デフレによる価格破壊が進んでいる中、洋雑誌の価格は相変わらずのままである。資料価値の高い学術書などであればともかく、気軽に読める価格帯でなければ雑誌の意味をなさない。
もちろん、何でも安ければいいという経済音痴な発言をするつもりはないが、無駄な流通コストを抑えて、価格を下げるのはネット時代の流れである。
と言うわけで、洋雑誌業界に新風を巻き起こしている株式会社マガジンマート代表取締役・土橋(つちはし)信也さんに、洋雑誌を安く提供するためのビジネスモデル、洋雑誌販売にかける思い、今後のビジネスプランなどのお話をうかがうことができた。
-- ネットで洋雑誌の販売をはじめようと思ったきっかけは何ですか?
土橋:1997年に、ネットで何か販売の仕事ができないかと、インターネットならば先進国のアメリカの情報が欲しい、そう思ってアメリカのパソコン誌やビジネス誌を購入しようとネットで探し始めました。ところが、雑誌を販売しているサイトがない。これならば商売になる、そう思って、マガジンマート(当時は有限会社)を立ち上げました。
-- 欲しいものが手に入らない、これなら商売になると思ったわけですね。しかし、書籍販売はアマゾンのような大手があるのに、なぜ、雑誌の販売サイトが存在しなかったのでしょうか?
土橋:私見なのですが、雑誌は利幅が少ないというのがあげられるでしょう。それに、雑誌は書籍と違って、生鮮食料品みたいなものです。賞味期限があります。短期間の賞味期限内に売り切れなかった商品は不良債権と同じです。そんな理由で、あえて参入しないのだと思います。
-- それなのにあえて参入した?
土橋:ええ。うちはニッチビジネスですね。隙間を狙って、そこでビジネスを成立させるという感じですね。
-- 小さい会社だから小回りが利くとか?
土橋:そうです。大手の書店さんなど、億単位のお金でシステムを組みますから。大きな企業でしかできないこと、小さな会社だからできることがあるのがネット事業と思います。
-- 洋雑誌は輸入販売の仕事ですが、以前、何か輸出入に関するお仕事とかしていたのですか?
土橋:輸入の仕事をしていました。そのあたりのノウハウはありましたので、輸入販売の仕事をすることができたといえます。
-- さて、店頭の洋雑誌は価格がかなり高い気がしますが………
土橋:たしかに高いと思います。このビジネスをはじめた動機の一つに、高い洋雑誌を安く提供したいとの思いもありました。
-- 洋雑誌が高いのは流通システムが原因? たとえば、取次さんがマージンをとりすぎているとか………
土橋:既存の取次さんの場合、店頭で売れ残ったものの返品を受け付けているので、ある程度のマージンをのせるのは仕方がないと思います。それに、為替レートの変動を見込んで、ある程度高めに設定しておくこともですね。