おかでんチャギントン電車とは?
岡山市内を走る路面電車の岡山電気軌道(おかでん)は、JR九州の観光列車で有名な水戸岡鋭治氏がデザインした車両が多数走っている。そのうちの究極の車両が「おかでんチャギントン電車」だ。チャギントンとは、きかんしゃトーマスと人気を二分する鉄道アニメのことである。 トーマスはSLがメインなのに対し、チャギントンはSLのみならず各種鉄道車両が登場する。その中で、人気キャラクターの赤いウィルソン(Wilson)と青いブルースター(Brewster)を実物の車両にして2両編成としたのがおかでんチャギントン電車だ。 ウィルソンのモデルはアメリカ各地で20世紀中盤に活躍した有名なディーゼル機関車、ブルースターはイギリスで20世紀後半に特急列車などの牽引に活躍したディーゼル機関車をイメージしている。どちらも、機関車なので客室はなく、したがって窓は少ない。電車化するにあたり、ドアを設置しているものの窓を小さくして、機関車本来のイメージをよく表している。なお、ブルースターはBrewsterであってBlue Star(青い星)ではない。
おかでんチャギントン電車の楽しみ方、行程など
窓が小さくて少ないため、この電車は車窓を楽しむようにはなっていない。閉ざされた空間内は、現実とはかけ離れた独自の世界が展開し、子どもを中心としたイベントで盛り上がって道中を過ごすように工夫されている。電車の顔はチャギントンのキャラクターそのものなので、どこか日本離れした表情だ。頭に警笛用のラッパが付いているのも英米の機関車らしくて面白い。チャギントン電車は、すべて指定席。事前に特別乗車チケット(おとな3500円、こども2000円、平日は100円安くなる)を購入しなければならない。内訳は車内イベントを含めたチャギントン乗車料金、おかでんミュージアム入館料、乗車記念カード、路面電車1日乗車券である。帰路はチャギントン電車に乗れないので、各自1日乗車券を使って岡山駅前などに戻ることになる。 運行スケジュールは土休日、学校の長期休業期間、月曜、金曜は、1日3本。いずれも岡山駅前を発車し、清輝橋まで往復して一旦岡山駅前に戻った後、東山(正式名称は、東山・おかでんチャギントンミュージアム駅電停だが、長いので以下東山と記す)まで走る58分の行程だ。平日の水曜と木曜は体験版直行便(おとな600円、こども300円)で、岡山駅前から東山まで進む20分の行程である。
チャギントン電車は、岡山駅前を出るときは、赤いウィルソンが先頭になる。清輝橋で折り返すときは、青いブルースターが先頭になる。最後尾となる車両の運転台はブラインドが下ろされ、大きな目玉がぎょろりとあたりを見回していて愉快な表情だ。
人気電車なので満席のことが多いのだが、乗車しなくても、走りを見ているだけでも楽しめる。遠くからチャギントンのテーマ音楽を流しながら登場するので、存在感たっぷりだ。
おかでんミュージアムを訪問しよう
東山に到着すると、次の出番に備えて車両基地に入ってしまう。車両基地とは道路を隔てた反対側にあるのが、「おかでんミュージアム」だ。元々関係者以外立ち入り禁止だった車両工場の一部をリノベーションしてミュージアムとしたもので、デザインしたのはチャギントン電車同様、水戸岡鋭治氏。入口でスリッパに履き替え、館内へ。左奥にカウンターがあるので、入館料を支払う。
正規料金は1000円だが、おかでんの路面電車1日乗車券(400円)を見せると500円になる。あらかじめ一日乗車券を買っておいた方がおトクだ。 館内は、チャギントンと水戸岡鋭治氏の世界が横溢している。チャギントン関係のグッズやポスターはもちろんのこと、水戸岡鋭治氏がデザインしたJR九州の車両のうち、子ども向けの観光列車「あそぼーい」やそのマスコットキャラクターのKURO(くろ)ちゃんなども大々的に取り上げられている。 2階には巨大なプラレールのコーナーがあり、中国地方ゆかりの寝台特急サンライズ・エクスプレスやSLやまぐち号の模型も走っている。 鉄道以外では、1階の入り口付近にいる猫館員ミュー(美宇)くんが人気だ。ミュージアムのネコだからミューと呼ぶらしい。普段はガラスケースの中で寝ている。フラッシュ撮影禁止、ガラスを叩いたりしないでそっと眺めてあげよう。 東山から岡山駅前までは路面電車で15~20分程度。本数は、コロナ禍の減便ダイヤだが、それでも日中は7分間隔での運行なので不便ではない。遠くからの旅行者でも、半日ほど時間があれば、岡山駅から気楽に訪ねられる。気になる人はぜひ一度、訪れてみてはいかがだろうか。
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