定年・退職のお金

国家公務員の退職金、平均でいくら? 民間との差は?

国家公務員の退職手当(退職金)額は、勤続年数や退職理由などをもとに計算されます。退職金の平均相場はいくらくらいか、民間企業に比べて高いか安いかを調べてみました。

大沼 恵美子

執筆者:大沼 恵美子

貯蓄ガイド

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国家公務員の退職金、平均相場はどれくらい?

巷では、公務員の退職金は高額、中でも国家公務員の退職金は高く民間企業との差は大きい、とのイメージが定着しています。実態はどうなのでしょうか。国家公務員の退職金(正式名称は「退職手当」)について調べてみました。
霞が関に国家公務員約59万人の多くが出勤している。

霞が関は、いわば国家公務員の本社ビル群。今回は国家公務員の退職金について紹介します

 

常勤の国家公務員は約26万9000人

国家公務員は、大臣や国会議員、裁判官・裁判所職員、防衛省職員・自衛隊員などの特別職と行政職や外交官、税務署職員などの一般職に分かれています。令和4年度の国家公務員は約58.9万人(特別職29.8万人、一般職29.1万人)です(令和4年度末予算定員)。

国家公務員の退職手当制度は、「独立行政法人の役員や国会議員とその秘書などを除く常時勤務あるいはこれに準じるもの」が対象です。内閣人事局「一般職国家公務員在職状況統計表」によると、令和3年7月1日時点の常勤職員数は26万9101人、その56%を行政職俸給表(一)の適用者が占めます。

>>内閣府「一般職国家公務員在職状況統計表」はこちら
 

国家公務員の退職金の計算方法

国家公務員の退職手当額は、「基本額(退職日の俸給月額×退職理由別・勤続年数別支給率×調整率)+調整額」で算出します。
 
定年退職の支給率は、勤続1年の0.837から始まり、勤続35年まで1年ごとに上がります。勤続35年以上は47.709を用います。

現在、国家公務員の定年年齢は原則60歳ですが、2023年から2年ごとに1歳ずつ引き上げられ2031年度から65歳になります。ただし、職務と責任の特殊性・欠員補充が困難な医師等は、人事院規則により66歳から70歳の間になります。60歳に達した日以降定年前に退職した場合の退職手当は、当分の間「定年」と同等の算定が行われます。
 

国家公務員の退職金は平均1023.9万円、定年退職は2142.1万円

内閣人事局「国家公務員退職手当実態調査(退職手当の支給状況)令和2年度」によると、常勤職員の令和2年度中の退職者は2万9641人で、平均退職手当は1023.9万円(前年度は1082.2万円)です。うち行政職俸給表(一)適用の退職者は7140人、平均退職手当は1507.4万円(同1548.0万円)です。
 
定年退職者は1万251人で、平均退職手当は2142.1万円(同2090.6万円)、うち行政職俸給表(一)適用者は3760人、平均退職手当は2127.9万円(同2140.8万円)です。

退職理由別の退職手当受給者数と平均退職手当は次の通りです。( )内は令和元年度の退職手当額です。

常勤職員
退職者数2万9641人/平均退職手当1023.9万円(1082.2万円)

<内訳>
  • 定年1万251人/2142.1万円(2090.6万円)
  • 応募認定退職(※1)1652人/2551.9万円(2588.1万円)
  • 自己都合7019人/299.4万円(316.1万円)
  • その他(※2)1万719人/193.5万円(201.6万円)
 
常勤職員のうち、行政職俸給表(一)適用者について
退職者数7140人/平均退職手当1507.4万円(1548.0万円)

<内訳>
  • 定年3760人/2127.9万円(2140.8万円)
  • 応募認定退職(※1)863人/2276.0万円(2278.0万円)
  • 自己都合1290人/384.9万円(362.7万円)
  • その他(※2)1227人/245.4万円(265.8万円)
 
(※1)応募認定退職とは、平成25年10月31日で廃止された「勧奨退職」に代わって導入された制度。
(※2)その他は、任期制自衛官等の任期終了(常勤職員)や死亡等による退職を含む。
 

民間の退職一時金は約1100万円

令和3年7月に行った「民間の退職金及び企業年金の実態調査の結果並びに国家公務員の退職給付に係る人事院の見解の概要」(人事院 令和4年4月公表)によると、国家公務員と民間企業の退職金の格差は、1.5万円とあります。

民間/約2406万円(退職一時金1148.0万円+企業年金1257.5万円)
国家公務員/約2407万円(退職手当2185.0万円+共済年金給付222.0万円)
*年金分は退職時点で一時金として支給するものとして計算した。

国家公務員と民間の退職金の差は1.5万円となっていますが、退職時に手にする現金の差は1000万円を超えます。また、日本経済団体連合会「2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」(2022年3月15日発表)では、民間企業の大学卒の60歳退職金給付額は約2243万円(退職一時金のみ・退職一時金と年金併用・退職年金のみの場合の額を合算し単純平均したもの)です。民間と公務員の退職金の格差は続きそうです。
 
>>人事院『民間の退職金及び企業年金の実態調査の結果並びに国家公務員の退職給付に係る人事院の見解の概要』はこちら

>>日本経済団体連合会『2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果』はこちら

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