この事故に関する捜査が進む中で、死亡したトラックの運転手が事故当日、勤務先に体調不良を訴えていたことが分かり、トラックを所有する養豚業者の業務管理上に問題があったのではないか、との報道がされています(※1)。 もちろん今回の事故が、本当にドライバーが体調不良を訴えているにも関わらず運転をさせていたのだとすれば、それは安全管理上論外ではあります。しかし中小運輸業者には、そうならざるを得ない理由もまた透けて見えるのです。
運輸業が抱える「2024問題」
運輸業の大半を占める中小業者では、予備ドライバーを常に抱えているような会社は少なく、ドライバーの体調が悪いからといってその日の配送を中止して顧客に迷惑をかければ、今後仕事がもらえなくなるというリスクを負っています。となると、結果的にドライバーに無理を強いてしまう。そういうことは日常的にあるのだと、ネット上でもドライバー自身の口から語られています。そもそも運送業界は古くから3K(きつい、汚い、危険)職種と言われ、慢性的に人手不足という問題を抱えています。このような状況に加え、新たな問題もくすぶっています。
それは、働き方改革の一環で2024年4月1日からトラックドライバーに適用される時間外労働の上限規制が実施される、いわゆる運輸業の「2024年問題」です。中小の業者はただでさえ人材確保に四苦八苦しているところに労働時間規制までかけられるならば、さらに厳しい状況に追い込まれることでしょう。安全面を確保しつつ問題を解決していくためには、今から真剣に対策を練っておかなくてはいけないと言えそうです。
>次ページ:トラック運転手の緊急事態に会社はどう対応する?