中学受験

中学受験本番直前に「第一志望校を諦める」のはあり?

中学受験本番直前に「第一志望校を諦める」のはありなのか。一度決めた志望校は、最後まであきらめないことが大切です。しかしこんな場合は、1月に入ってからでも受験校を変えてよい、という3つのパターンをアドバイスします。

宮本 毅

執筆者:宮本 毅

学習・受験ガイド

中学受験直前に第一志望校を諦める…変更を検討してよいパターン3つ

中学受験本番直前に第一志望校を諦める

直前期に志望校を変えるのは危険?

いよいよ中学受験本番が迫ってきました。早い学校では、年明け早々にも入試がおこなわれます。そんな直前期に、志望校を変えるのはありでしょうか。

多くの方はすでに受験校を固めている時期ではありますが、万が一の心の準備のためだけでも、こんなときは臨機応変に受験校の変更を検討してもよいという3つのパターンをアドバイスします。
 
<目次>
 

受験校は「12月中旬」頃までに固めておくのが基本

中学受験をする多くの小学6年生は、志望校がすでに決まっている時期でしょう。しかし、もしかしたら1月に受験する合否により志望校を変更する可能性がある、という方もいらっしゃるかもしれません。

また、小学校5年生以下の方々のためにもあえて申し上げるのであれば、12月中旬くらいまでには、受験校は併願パターンを含めて決めておいた方がよいものです。その理由は3つあります。
 
まず第一に、中学受験においては志望校対策が非常に重要である、ということが挙げられます。この対策をみっちりやることで、持ち偏差値「プラス10」くらい上の学校は、十分逆転合格が可能となります。その意味からも、できるだけ早く志望校を決めて、過去問をみっちりやりこんでおいた方が有利なのです。
 
第二に、心の準備ができるということです。中学受験は親も子も「胆力」が要求されます。2月1日の午前・午後と受験して両方不合格だと、次の日までにメンタルを回復するのは正直、難しいものです。しかし「この結果のときはこう受ける」という綿密な“併願作戦”がしっかり決まっていれば、「こう受けると決めているのだから」と腹をくくりやすいですし、ひらき直って次の日の入試結果にも好影響を及ぼす可能性があります。ですから、最悪のパターンも含めて、併願パターンはできるだけ早めに決めておくべきなのです。
 
第三に、お子さんのモチベーションアップにつながるということです。志望校が決まれば、その学校のホームページや学校案内などを見ながら、4月からスタートする新しい中学校生活に思いを馳せることもできます。制服やカフェテリア、部活や実験器具など、学校案内には魅力的な情報が満載です。いやが上にも気持ちが盛り上がりますよね。断然、やる気がアップすることでしょう。
 
以上のような理由から、志望校や受ける可能性のある学校については、少なくとも12月までにはできる限り細かく決めておくべきなのです。その際、親がすべて勝手に決めるのではなく、必ず受験生本人の希望や意見も取り入れてください。本人が蚊帳の外では実感もわきませんし、受験を「自分事」として捉えることができず、いつまでたっても「明日から本気出す」状態から抜け出せません。

――では、1月に入ってから第一志望校やその他受験校を変更するのは、やめた方がいいのでしょうか。私は、全くそんなことはないと考えます。むしろそこは、本人の学力や受験生の動向により、柔軟に捉えるべきです。では一体どういった場合に、直前期に受験校や志望校の変更を検討すべきなのか、3つのパターンをご紹介します。
 

パターン1:お子さんの過去問の点数が伸び悩んでいる場合

まず最初に挙げたいのは、受験生本人と志望校の「相性」の問題についてです。

過去問演習で「合格最低点」に対して、50点以上引き離されている状態がずっと続いているのであれば、その学校のレベルと本人の学力の間に大きな開きがあるか、もしくは「相性が悪い」ということになります。

そのため直前期であったとしても、志望校変更の検討をすべきであると考えます。2月1日の午前の入試ではあえて第二・第三志望の学校を受験して、どうしてもその学校を受けたい場合には、きっちり合格を取ってから2回目入試などで受験することを検討されてください。
 

パターン2:志願者数が急激に伸びて“難化”が予想される場合

各学校の志願者数は、その学校のホームページなどに掲載されていることがあります。また、複数の学校の志願者数や昨年との比較などをしたい場合には、一部の大手塾のホームページ上で出している「倍率速報」を参考にされるとよいでしょう。

このときに、昨年に比べて受験者数が1.5倍とか2倍になっている場合は要注意です。それだけで「即」志望校変更とはならないでしょうが、たとえば併願校を検討し直したり、パターンを増やしたりする必要はあるかもしれません。
 

パターン3:1月の「お試し受験」で不合格となってしまった場合

多くの受験生が2月の入試本番前の1月中に、埼玉県や千葉県の入試で「お試し受験」をすると思われます。中には第一志望に近い学校を受ける人もいるかも知れませんが、2月1日以降の学校を第一志望としている受験生の場合、1月校はあくまでも「場慣れするため」の練習です。ですから極論をいってしまえば、合否はあまり関係ありません。

しかしながら、受かると思って受けに行ったのに不合格となってしまった場合、心理的にはちょっと不安ですよね。そうした場合にはまず、1月中に追加で受験校を増やすことも検討されるとよいでしょう。同時に2月1日以降の併願パターンも、少し見直しておくとよいでしょう。
 
今は「ネット出願」が当たり前で、わざわざ前日までに書類をそろえたりする必要はなくなり、入試直前まで出願可能な学校もあります。志望校は「一度決めたら最後まであきらめない」という考え方も大切ですが、状況により臨機応変に柔軟に作戦変更することも、視野に入れておくとよいのではないでしょうか。

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