役職定年制度とその導入状況
役職定年制度とは、一定の年齢に達した社員が部長・課長などの役職から外される制度です。役職定年となる年齢は、一般的に50代後半から60歳ですが、企業ごとに異なります。まずは、役職定年制度の導入状況を、人事院の「2017(平成29)年度民間企業の勤務条件制度等調査結果の概要」と、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が行った『高齢化時代における企業の45歳以降正社員のキャリア形成と支援』に関するアンケート調査結果で確認してみましょう。 ●人事院が行った調査での役職定年制の導入状況 調査によると、役職定年制があると答えた企業は次のとおりです。
■事務・技術関係職種の従業員がいる企業のうち役職定年制が「ある」企業の割合
・規模計:16.4%
・企業規模500人以上:30.7%
●独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が行った調査での役職定年制の導入状況 調査によると、役職定年制があると答えた企業は次のとおりです。
【役職定年制が「ある」企業の割合】
・企業規模100人以下:20.3%
・企業規模101~300人:27.2%
・企業規模301人以上:35.2%
これより、役職定年制度の導入は、規模に関していえば、小さいよりも大きい企業の方が導入されているといえそうです。
次は、役職定年になったら、年収はどうなるのかみていきましょう。
役職定年になったら、年収は下がるの?
役職定年を迎えたら、多くの企業で年収が下がるようです。実際、公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団が2018年に発表した『50代・60代の働き方に関する調査報告書』にも「役職定年で全体の9割以上の人が年収減となり、現状維持以上は1割弱だった」とあります。
定年後有職者の男性の役職定年前の年収を100%とした場合、役職定年後の年収は以下のように変わっています。
●役職定年後の年収 【60~64歳】
・25%未満:7.7%
・25~50%未満:31.1%
・50~75%未満:32.6%
・75~100%未満:21.7%
・100%(変わらない):5.9%
・100%超:1%
【65~69歳】
・25%未満:15.5%
・25~50%未満:26.9%
・50~75%未満:33.4%
・75~100%未満:17.5%
・100%(変わらない):5.8%
・100%超:0.9%
60~64歳と65~69歳のいずれも、役職定年を経験した方の90%以上が年収減となっています。「役職定年後の年収が、元の年収に比べ50~75%未満だった」と答えた人の割合が一番多く、60~64歳は32.6%、65~69歳は33.4%いました。この場合、元の年収が600万円とすれば300万~450万円ほどに減ります。この減少幅が家計に与える影響は大きいといえるでしょう。
さらに役職定年後の年収が、元の年収に比べ50%未満にまで下がったと答えた人の割合が全体の4割を占めています。
実際、これほどまで年収が下がるとなれば、家計は役職定年前のままでは維持が難しく、大幅な見直しが必要となるでしょう。
役職定年が迫る50代。しっかり備えるためには?
役職定年は、一定年齢に達すると役職を解かれる制度です。役職手当などが付かなくなり、年収は減ってしまうケースが少なくありません。その場合、収入の減少割合によっては、生活費の大きな見直しが必要となることがあります。役職定年が導入されている企業にお勤めの場合は、いつ役職が解かれ、年収はいくら減るのかなどの確認を早めに行いましょう。