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電動キックボード等のいわゆる特定小型原動機付自転車(以下、特定小型原付)に関する「道路交通法の一部を改正する法律」が、2023年7月1日から施行されています。これにより一定の要件を満たす電動キックボード等に限り、特定小型原付として、運転免許不要で運転できるなどの新たな交通ルールが適用されています。またこれらの特定小型原付については自賠責保険の加入が必須です。
電動キックボード等の特定小型原付について、2024年4月1日から一般の原付と区分した自賠責保険料が新設されることになりました。
電動キックボードの自賠責保険料(2024年4月)
電動キックボード等(特定小型原付)の自賠責保険料
電動キックボード等の特定小型原付は、既存の原付と比較した場合、その大きさや速度制限が低く設定されています。そのため特定小型原付にかかるリスクが異なる点を考慮して、自賠責保険の保険料について新たな区分が新設されることになったわけです。具体的な電動キックボード等の自賠責保険料は次の画像のとおりです。 2024年4月1日以降 保険期間によって異なるものの、このように既存の一般原付に比べると300~1200円程度保険料が安くなっています。長期契約だと保険料の差がより大きくなり、1年間の契約を繰り返すよりも安いので、長期契約を前提に検討するといいでしょう。
新設された保険料は2024年4月1日以降から始まる保険契約に適用されます。
電動キックボードの自賠責保険料の一部返還?
電動キックボード等で2024年3月以前に原付の保険料で自賠責保険の契約していると、自賠責保険料の一部が返還される可能性があります。契約日(始期日)や保険期間により変わりますが、自賠責共済も含みます。
次の3つを全て満たすものが対象契約になります。
- 保険(共済)始期が2024年3月以前かつ保険(共済)終期が2024年4月以降
- 車種区分が原動機付自転車
- 標識交付証明書、型式認定番号標または性能等確認済シール等で、「特定小型原動機付自転車」と確認できる
損保協会にも案内があるので、下記も参考にしてください。
一般社団法人日本損害保険協会 【自賠責】特定小型原付の保険料(共済掛金)返還について
自賠責保険の加入方法
そもそも電動キックボードに限らず、自賠責保険は、損害保険会社の支社や保険代理店、バイク販売店、自動車ディーラー、自動車整備工場、郵便局、コンビニなどで加入することができます。電動キックボードに対する「標識交付証明書」がないと、登録番号等の当該車両の詳細が分からず、自賠責保険に加入できないので、加入する際は忘れないようにしてください。
なお、自賠責保険料は、補償内容や保険料は一律ですから、加入条件が同じであれば保険料はどこでも変わりません。共済で加入する自賠責共済の場合でも同様になります。
電動キックボードの自賠責保険で保障される範囲は? 任意の自動車保険の加入も欠かせない?
電動キックボード等の自賠責保険は強制加入です。未保険のままだと罰則があるので、加入漏れなどがないようにしてください。ただし、自賠責保険の場合、補償されるのは「対人賠償事故」のみです。そのため物損事故は補償の対象になりませんし、人身事故の場合であっても次のように補償に限度額があります。
・死亡:3000万円限度
・後遺障害:75万~4000万円
・傷害:120万円
傷害120万円もそれなりにあるように見えるかもしれません。しかしこの金額には治療費だけでなく、慰謝料や休業損害、その他の費用を含みます。被害者の治療が長期になるときには簡単にこの金額を超えてしまいます。
死亡や重い後遺障害などを負った場合も同様で、自賠責保険だけでは損害賠償額に不足するケースがでてきます。
その意味では電動キックボードを所有しているなら、任意の自動車保険の加入も欠かせないのです。なお、レンタルの場合には業者で自賠責保険や任意の自動車保険に加入するのが一般的です。
またシェアサービスで電動キックボードを借りる場合についても保険について確認しておきましょう。たとえば街中でよく見かけるLUUP(ループ・電動キックボードのシェアサービス)の場合は損害保険が適用されます。詳細についてはリンク先を参照してください。
【参考】
LUUPをご利用中の事故に対する保険適用について
レンタルするときには保険の加入状況や補償内容を念のため確認しておきましょう。
電動キックボードで加入する任意の自動車保険
電動キックボードを所有している人が任意の自動車保険(いわゆるバイク保険)に加入したい場合は、自動車保険を取り扱う各損害保険会社で契約可能です。ただし、すでに自動車等を保有していて任意の自動車保険に加入している場合には、別の加入方法があります。それは「ファミリーバイク特約」を付帯することです。これによって対人賠償・対物賠償が付帯されますし、人身傷害補償なども加えることができるプランもあります。
電動キックボードの場合、誰かにけがをさせたり、物を壊したりするだけでなく自分自身のけがの補償にも注意してください。
気軽で便利に使える乗り物ではありますが、車輪が小さい電動キックボードは段差や障害物などに当たった場合、それらを乗り越える力が弱いため、足を払われるように顔や頭から転びます。
ヘルメットの着用は努力義務ですが、安全面を考えればヘルメットはしておくことをおすすめします。二人乗りは禁止ですし、飲酒運転も扱いは自動車やバイクと同じです。
ある意味自転車などより危険な側面もあるので、運転の際にはよく注意して保険加入についても事前に確認しておきましょう。