マネジメント

トラック運転手は休めない、休ませられないジレンマ……北海道八雲町の事故から考える「2024問題」

北海道八雲町で発生したトラックとバスの衝突事故。その後の捜査でトラック運転手が事故当日、勤務先に体調不良を訴えていた、との報道がされています。もしも本当にドライバーが体調不良を訴えているにも関わらず運転をさせていたのだとすれば、それは安全管理上論外ではあります。しかし中小運輸業者には、そうならざるを得ない理由もまた透けて見えるのです。

大関 暁夫

大関 暁夫

組織マネジメント ガイド

東北大学卒。横浜銀行入行後、支店長として数多くの企業の組織活動のアドバイザリーを務めるとともに、本部勤務時代には経営企画部門、マーケティング部門を歴任し自社の組織運営にも腕をふるった。独立後は、企業コンサルタントの傍ら上場企業役員として企業運営に携わる。

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2023年6月18日、北海道八雲町の国道で、家畜の豚を積んでいたトラックが対向車線にはみ出して都市間高速バスと衝突。両運転手とバスの乗客合わせて5人が死亡、12人がけがをする事故が発生しました。

この事故に関する捜査が進む中で、死亡したトラックの運転手が事故当日、勤務先に体調不良を訴えていたことが分かり、トラックを所有する養豚業者の業務管理上に問題があったのではないか、との報道がされています(※1)。
※画像はイメージ

※画像はイメージ

もちろん今回の事故が、本当にドライバーが体調不良を訴えているにも関わらず運転をさせていたのだとすれば、それは安全管理上論外ではあります。しかし中小運輸業者には、そうならざるを得ない理由もまた透けて見えるのです。
 

運輸業が抱える「2024問題」

運輸業の大半を占める中小業者では、予備ドライバーを常に抱えているような会社は少なく、ドライバーの体調が悪いからといってその日の配送を中止して顧客に迷惑をかければ、今後仕事がもらえなくなるというリスクを負っています。となると、結果的にドライバーに無理を強いてしまう。そういうことは日常的にあるのだと、ネット上でもドライバー自身の口から語られています。

そもそも運送業界は古くから3K(きつい、汚い、危険)職種と言われ、慢性的に人手不足という問題を抱えています。このような状況に加え、新たな問題もくすぶっています。

それは、働き方改革の一環で2024年4月1日からトラックドライバーに適用される時間外労働の上限規制が実施される、いわゆる運輸業の「2024年問題」です。中小の業者はただでさえ人材確保に四苦八苦しているところに労働時間規制までかけられるならば、さらに厳しい状況に追い込まれることでしょう。安全面を確保しつつ問題を解決していくためには、今から真剣に対策を練っておかなくてはいけないと言えそうです。

>次ページ:トラック運転手の緊急事態に会社はどう対応する?
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