアの心と体に、具体的にどのような効用があるのかをご紹介します。
ラジオ体操とは
ラジオ体操は1928(昭和3)年に株式会社かんぽ生命保険の前身である逓信省簡易保険局がさきがけとなり、国民の健康保持推進のため「国民保健体操」として制定されました。同年11月1日から東京中央放送局(現NHK)によるラジオ体操の放送が開始となり、今では広く定着しています。ラジオ体操は、2028(令和10)年に100周年を迎えます。ラジオ体操に取組む人は多く、2023(令和5)年時点での普及状況は次のとおりです。
●2023年度時点でのラジオ体操の普及状況 次は、ラジオ体操がシニアにおススメの理由について解説します。
ラジオ体操がシニアにおススメな理由1:体への効用
ラジオ体操は、3分間という短い時間で、体を支えている200の骨と400の骨格筋を動かすことができる効率的な全身運動です。ラジオ体操をすることで、次のような効用が得られます。【ラジオ体操の健康への3つの効用】
・骨密度の向上:骨に適度な負荷をかけることで、骨密度が上がり、骨粗しょう症の予防に役立ちます。
・関節の可動域の拡大:関節を適度に動かすことで、関節の可動域が広がり、動きがなめらかになります。
・エネルギー代謝の向上:筋肉内のエネルギー代謝がアップし、体全体の血液循環が良くなります。
ラジオ体操には、さまざまな健康への効用があることがわかりました。ここで、改めて「ラジオ体操第1の運動の順番」を思い出してみましょう。
【ラジオ体操第1の運動の順番】
1. 伸びの運動
2. 腕を振って脚を曲げ伸ばす運動
3. 腕を回す運動
4. 胸を反らす運動
5. 体を横に曲げる運動
6. 体を前後に曲げる運動
7. 体をねじる運動
8. 腕を上下に伸ばす運動
9. 体を斜め下に曲げ、胸を反らす運動
10. 体を回す運動
11. 両脚で跳ぶ運動
12. 腕を振って脚を曲げ伸ばす運動
13. 深呼吸
ラジオ体操第1は、わずか3分間、13種類の運動で構成されています。この一連の動きは、以下のように段階的に負荷が変化するよう設計されています。
【ラジオ体操の段階的な負荷と合理的な運動】
・徐々に負荷を高める動き(1~10番):1番から10番までの運動は、徐々に体に負荷をかける運動が続きます。
・負荷を無理なく減らす動き(11~13番):11番の運動からは、徐々に体の負荷を減らしながら体を整えます。
これらの運動(動作)による段階的な負荷は、山登りにたとえることができます。登り始めは緩やかに、頂上に近づくにつれて急勾配になり、下山時には再び緩やかになるような感覚をイメージしていただくとよいでしょう。
このような合理的な運動の構成のため、心臓に負担をかけず、体内に運動疲労を残さない配慮がなされています。そのため、シニアが毎日続ける運動としては、おススメと言えるのです。
ラジオ体操がシニアにおススメな理由2:心への効用
毎日のラジオ体操は体の健康だけでなく、心の健康づくりにも大きな効用をもたらします。特に、シニアは、地域で行われる「ラジオ体操会」に参加することで、心の健康維持につながります。ラジオ体操を行うことでの心への効用には、以下の3つが挙げられます。
【ラジオ体操の心の健康への3つの効用】
・孤独を癒やす:ラジオ体操会に参加することで、地域の人々と話す機会を持つことができます。日々のちょっとした会話や挨拶は、孤独感を和らげ、心に安らぎを与えます。
・「行く場所づくり」に役立つ:ラジオ体操会に参加することは「行く場所」づくりに役立ちます。高齢になると「行く場所がない…」ことで引きこもりがちになる場合もありますが、定期的に参加することで、規則正しい生活が得られます。
・相互の生活の見守り機能:ラジオ体操会は相互の生活の見守りの場ともなります。定期的に顔を合わせることで、お互いの健康状態や生活状況を自然に確認し合うことができ、助けが必要な時には支え合うことが可能です。
ラジオ体操で豊かな生活を
ラジオ体操は、シニアの方々が健康を維持し、日々の生活を豊かにするための理想的な運動です。ラジオ体操の健康効果や手軽に取り組める簡便さを理解すれば、毎日の生活に取り入れる価値があると思うはずです。また、人との関わり合いは、生きる幸せを感じる重要な要素です。毎日のラジオ体操会への参加は、心と体の健康を同時に得ることができる貴重な機会です。地域の人々とともに体を動かし、心を通わせることで、充実した日々を過ごしましょう。
全国のラジオ体操実施会場について
全国で「ラジオ体操会」が開催されています。ご興味のある方は、NPO法人全国ラジオ体操連盟のホームページにある「全国のラジオ体操会」にて地域のラジオ体操会実施会場を調べることができます。
参照:NPO法人全国ラジオ体操連盟