英文はどうにか読めるが、書くとなると………と、思っている方は多いだろう。
英文を書くとき、
・定冠詞なのか不定冠詞なのか、あるいは冠詞はいらないのか
・単数で表現するのか複数で表現するのか
・前置詞はどうなのか
と、考えてしまうと、まるで金縛りにでもあったかのように、手の動きが止まってしまうこともある。
ビジネスシーンにおいては、決められた時間までに決められた内容の英文を書かねばならないときもある。しかし、ビジネスは学校のテストではない。本人に英文を書くだけの英語力がなくても、時間までに目的の英文が作成できてしまえばいい。人の力を借りようが、機械の力を借りようが関係ない。
というわけで、今回もエー・アイ・ソフト株式会社の翻訳プロダクト開発責任者玉川博康さんに翻訳ソフトの日英の部分について、より正確な英文を作るためのコツについてお話を伺った。
-- お忙しいところ、どうもありがとうございます。今回は翻訳ソフトの日英の部分に関してお話をお聞かせください。
玉川:何でも聞いてください。
-- 「私は彼に本をあげた」も「私が本を彼にあげた」など、日本語は「てにをは」を使い分けることで、文としては成立をしますが、翻訳ソフトを使う上で、どのように言葉を並べれば、より正確な英文になるかをお教えてください。
玉川:日本語での語順の位置には、ある程度解析の幅をもたせてありますが、あまり離れた位置に配置すると、係り受けの関係がうまく把握できません。修飾する語と修飾される語の間に余計な語が入らないこと、近くにあることが重要です。
-- 具体的には?
玉川:上記の例では、「私は彼に本をあげた」では「彼に---あげた」「本を----あげた」の関係はきれいに解析できます。しかし、「彼に私は本をあげた。」という文では、「彼に---あげた」という関係の間に「私は」という余計な語が入ります。このような文は係り受けの解析に失敗する可能性が高くなります。
-- なるほど。より正確な英文を作るために、何かコツのようなものがありましたらお教えください。
玉川:より正確な英文を得るためには、日本語の曖昧さをできるだけ減らす必要があります。このことをテキストエディットと私たちは読んでいます。
-- 日本語の曖昧さを減らす?
玉川:曖昧さを減らすことが大切です。
-- たとえば?
玉川:以下のような日本文を心がけることで、翻訳精度はアップします。
1. 原文を短くする
2. 不用な言いまわしなどは削除する
3. 同音多義的な表現を避ける
4. 連用形で連結された文の関係を明確にする
5. 係り受けを明確にする
6. 隠れた語句を挿入する
7. 適確な助詞を使用する
8. あいまいな表現を取り除く
以上のことに注意していただけると、期待に添った英文になるかと思います。