「英語がキャリアアップのためにどのくらいの武器になるのか?」をテーマに「B-ing」(リクルート)の草原繁編集長に取材を行った。
まず、英語力がどのような形で求められているかと質問したところ、「実際にTOEICの点数を明記している企業さんもありますし、『英語上級』や『ビジネス英語レベル』となどの言い方をしている企業さんもあります」(草原氏)。
さらに、「外資系の企業よりも日本企業でこのような企業さんが増えていますし、これからも増える傾向にあると思われます」(草原氏)と、英語の必要性はますます高くなりそうな気配である。
ただ、「英語上級」とか「ビジネス英語レベル」と言われても、何らかの基準が無いと正確な判断はつきかねる。そこで、具体的な数値に換算していただけないかとお願いしたところ、「B-ing」のバックナンバーの特集ページを開いてくれた。それが以下のデータである。
TOEIC900点………外資系・外資系顧客向けコンサルタント/エグゼクティブセクレタリー/ITコンサルタント/通訳/翻訳
TOEIC850点………国際法務/マーケティング/外資系プロジェクトマネージャー/海外営業
TOEIC800点………外資系事務系管理職
TOEIC750点………外資系マネージャー/バイヤー
TOEIC650点………外資系人事
TOEIC600点………外資系グループセクレタリー/外資系および海外展開している企業の経理/外資系営業
(出所「B-ing」2001.3.7号「あなたのスコアで狙える最新職種一覧」)
「この数値は目安であり、必ずしも個々の企業すべてに当てはまるわけではないが」(草原氏)との断りもあったが、ドメスティックな職種で600~650点、専門的な職種では850点以上が一応の基準になると考えても良いだろう。
「英語力といっても、社内(本国とのやりとりを含む)でのコミュニケーションが取れればOKならば、TOEICのスコアは550~730くらいで良いですし、外国人顧客相手の仕事になれば、730~860点くらいのスコアが必要になるでしょう。国際会議で主張をしたり、海外でマネジメントをするような場合、より高度な英語力と取引先の国の文化や習慣などを理解することも併せて必要になりますね」(草原氏)。
だが、草原氏によると「必ずしも英語の能力だけで企業は採らない」と言う。「たとえば、外資系顧客向けコンサルタントは、英語の他にコンサルタントとしての能力・資質が求められます」(草原氏)。
「外資系の特定の職種にいきなり就くのは難しいですから、その職種の周辺の仕事で実務実績と英語力を身につけてからチャレンジする方法もあるかと思いますよ。いきなり英語で面接が始まることもあるし、本国の担当者と電話面接もあります。仕事でどのくらい英語を使っているかが大切でしょうね」(草原氏)と、アドバイスがあった。
英語力だけでどうにかなるほど甘いものではないと、この取材を通して分かった。しかし、実務経験と英語力を上手にかみ合わせることで、この困難な時代を乗り切れることも確かである。自分にあったビジネスプランを考えていただけるきっかけになったら幸いである。
取材終了後、ご多忙にもかかわらず1階フロアまで見送ってくださった草原編集長の姿が印象的であった。
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