そんな魚沼地方の紅葉スポットの中で、最近注目が高まっているのが清津峡です。日本三大峡谷のひとつに数えられるV字型の渓谷と周囲の山々を彩る美しい紅葉、そして“映える”写真が撮れるからです。
今回はそんな清津峡の美しい紅葉とアクセス方法についてご紹介します。
<目次>
信濃川の支流が山をV字型に削ってできた清津峡
清津峡(Googleマップ)は、新潟県十日町市にある渓谷です。新潟県内を流れる日本一長い川、信濃川の支流である清津川が、上越国境にある苗場山付近から十日町まで流れてくる間の山を長い歳月をかけて削ることで、V字型の深い谷ができあがりました。
清津峡と呼ばれるのは、清津峡温泉付近から上流に向けて13キロほどの区間。川岸の岩には、たくさんの柱が連なるように見える柱状節理(ちゅうじょうせつり)がはっきりと見えており、他の渓谷とは違った雰囲気を醸し出します。 地質学の点から見ると、柱状節理は海底火山の火山活動で噴出した溶岩が冷えて固まることで生まれ、その後の地殻変動により地上に隆起してきたものとのこと。
貴重な地形とダイナミックな渓谷の美しさから、清津峡は1941年に国の名勝及び天然記念物の指定を受け、黒部峡谷(富山県)、大杉谷(三重県)と並び、日本三大峡谷のひとつに数えられています。
清津峡へ向かう道中から紅葉・黄葉を愛でる
清津峡は、上越新幹線や関越道が通るエリアから魚沼丘陵を越えたところにあります。 石打から津南・十日町方面へ抜ける国道353号線に入り、魚沼丘陵を突っ切る十二峠トンネルを抜けると、例年10月下旬から11月上旬にかけて目の前には山全体が紅葉・黄葉でカラフルに彩られた風景が広がります。十二峠トンネルからたくさんのカーブを経て坂道を下った先、清津峡へ向かう信号のない交差点を左に曲がり、県道389号線(清津公園線)に入ります。 県道389号線(清津公園線)は、左手に清津川を見ながら清津峡へ向かう道ですが、一部区間で道幅が狭いところがあります。美しい紅葉・黄葉に気を取られそうになりますが、対向車両に注意しつつ向かいましょう。 県道の終点が清津峡の入口です。清津峡には駐車場が2カ所(最混雑期は3カ所)ありますが、収容台数に限りがあるため、混雑期は駐車場待ちの長い渋滞が発生します。
時間帯によっては県道全体が渋滞して、交差点を越えて国道353号線にまで渋滞が伸びることもあります。時間に余裕をもって訪れることをおすすめします。
川沿いのカラフルな紅葉・黄葉を眺めながら、清津峡渓谷トンネルへ
清津峡の入口には売店や温泉旅館、民宿があり、その前を通り抜ける形で清津峡の散策が始まります。 川沿いの遊歩道からは、対岸にある山に広がる紅葉・黄葉を望めます。その美しさに何度も足を止めてゆっくりと見たくなります。 遊歩道を200メートルほど歩いたところに清津峡渓谷トンネルの入口があります。清津峡を観光する人々を落石から守る目的で1996年に整備されました。清津峡ならではの柱状節理が立ち並ぶ貴重な風景は、この清津峡渓谷トンネルを歩いた先で眺めることができます。
トンネルを抜けると現れる柱状節理の絶景
清津峡渓谷トンネル(有料)は、片道750メートルのトンネルです。トンネルの途中に見晴所と呼ばれるポイントが3カ所、終点のパノラマステーションで外が見えるようになっており、清津峡の絶景が望めます。最混雑期はインターネットで時間指定の入坑券の事前予約が必要になるほどの人気スポットとなります。
トンネル内は一部にゆるやかな上り坂がある以外は平坦です。往復で40分~1時間程度かかりますが、長い時間歩くのがつらい方にはトンネルの入口で介助式の車いすの貸し出しもあります。 第一見晴所までは400メートルほどの距離。第一見晴所からは、そそり立つ柱状節理の岩壁と岩に張り付く木々の紅葉・黄葉、下を流れる清津川の強い流れを望めます。目の前に迫る岩壁の迫力に圧倒されますね。 第二見晴所は、第一見晴所の60メートル先。こちらも柱状節理の岩壁と木々の紅葉・黄葉の美しさに目を見張ります。 第三見晴所は、第二見晴所のさらに60メートル先。第一、第二とは違った感じの風景を見ることができます。
渓谷美と紅葉・黄葉を楽しめるトンネルが生み出した唯一無二の“映える”スポット
第三見晴所から200メートル先が、清津峡渓谷トンネルの終点、パノラマステーションです。パノラマステーションでは、トンネル開口部の手前に水が張ってあり、トンネルの壁とあわせて外の光を反射(リフレクション)するシーンを見ることができます。 これは清津峡を含む越後妻有(つまり)地域で開催されている「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」の作品のひとつ。
「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」は里山のいたるところに点在する芸術作品を訪ね歩き、芸術と里山の暮らしに触れることができる素敵なイベントです。清津峡渓谷トンネルは、トリエンナーレに参加した建築家集団の手によって2018年に今の姿にリニューアルしました。 リニューアル後は、昨今の流行である反射(リフレクション)を活かした“映える”写真が撮れる場所として認知が進み、多くの観光客が目的地として訪れる場所となっています。 トンネルの壁沿いは水深が浅いため、靴を履いたままで水の上を歩いて開口部に行くことも可能です。
開口部からは美しいV字型の峡谷と清津川、そして周囲の木々の紅葉・黄葉を見ることができます。人気のポイントなので、風景を楽しんだらすぐ次の人に譲るなどの配慮は必要ですが、ぜひ見ておきたい風景のひとつといえるでしょう。
日本三大峡谷のひとつに数えられ、美しい渓谷美と共にカラフルな紅葉・黄葉を見ることができる清津峡を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。魚沼地方はお米だけでなく、さまざまな農産物やお酒などおいしいものがそろい、温泉も充実していますので、ゆっくりと時間をかけて出かけてみてください。
清津峡へのアクセス
<注意事項>清津峡は自由に散策できますが、清津峡渓谷トンネルに入るためには入坑券が必要です(受付時間:8時30分~16時30分)。時間帯で入坑可能人数が決められているため、紅葉が見頃などの最混雑期は現地での直接購入ができません。清津峡の公式Webサイトでインターネットによる時間指定の入坑券を事前予約した人のみ入坑可能となります。
地図:Googleマップ
アクセス:
<鉄道> ・上越新幹線 越後湯沢駅から、南越後観光バス 森宮野原駅行きに乗車し、清津峡入口バス停下車。バス停から清津峡の入口(県道の終点)まで徒歩約30分。バスの運行本数が1日4往復と少ないため、利用する場合は時刻表を確認してください。
・期間限定で、越後湯沢駅または飯山線・北越急行 十日町駅から清津峡の第1駐車場まで直通する事前予約制のシャトルバス運行があります。
<車> ・関越道 塩沢石打インターチェンジから国道353号線に入り、十二峠トンネルを越えた後、清津峡への道案内に従って県道389号線(清津公園線)へ。
・駐車場(無料)は、県道の終点に第1駐車場、400メートルほど手前に第2駐車場があります。満車の時は第2駐車場の入口手前で入場待ちとなります。混雑期は高台にある第3駐車場も開放されますが、第3駐車場から第1駐車場まではシャトルバス(約10分)での移動が必要です。
・最混雑期は、駐車場からの渋滞が国道353号線まで延びることがあります。時間に余裕をもって訪れることをおすすめします。
【関連サイト】
・日本三大峡谷 清津峡
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◇「紅葉・黄葉の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで紅葉・黄葉の名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。