辞めにくい職場を絶対に退職する!
我慢の一線を越えるまでにはまだ至っていなくても、そろそろ辞めたいとずっと思っている、また一線を越えてもなお、退職したいのになかなか退職できない、一歩が踏み出せないという人も少なくないはず。絶対に退職したい人のための、退職方法を指南する。
今の職場に縛られている理由は?
仕事は辞めたいけれど、その一歩が踏み出せない。その理由はいろいろあるだろう。例えば、やりかけの仕事、特に自分が中心となって取り組んでいる仕事がある場合、途中で投げ出すのは無責任だと感じている人。そうこうしているうちに、新たな仕事が降ってきて、そのスパイラルにハマる。一定のマルチタスクをこなしている限り、辞めやすいタイミングを迎えることは永遠にないかもしれない。仕事ができる人ほど、この状況に陥りがちだから注意が必要だ。また、仕事が忙しくて転職活動に時間をかけられないという人は、一種の悪循環に陥ってしまっている。待遇が良くない会社、理不尽を部下に押しつけている会社の上司は、わざと部下本人の転職活動を妨害するような行動をとっているかもしれない。
会社からさまざまな甘い言葉を持ちかけられている人もいる。忙しいのは今だけだとか、この仕事を追えたらやりたい職場に異動していいだとか、業績が改善したら必ず待遇をアップさせるだとか、我慢している社員にさらなる我慢を求めてくる。そのような話を信じて我慢を続けてしまった経験に心当たりがある人もいるだろう。
特に社歴が長くなってくると、自分が他の会社で通用するのか分からなくなりがちで、それが転職に二の足を踏む原因にもなる。俗に「市場価値」という言い方をするが、あくまでも転職とは個別のケースに挑戦をしながら、自分の強みを相手にアピールして正面突破を試みるしかないことも念頭に入れておくとよいだろう。
代わりの人を見つけてから辞めるように言う上司。それは誰の仕事?
勇気を出して退職の意思を上司に伝えたのに、退職届を押し返された、もしくは上司は笑って取り合ってくれなかった、このような経験をしたことがある人はいないだろうか。このようなことが起きたときというのは、実は上司は笑っていても内心は心臓が止まりそうなくらい焦っているものだ。なぜなら、あなたが辞めてしまった後のフォローが大変だからである。その結果、苦し紛れの末に退職届を押し返したり、本気で捉えてくれなかったり、中には逆ギレする上司もいるかもしれない。円満退職を願う自分の思いとは反する上司の過剰反応に驚いて、本当に退職届を引っ込めてしまう人もいる。
本来誰ひとりとして会社に縛られている人はいないのだが、人員に余裕のない職場であればあるほど1人の負担が大きく残業が慢性化している。そのような状況で自分が抜けた後は、大きな混乱が生じて、同僚たちにその負担が一時的であったとしても重くのしかかることも想像できる。それに躊躇(ちゅうちょ)して、会社を辞めにくい雰囲気が出来上がっている職場もある。
一方、退職者が出たら後任を見つけることや一時的な業務の割り当てを変えることなどは上司の仕事であって、間違っても退職していく社員の仕事ではない。もし会社を辞めるなら、後任を自分で見つけてから辞めてほしい、もしくは後任が決まるまで辞めないでほしいと無茶を言う上司もいて、このことも、会社を辞めると言い出しにくい原因になっている職場がある。わざと日頃からこのような発言を繰り返して、社員を辞めにくくしているような上司もいるかもしれない。
どんな仕事でも誰がやる仕事でも、本人の代わりとなる人がいなければならないし、その時その場に代わりがいなくても、必ず見つけなければならない。ただ、それはあなたの上司の役目であり、あなた自身の仕事ではないので、真に受けないことが肝要だ。
会社を辞めるときは短期決戦。仕事を減らす工夫も必要
モチベーションを下げている社員がいたら、上司は何をするか。本人の話を聞いたり励ましたりして、モチベーションが上がるように、できれば何か本人の希望を叶えてあげようと働きかけるかもしれない。これはいい上司のアプローチ例であるが、上司によってはあえて仕事を増やして、本人が悩む暇を与えないようにする人もいる。要は転職活動もできないくらいに忙しくなれば、本人の悩みは一向に解決しないが、少なくとも他の選択肢を見出すことができなくなる。それが狙いなのだ。ではこのような辞めにくい職場を絶対に辞めたいとき、どのような注意が必要か。あなたは辞める準備をひそかに進めていると思うが、退職届を出すタイミングがまずは大切だ。月末が給料日である会社が多いと思うが、できれば月末の給料日後、金曜日の夕方、終業時間が過ぎた直後の時間帯で、退勤する準備を済ませた上で帰り際に上司に退職の意思を伝えることである。口頭で上司に退職の意思を伝えた後、書面は添付ファイルにして上司、そしてメールのコピーを人事部にも送るといいだろう。
退職の意思を聞いた上司は驚いて、あなたの話を聞きたいと言ってくるかもしれないが、その日は会議室で退職理由を問い詰められるような状況には持ち込まれないように気をつけることが賢明だ。用事があるから退勤する、よろしければ来週また話を聞いてくださいと言って、その日は帰宅するといいだろう。間違っても、上司に飲みに誘われて行ってしまうことは避けたほうがいい。退職届を出したことを引け目に感じて、つい上司の飲みの誘いに応じた結果、深夜まで退職を思いとどまるように説得されるなんてことにもなりかねない。
もう1つ、会社を辞めるまでにやっておきたいことは、少しずつ身辺整理を始めることだ。例えば新しい仕事、長期間のコミットメントを必要とする仕事から自分を遠ざけることが必要である。要は目立たないように、少しずつ自分の仕事を減らしていくことが求められる。それができれば、“自分の代わり”は即座にはそれほど多くは必要なくなる。
辞めにくい会社を絶対に辞めたいときは、さまざまな準備と環境整備、タイミングが何よりも大事だ。退職の一歩が踏み出せない人の多くは、自分が辞めやすくなる環境の整備ができていないことが多いので、意識してみてほしい。会社を辞めるのも、案外楽ではない。