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『かもめ食堂』のイメージを払拭したい!荻上直子監督が“宗教”にのめり込む主婦を描く衝撃作『波紋』(2ページ目)

映画『かもめ食堂』『川っぺりムコリッタ』などを手がける荻上直子監督の最新作『波紋』。夫が失踪後、宗教にのめり込んだ主婦の生き方を描いた本作について、荻上監督にインタビューしました。画像:(C)2022 映画「波紋」フィルムパートナーズ

斎藤 香

執筆者:斎藤 香

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ヒロインが宗教に依存している理由

波紋

(C)2022 映画「波紋」フィルムパートナーズ

――何かを信仰することは悪いことではないのですが、依子はかなり宗教にのめり込んでいるように見えました。監督は彼女が宗教に依存している理由をどう考えていますか?
 

荻上監督:依子の場合、もともと家族が宗教団体に入信していたわけではなく、彼女だけが入信します。これまで専業主婦として何の疑問も持たず、家事育児を懸命にこなし、義父の介護も当たり前のようにしてきた依子だけれど、その日常が夫の失踪で崩れてしまう。

おそらく夫がいなくなったあと、義父を介護施設に預けた時に宗教の勧誘を受けたんじゃないか。弱っている心につけ込まれたんじゃないかと考えました。
 
そして、依子は主婦業以外のことは何もしてこなかったので、夫が消えて、義父もいなくなり、息子も自立したあと、やることがなくなり時間を持て余していたんじゃないかと。そんな時だったので宗教が心のよりどころとなっていったんだと思います。
 
――自由な時間を持て余していたのですね。
 
荻上監督:近所の宗教団体の建物に入っていく方たちを見ていると、みなさんきれいなお洋服を着て、優しそうな微笑みをたたえていらっしゃる。でも、冷静に考えると平日の昼間に、そういう施設に日々通えるというのは、やっぱり時間があるんだろうと思ったんです。そんな風に私が抱いた印象も依子というキャラクターに投影しました。

>次ページ:なぜ依子は勝手に出ていった夫を再び家に入れたのか……
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