実際、現役時代に仕事中心に時間を使ってきた方であれば、忙しくて趣味をする時間がなかったかもしれません。また、お金がかかる外出は「たまに」で十分ということであれば、老後は家の中で過ごすことが多くなってしまうでしょう。
シルバー人材センターが行う【シルバー派遣】【独自事業】について詳しく聞いてみました
そんな方が「少しでも収入を得たい」「体を動かして健康を維持したい」「地域の方々に喜ばれたい」などを望むなら、地域で見かける「シルバー人材センター」への会員登録を検討してみてはどうでしょう。今回は、シルバー人材センターが行う【シルバー派遣】【独自事業】について公益社団法人富山市シルバー人材センターの松田事務局次長に教えていただきました。
シルバー人材センターで紹介される仕事は?
――シルバー人材センターからの紹介される仕事のメインは「請負・委任業務」ですが、「シルバー派遣」「独自事業」もあるとお聞きしました。それぞれについてざっくり教えてください。松田事務局次長:「請負・委任業務」は、シルバー人材センターが、企業、官公庁、個人から業務の発注を受け、センターに登録している会員に就業機会を提供します。依頼を受けたシルバー会員は、自らの裁量で業務を行っていただきます。シルバー人材センターでの業務のメインは「請負・委任業務」となっています。
「シルバー派遣」は、各都道府県のシルバー人材センター連合(以下「県シ連」)と派遣契約を結んだ企業や官公庁から業務の発注があります。県シ連は、各シルバー人材センターの会員と雇用契約を結び、派遣社員として、派遣先企業の指揮命令下で就業します。
「独自事業」は、会員の就業機会を確保するため、請負・委任では受注が難しい分野の仕事を、シルバー人材センターの事業として行います。その際、会員の特技や資格を活かしたサービスなどの企画を立ち上げています。富山市シルバー人材センターでは、「土壌改良材の製造販売」や「着物等のリメイク・販売」、「カルチャー教室の運営」、「農作物等の販売」などを行っています。
「シルバー派遣」の仕事内容はどんなものがあるの? いくらもらえるの?
――「シルバー派遣」は、どんな仕事があり、1カ月どのくらいの報酬がもらえる目安ですか?松田事務局次長:「シルバー派遣」は、1カ月あたり10日程度、一週間であれば20時間を超えないぐらいの臨時的・短期的で簡単な業務です。職種により個々の料金が設定されていますが、仕事で得られる報酬は1カ月あたり4万~5万円ほどが目安です。
原則、会員は、ローテーションを組んで、就業します。契約期間が定められており、仕事が継続的にあるとは限らないため、毎月4万~5万円が確実に得られるわけではない点に注意しましょう。
なお、シルバー派遣事業で得られる収入は給与所得として扱います。所得に応じて、確定申告が必要になります。
シルバー派遣でどんな仕事があるのかお知りになりたい方は、それぞれのお住まいの地域にあるシルバー人材センターの公式サイトでご確認お願いいたします。
富山市シルバー人材センターの「お仕事情報」は公式サイトで確認できます。
「独自事業」の仕事内容と報酬は?
――「独自事業」は、どんな仕事があり、1カ月どのくらいの報酬がもらえる目安ですか?松田事務局次長:「独自事業」は各市町村のシルバー人材センターで異なる事業を行っています。富山市センターでは、現在4つの事業を行っています。
1つ目は、「剪定枝葉リサイクル事業」で、土壌改良材とEMボカシの製造販売です。
富山市センターで請負った剪定作業から出る「切り枝」を焼却処分へ出すのではなく、細かくチップにして発酵させ、土壌改良材として製造販売しています。畑に土壌改良材を混ぜると「ふかふか」な土へと変わります。 2つ目は、「ひと針工房」で着物等のリメイクや手作り品等の販売です。
手芸の好きな方に、着物をリメイクした洋服、ティシュケース、手提げなどの手作り品を製作してもらい、シルバー人材センター内の工房やイベント等で販売しています。
また、富山市ファミリーパーク(動物園)の売店では、富山県の県鳥である雷鳥をモチーフにしたマスクやコースターなどの限定品を販売しています。限定品は「ここでしか買えない!」ということでとても人気です。
請負事業になりますが、一般の方から、洋服のお直しやお仕立ての依頼があれば、洋裁の得意な方に仕事を依頼します。 3つ目は、「カルチャー教室」です。会員がこれまで培ってきた技能や特技、趣味などを通して新たな出会いと学び、喜びを創出します。教室は、それぞれ月2回程度で開催しています。
ペン習字や着付け教室、バルーンアートなどさまざまな教室が開催されています。4月からは、ギター教室も開催する予定です。
4つ目は、今年度から、会員が育てた野菜や果物、ジャムなどの加工品を販売する「シルバーわくわく市」を開催しています。
「独自事業」の報酬は「手作り品が売れた」、「市民の方がカルチャー教室を受講された」などの成果に対して報酬をお支払いするシステムとなっており、毎月の報酬は、事業によって異なります。
会員それぞれが自身の成果につなげるために、さまざまな工夫をこらし、生き生きと活動されていますね。
なお、「ひと針工房展示即売会」の企画や会場の手配、カルチャー教室の受講生募集など、すべてセンターで対応しています。
まとめ
趣味や特技を活かす「独自事業」は、成果があったら報酬につながる(剪定枝葉リサイクル事業は除く)というシステムなので、シルバー人材センターの「請負・委任」や「シルバー派遣」の仕事とあわせて行ってみるとよいのではないでしょうか。「ご自分の趣味や特技で、空いた時間を有効活用できればいいな」と思っている方は、お住まいの地域にあるシルバー人材センターを訪ねてみてはどうでしょう。