企業の人材採用

もしあなたの会社で「不正」が発覚したら…「不正への関わり方」別で転職活動のOK・NGはこう変わる

ビッグモーターの不正・不祥事問題が連日報道されています。不正が発覚した企業の社員は、離職すべきか、それともこのまま働き続けるかの判断をしなければなりません。転職活動をする際に気をつけたいポイントを解説します。

本田 和盛

執筆者:本田 和盛

企業の人材採用ガイド

不正発覚で世間を賑わせているビッグモーター

「不正への関わり方」別で転職活動での動き方はどう変わる?

ビッグモーターの不正・不祥事問題が連日報道されています。ビッグモーターの社員や家族に対する誹謗(ひぼう)中傷、社員の子どもに対するいじめなども発生しているとの報道もありました。不正とは無関係な家族にまで、勤務先の不祥事が影響しているのは、心が痛みます。

これから具体的な捜査が入り、実際に不正に荷担していた社員で立件が可能と判断された者は起訴され、裁判にかけられることになります。それ以外の社員は、これから離職すべきか、それともこのまま働き続けるかの判断をしなければなりません。ただし、このタイミングで拙速な判断は避けなければなりません。まずは、自身にとってのメリット・デメリットを冷静に比較しながら、自身のキャリアを決めることが大切です。
 

不祥事企業の社員の市場価値は低下する

不祥事を起こした企業の社員の市場価値は、一時的には低下します。もちろん不正や不祥事が一部の部門だけでとどまっている場合は、他の部門の社員の市場価値には影響を与えません。

しかし、ビッグモーターのケースでは板金部門だけでなく、店舗の営業部門でも不正や、街路樹を枯らすなどの不適切行為が報道されていますので、企業全体のイメージが大きく損なわれてしまっています。仮に不正に全く関与せず、不正についても全く知らなかったとしても、「君も本当は不正をやっていたのだろう」「実は知っていたのだろう」と勘ぐられてしまい、採用面接でも色眼鏡で見られてしまう懸念があります。

また無事面接を通過して採用されたとしても、同じ職場の同僚から好奇のまなざしで見られ、仲間外れなどのいじめに遭う恐れは十分にあります。そうなるとホットな時期に転職活動をするのではなく、世の中の注目が少し落ちついてから、転職活動を行うことも検討の余地があります。

しかし、業績悪化が避けられない今の会社を早々に見限って、新たなフィールドで再出発したいという方も多いと思います。
 

転職活動でやるべきこと・やってはいけないこと

まず、不祥事部門として報道されていない部門の社員(今回で言えば、人事や経理といった管理部門)は、多少好奇のまなざしで見られるとしても転職自体は難しくないと思います。むしろ、「自分の知らないところで、こんな不正が行われていたのでショックを受けた」とストレートに自身の転職の理由を説明すれば、応募先の採用担当も納得するはずです。

一方で、現在の会社を批判してはいけません。どんな事情があったとしても、現在や過去に働いていた会社をあからさまに悪く言う応募者を人事は評価しません。採用しても、結局不満を言ってすぐに辞めるのだろうと考えるからです。会社批判よりも、自己アピールに目を向けましょう。

例えば、渦中のビッグモーターであれば、成果と報酬が一致している会社で、それに魅力を感じて働いている社員も多いと思います。会社批判よりも、このような会社の特徴を捉えて、自身が成果にコミットする人材であることをアピールする方が、メリットがあります。

また不正の主な舞台になっていた部門の社員でも、今回の不正に直接関わっていなかったのであれば、自己弁護や下手な言い訳をするよりも、正々堂々と「今回のことで社会を騒がせてしまい申し訳ない」と謝罪し、自身のスキルや経験を具体的に語れば悪い印象は与えません。今回で言うと、板金部門の整備士は、工業高校を卒業し新卒で入職する若者が年々減少していることから、労働市場での需給は逼迫(ひっぱく)しています。条件を選ばなければ、転職先は必ずあります。
 

不正や不祥事の当事者の場合

あなたが不正や不祥事に多少なりとも加担した当事者である場合は、さらに慎重に対応しなければなりません。今回の問題では、現時点での報道内容から考えると、板金部門や営業部門といった特定の部署で幅広く行われていたと考えられます。そうすると問題部門にいながら、「私は全く知りませんでした」と白を切っても誰も信じないと思います。同じ職場で、これだけのことが起きていて、同僚として何も違和感を持たなかったというのは、通常あり得ないからです。

仮にウソをついて、その場をやり過ごしたとしても、人事はいろいろなルートで情報を集めて事実を検証しますので、あとで辻褄が合わなくなることが多いです。結局、応募先にウソがばれ、内定取消や経歴詐称で解雇されるのがオチです。

ここはある程度正直に話し、「プレッシャーの中で、本来の自分を見失っていました」と、反省の言葉を述べて理解してもらうしかありません。

もしくはリスキリング(今までの仕事とは異なる新しい仕事に就くためのスキルアップ)を行って、別のキャリアに進むことを検討してもいいかもしれません。渦中の中古車販売業界でいえば、自動車は電動化の方向に進むのはほぼ確実なので、従来のガソリン車を中心とした知識や整備スキルは、いずれ陳腐化します。また自動車は家電量販店でも販売され、中古車は中古車販売店だけではなく、個人間でも売買されるようになります。先を見越して、キャリアチェンジするのも一案です。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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