バブル期のタクシー会社にヒントが?
大前提として体調不良のドライバーに無理な勤務を強いたり、新たなルールである時間外労働の上限を超えての勤務はさせられませんから、他の手立てを考える必要があります。どの業界でも、手近なところで予備スタッフとなりうるのは、経営者を含めた管理職層および事務職です。トラックドライバーの場合、大型免許という資格が必要なので、まずは経営者、役員はじめ全社員が大型免許を取得して、いざという時に予備ドライバーとして勤務できる状態にしておくことが必要です。もちろん大型免許を取得すればそれでOKではなく、日頃からの運転への慣れと定期的に安全運転講習を受けることは言わずもがなです。
次に考えられるのは、臨時雇用契約で予備ドライバーのストックを作っておくという方法です。雇用形態は契約社員、アルバイト、パートなどがありますが、緊急事態でも対応できるだけストックとなるスタッフを増やしておく必要があるでしょう。このやり方には過去に成功例があります。
1980年代後半のバブル期はタクシーがとにかく大繁盛で、車を走らせておきさえすれば儲かるという時代でした。しかしながら、バブル期は好景気で人手不足がひどく、3K職種にはとにかく人が集まりませんでした。そんな状況下でタクシー会社がとった苦肉の策が、二種免許(タクシー乗務員に必要な免許)保有者に広く声がけして、予備ドライバーをたくさん作っておくという方法でした。
会社によっては、二種免許取得費用を負担してまで希望者を募り、いざという時に自社のハンドルを優先的に握ってくれる登録ドライバーを増やしたところもありました。こうして、社員ドライバーの病欠等で空きの車が出ると、すぐに登録ドライバーに片っ端から声をかけることで車を遊ばせない、という方法で好景気の波を逃さなかったのでした。
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