マネジメント

ダイハツ、豊田自動織機、日野自動車も……トヨタグループで検査不正が相次ぐ理由(3ページ目)

ダイハツ工業、豊田自動織機……トヨタグループ各社で判を押したように検査不正が相次いでいます。もしもこれらの不正が自然発生的に起きたものであるとしたら、グループ内の「組織風土」に大きな問題ありということになりそうです。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド

「言いたいことが言えない」組織風土

この点で考えると、トヨタグループ内企業の組織風土および親会社との関係は、至って心理的安全性が低いと言わざるを得ないでしょう。「言いたいことが言えない」がために、親会社の無理なスケジュールに反論ができず、あるいは子会社内で本社の指示に対してモノが言えず、組織ぐるみでの不正に手を染めてしまったわけなのです。

トヨタグループは昭和の時代から、“かんばん方式”に代表される効率経営を旨とするトヨタ方式が、日本的経営の代表格として世界的からも注目され、もてはやされてきました。

しかし、日本が世界に誇るトヨタ方式の行きついた先は、この「“言いたいことが言えない”組織風土がゆえの行き過ぎた効率化」であったのかもしれないのです。

たまたまトヨタ傘下の企業で立て続けに不祥事が発覚したことで、トヨタグループに注目が集まってはいますが、考えてみるとここ20年ほどの間に、同じような品質不正、検査不正といった類の不祥事は、多くの名門企業で明るみに出ています。それは、日産自動車、三菱自動車などの自動車各社をはじめ、神戸製鋼所、三菱電機、日立化成など、昭和の高度成長を支えた企業たちです。

これらを見るに、「強すぎる親会社や本社」に代表される昭和な組織風土が、バブル経済崩壊後の新時代に入った後もなお脈々と生き延びてきたが故の不祥事である、とも言えるのではないでしょうか。

もしかすると、いまだに「言いたいことが言えない」組織風土のまま、悪事を隠し持っている名門企業があるのかもしれません。親会社と子会社の間であれ、本社と現場の間であれ、あるいは上司と部下の間であっても、「言いたいことが言える」組織風土を作ることは、トヨタグループに限らず令和時代の企業経営の当たり前として取り組む必要があるでしょう。

GDPでドイツに抜かれ世界4位に転落した日本ですが、これを立て直すためには、昭和企業たちの古き悪しき風土の刷新は必須条件であると思うのです。
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