豊かな自然を有する北ヨーロッパの国・フィンランド。サウナ文化や「マリメッコ」のデザインなどで知られ、日本からも多くの旅行客が訪れています。
そんなフィンランドは、2022年7月1日に新型コロナウイルス関連の入国規制を撤廃(※)。入国のハードルが下がってきたことから、まさに旅行を検討中の人もいるかもしれません。そこで今回は、フィンランドを訪れる人が知っておきたい最新「トイレ事情」を、現地在住の筆者が紹介します。
行けるときに「無料トイレ」を利用するのがおすすめ
もともとフィンランドでは、街中の公衆トイレは有料であることのほうが普通でした。ところが近年は、公衆トイレの無料化がずいぶん進み、少なくともショッピングモールや百貨店、図書館、首都圏の地下鉄駅などでは、無料トイレに駆け込めるようになりました。
また、長距離列車やバス内のトイレも無料です(一般的に、近距離列車や市内バス、トラム内にはトイレはありません)。
一方で、鉄道駅や公園に設置された公衆トイレは今なお有料であることが多く、利用する場合は20セント~1ユーロを支払います。あらゆる場所でキャッシュレス化が進んでいるフィンランドですが、こうした昔ながらの有料トイレでは、現金(コイン)での支払いや、指定の電話番号にコールして、携帯電話の使用料として引き落としてもらう……という面倒なプロセスを要する場合もあります。
その労力と手間賃を回避する意味でも、フィンランドでは「行けるときに無料トイレに行っておく」ことを強くおすすめします。
なおショップやレストラン内のトイレでは、「トイレだけの使用なら1ユーロ店頭に支払ってください」という張り紙をよく見かけます。やむを得ずトイレだけを借りたいときは、正直にレジで伝え、先に料金を支払いましょう。
公衆トイレの内部の様子
フィンランドの公衆トイレでは、押しボタン式、あるいはレバー引き上げ式の水洗便所が一般的です。自然の中にある簡易トイレでは、用を足した後にスコップで土をかける、いわゆるバイオトイレにも出くわすでしょう。男性用トイレで日本人男性がよくびっくりするのが、便器の位置の高さ。平均身長180cmのフィンランド人男性の足の長さに合った規格なので、日本人だと背伸びをしないと届かない、というハプニング談をよく耳にします。
・個室内にシンク、シャワーが設置されていることも
それぞれの個室内に手を洗うシンクが設置されているトイレもよくあります。これは、月経カップの洗浄などにも便利です。
なお、水道の水を出しっぱなしにした状態で、シンク横のミニシャワーを手にとってボタンを押すと、水の軌道が切り替わり、お尻を洗うこともできます。日本のような温水洗浄便座はないので、必要な人はこれで代用してください。
・「INVA」と書かれているのは「バリアフリートイレ」
扉に「INVA」と書かれている個室は、車椅子やベビーカーでも入れるバリアフリートイレです。かなり広く設計されていて、ボタン1つで施錠でき、おむつ替えや授乳用のベッドもあります。必要な人は、ぜひ活用してください。
トイレの「男女共用化」が進行中
フィンランドは、あらゆるセクシャリティの人が困難なく、平等に暮らせる社会づくりへの意識が高い国。2010年代後半頃から、公共施設やショッピングセンター内などの公衆トイレでも、徐々に「男女兼用化」、すなわち性別に関わらず誰もが使える「共用トイレ」の増設や改装が進んでいます。
空港など国際的な人たちが集まる場所では、従来どおり男女でトイレが分かれていることが多いですが、市街の公共施設内では男女が区別なく出入りするトイレに出会う確率が高いことを、覚えておいたほうがいいでしょう。