東京メトロ日比谷線は、前身の営団地下鉄の路線としては、銀座線、丸ノ内線に続く3番目の路線として1964年の東京五輪に間に合うように全線開業した。中目黒駅では東急東横線と接続し、六本木、銀座、秋葉原、上野を経て北千住駅に至り、東武伊勢崎線と直通運転を行っている。路線カラーはシルバー、路線記号はH。

本稿では、駅ナンバリングの順番に従い、H 01の中目黒駅から北千住駅まで見ていこう。
 

1. かつてはあった東横線直通電車

日比谷線13000系

中目黒駅に到着する日比谷線13000系

日比谷線の南の起点は中目黒駅(H 01)。東急東横線の上下線に挟まれるようにホームがあり、2番線が到着ホームで降車専用(同じホームで東横線横浜方面の乗り換えが可能)、3番線が北千住方面への発車ホームだ。到着した電車は隣の祐天寺駅寄りにある引き上げ線に進んでしばらく待機した後、3番線に入線して発車する。同じホームの4番線は東横線渋谷方面への乗り場なので、東横線の横浜方面から日比谷線への乗り換えは便利だ。
引き上げ線で待機する日比谷線の電車

中目黒駅の引き上げ線で待機する日比谷線の電車。左は東横線の元町・中華街行き

駅は高架上にあり、渋谷寄りでは目黒川を跨いでいるので、春先にはホーム上からお花見ができる(といっても狭い場所なので長時間の滞在はやめたほうがよい)。日比谷線の電車は地上ホームを発車すると、勾配をくだり地下に潜る。

日比谷線の全線開業と同時に東横線の日吉(後に菊名)まで相互直通運転が始まり、最盛期には15分毎に直通列車が走っていたが、2013年に休止している。東横線と副都心線との直通運転がメインとなったことと、当時の日比谷線車両は3扉18mで、東横線や副都心線直通電車がすべて4扉20m車だったため、ホームドア設置に支障があったためといわれている。現在、日比谷線の車両はすべて4扉20m車に置き換えられたものの、直通運転再開の兆しはない。
 

2. 長野電鉄へ譲渡された日比谷線の車両

元日比谷線3000系

廃止となった長野電鉄屋代線を走っていた元日比谷線3000系

日比谷線の車両は、開業当初から使用された3000系、その後継車03系ともに引退後は、長野電鉄に譲渡され短い編成に組み替えられて第2の人生を送っている。3000系は長年活躍して、すっかり信州に馴染んできたが、老朽化により、そろそろ全車引退の予定だ。03系に関しては、熊本電鉄と北陸鉄道にも譲渡されて活躍中である。
 

3. ホームドア設置が遅れている理由

ホームドア未設置の駅

まだホームドア未設置の駅も多い(八丁堀駅)

東京メトロでは積極的にホームドア設置を進め、これまでに銀座線、丸ノ内線、有楽町線、副都心線、南北線、千代田線では全駅の設置が完了した。半蔵門線についても未設置は3駅、東西線の未設置は東部の高架区間などで13駅となり都心の駅はほぼ完了した。
ホームドアが設置された秋葉原駅

いち早くホームドアが設置された秋葉原駅

ところが日比谷線だけは設置が遅れ、都心部の地下でホームドアが設置されているのは3駅のみだ(2021年10月現在)。これは、車両を3扉(1部に5扉車あり)18m車8両編成から4扉20m車7両編成に置き換えるため、すべての車両が置き換わってからホームドア設置工事を開始することにしたためである。

新型車両への置き換えは、2020年2月末に完了し、以後、ホームドアの設置が始まっている。2020年6月に開業した虎ノ門ヒルズ駅は最初からホームドア付きだ。今後、急ピッチでホームドア設置が進むものと思われる。
 

4. 新しく開業した虎ノ門ヒルズ駅

虎ノ門ヒルズ駅

まだ工事中の虎ノ門ヒルズ駅

オフィス、住宅、店舗、会議場などがある複数の超高層ビルから成り立つ複合施設直結の駅として2020年6月に開業、日比谷線の駅としては全線開業以来56年ぶりにできた新駅である。といっても、未だ工事中の暫定的な姿で、中目黒方面から2番線に降り立つと、肝心の虎ノ門ヒルズへ行くには一旦地上に出て交差点を渡らなければならず不便だ。ホームの下、地下2階にコンコースが設置される予定で、完成するのは2023年頃といわれている。
オーバル広場

虎ノ門ヒルズのオーバル広場

日比谷方面から到着する1番線の改札を出れば虎ノ門ヒルズと直結しているのみならず、銀座線虎ノ門駅とも地下通路でつながり、これにより日比谷線と銀座線との乗り換えができるようになった。また、虎ノ門ヒルズ駅開業にともない、霞ケ関駅から北千住駅までの駅ナンバリングが変更された。
 

5. 座席指定列車THライナー

THライナー

霞ケ関駅に入線したTHライナー

東武伊勢崎線(愛称「東武スカイツリーライン」)と日比谷線を直通する有料の座席指定列車。T=Tobu(東武)、H=Hibiya line(日比谷線)あるいは、T=Tokyo(東京都心)、H=Home(自宅)を表すといわれている。クロスシートとロングシートの変換が可能なマルチシート車両が使用され、THライナーとして走るときはクロスシートに座ることができる。

朝は久喜発恵比寿行きが2本設定され、霞ケ関駅までが座席指定、霞ケ関駅から恵比寿駅までは無料の自由乗降区間となる。下りは夕方から夜間にかけて5本設定され、いずれも霞ケ関駅始発久喜行きである。なお列車ダイヤは平日と土休日では異なるので注意を要する。
THライナー車内

THライナー車内

停車駅は、久喜を出ると、東武動物公園、春日部、せんげん台、新越谷、上野、秋葉原、茅場町、銀座、霞ケ関だけだ。なお、東武線内あるい日比谷線内のみの利用はできない。また、北千住駅には停車するものの乗務員交代のためであり、ドアは開かない。

混雑の激しい路線だけに、580円あるいは680円追加してゆったり通勤ができれば喜ぶ人もいるだろう。東京メトロ線内を走る有料の座席指定列車は、千代田線内を走る小田急ロマンスカー、西武線から有楽町線、副都心線に直通するS-TRAINに次ぐ3例目となる。
 

6. 近年、地上連絡で乗換ができるようになった駅3つ

虎ノ門ヒルズ駅案内板

虎ノ門ヒルズ駅と虎ノ門駅の連絡通路にある案内板

日比谷線には他の地下鉄線と交差するものの乗換駅が設置されていない箇所がいくつもあった。
六本木駅と神谷町駅の間では南北線と交差するものの未だに駅はない。神谷町駅と霞ケ関駅との間では銀座線と交差するものの駅がなかったけれど、これは虎ノ門ヒルズ駅の開業で虎ノ門駅とつながり、乗換駅となった。
有楽町線への乗り換え案内

築地駅にある有楽町線への乗り換え案内

その少し前になるが、2018年3月には、築地駅と近くで交差する有楽町線の新富町駅が乗換駅に指定され、地上を歩いて乗換ができるようになった。同時に、人形町駅にほど近い半蔵門線の水天宮前駅も乗換駅に指定され、やはり地上を歩いてではあるけれど乗り継ぎが可能になった。都営新宿線の岩本町駅も秋葉原駅との乗換駅に指定され、地上を歩いて乗り継ぎ割引が適用されることになり利便性が向上している。
 

7. 近辺の見どころを表す駅のイラスト

電化製品やパソコンのイラスト

電化製品やパソコンのイラストが描かれた秋葉原駅

ホームの壁には、駅名標示はもちろんのこと、乗換案内、近辺の建物の最寄り出口が案内されている。それだけでは味もそっけもないので、名所や見どころのイラストが壁に描かれた駅がいくつかある。

例えば、築地駅には徒歩圏内にある勝鬨橋の大きなイラストがあるし、秋葉原駅は電気街の最寄りなので電気製品やパソコンのイラストがコミカルに描かれている。
あさがおのイラスト

朝顔のイラストが描かれた入谷駅ホーム

入谷駅には、入谷鬼子母神とその近辺で七夕の頃に開催される朝顔まつりに因んで朝顔のイラストが描かれていて、電車を待つ人を和ませてくれる。
木が6本あるので六本木

木が6本あるので六本木(笑)

他にも、六本木の駅名標には6本の木をイメージするイラストがあったり、東銀座駅の駅名標まわりは駅に隣接した歌舞伎座に因んで歌舞伎カラーである黒、柿色、緑で配色されている。
歌舞伎カラー

歌舞伎カラーに彩られた東銀座駅

 

8. 南千住駅と北千住駅間は高架区間

南千住駅に到着する13000系

高架にある南千住駅に到着する13000系

北千住方面へ向かう電車が三ノ輪駅を発車すると、まもなく地上に出て高架線を走り南千住駅に到着する。ここから北千住駅までの2.1kmは高架区間だ。途中で隅田川を渡ったり、JRの輻輳する貨物線など多数の線路をまたぐ。地下よりも高架線で通した方が建設上も費用的にも楽だったためのようだ。JR常磐線やつくばエクスプレスが並走し、鉄道ファンには車窓の眺めが堪能できる区間だ。
 

9. 日比谷線の車両基地

千住検車区

THライナーの車窓から見えた千住検車区

日比谷線の車両基地は2つある。その1つは南千住駅を出て北千住駅に向かう右側の地上に広がっている千住検車区だ。この車両基地に入庫するため、ラッシュが終わった時間帯を中心に南千住行きの電車が設定されている。また、乗務員の交代も南千住駅で行われる。

もう1つは、東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近にある車両基地で、千住検車区が手狭になったため東武鉄道から西新井電車区を譲り受けた。現在の名称は千住検車区竹ノ塚分室という。
 

10. 東武線に直通

北千住駅

3階にある日比谷線の北千住駅

日比谷線の北千住駅(H 22)は二層構造になっていて、東武伊勢崎線のホームの直上(3階)に2面3線のホームが設けられている。日比谷線内の運行のため北千住で折り返す電車もあるけれど、昼間は1本おきに東武線への直通電車が走っている。北千住から先、北越谷駅までは複々線であり、緩行線(各駅停車が走る線路)は日比谷線直通の電車ばかりだ。「東武日比谷線」と呼ぶ人がいるのも納得だ。

なお、北千住駅は2層構造になっているため、すぐに急行線に転線することはできない。THライナーは優等列車であるものの、隣の小菅、五反野、梅島の各駅は緩行線を走り、西新井駅の手前で急行線に移る。
 
日比谷線は全線開業以来、もうすぐ60周年になろうとしている。車両はすべて新しくなったものの、ホームドアの設置など課題もあり、老朽化した駅構内のリニューアルも一部の駅で進んでいる。都心を走る便利な路線であり、今後も注目したいと思う。


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