両社とも昨春の不祥事発覚を受け、外部の調査委員会がまとめた報告で、膨大な件数の不正が発覚して“製造停止”を余儀なくされ大問題化しました。2022年に発覚し社会問題化した日野自動車での検査不正を含めれば、グループ内の自動車メーカー3社で判を押したように同類の不正が行われていたわけです。これが自然発生的に起きたものであるとするならば、グループ内の「組織風土」に大きな問題ありということになりそうです。
トヨタグループ各社の不祥事に共通点
トヨタグループ各社の不祥事に共通しているのは、本社は親会社からの要望に従って開発納期の短縮を余儀なくされ、現場は相談するすべもなく不正に手を染めることで、長年にわたって要望に応え続けてきたという点です。本社と現場ともに、「親会社に物言えぬ本社」「本社に物言えぬ現場」という構図が明らかになりました。結果的に現場は、いけないことと分かっていながら、上からの指示を守るために組織ぐるみの不正に走ってしまっていたのです。
この手の組織ぐるみの不祥事は、一般に“日本特有のもの”であると言われています。欧米での不正はそのほとんどが、実権を持つ個人が私腹を肥やす目的で行われるものであるからです。一部ではこの欧米型の不祥事を害虫発生になぞらえて、一定の駆除策等を講じることで予防が可能であるという意味も込めて、「ムシ型」と呼ばれています。
対して、組織ぐるみで起こる日本特有の不祥事は、大半がその風通しの悪い組織内の風土によることから「カビ型」と呼ばれ、風通しを良くする以外にカビの発生を抑えることができず、むしろ厄介なのはこちらであるともされているのです。
では、なぜ日本の大企業では、このような風通しの悪い組織風土が出来上がってしまうのでしょう。
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