人気の観光列車、鉄道ガイドが選ぶ満足度ランキングTOP10を発表!

観光列車が相変わらず大ブームで、全国には数えきれないくらいの列車が走っている。そこで2019年に続いて、筆者が取材できた列車について、満足度の高かったものの中からTOP10を選んでみた。それぞれの車両について、車内設備、車窓、飲食サービス、車内イベントなどのユニークさ、沿線観光地の魅力、総合的な満足度を点数化して順位を付けたものである。
ななつ星

超豪華クルーズトレインはランキングの対象外。写真は「ななつ星」

なお、あまりに高額で抽選倍率も高い超豪華列車(「ななつ星in九州」「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」「TRAIN SUITE 四季島」「THE ROYAL EXPRESS」)については別格であり、同一には比較できないので、今回は対象外とした。また、前回除外したグルメ列車については、編集部の意向もありランキングに加えるよう改めた。

コロナ禍は中々終息しないので、まだまだ気軽に鉄道旅もできない状況ではあるけれど、近い将来に旅が再開できるときの参考になればと思う。

2019年ランキングはこちら

<目次>  

「観光列車」の魅力とは?

ランキング発表の前に、観光列車とは何かまとめておきたい。観光列車とは、単なる目的地への移動手段ではなく乗ることを楽しむための列車である。

車両に関して
・専用の車両で運行する
・車窓を楽しむための展望車や展望スペースを設けている
・ゆったりとくつろげるようなグリーン車並みの座席やソファー席を設けている
「雪月花」の展望デッキ

「雪月花」の展望デッキ(フリースペース)

サービスに関して
・アテンダントさんが乗務し、車内や車窓の案内をしてくれる
・写真撮影の手助けなどおもてなしが充実している
・飲食やグッズの販売などがある
・楽器演奏や民話の語りなど沿線ゆかりのイベントが車内である
「リゾートしらかみ」車内での津軽弁語りべ実演

「リゾートしらかみ」車内での津軽弁語りべ実演

列車ダイヤに関して
・急ぐ必要がないので、ゆっくり走る
・「絶景区間」では徐行したり、撮影のために停車したりする
・途中駅でイベントや景色を堪能するため、長時間停車をすることがある

このように特別な非日常感たっぷりの優雅な列車である。自由席は、ごく一部の列車をのぞいて設定されていないので、あらかじめ指定券を買い求める必要がある。

では、10位から順に見ていこう。
 

第10位 団体専用列車「楽」(らく)
(近畿日本鉄道 大阪線、山田線、鳥羽線、志摩線、名古屋線、京都線など)

大阪上本町駅に停車中の「楽」

大阪上本町駅に停車中の「楽」

2020年にリニューアルされ、団体専用列車として伊勢志摩への観光客輸送などに活躍している。4両編成のうち両端の2両は2階建てのためビスタカーと称し、中間2両はハイデッカー車両であり、車内からの見晴らしはすこぶる良好だ。ゆったりした座席は、転換クロスシートで2人掛けにも4人掛けにも対応する。2階建て車両には展望席、ソファーやクッションがあって寛げる階下の空間はフリースペースとして活用できる。
前面展望が楽しめる先頭車

前面展望が楽しめる先頭車

食事を提供する準備室がないので、あらかじめ自分で飲食の用意をしておく必要がある。旅行会社が募集するツアーに参加すれば、個人でも乗車可能。ツアーによって乗車区間は異なるので、神出鬼没の感がある、注目の車両だ。
 

第9位 HIGH RAIL 1375
(JR東日本 小海線、小淵沢~小諸)

野辺山駅に停車中のHIGH RAIL

野辺山駅に停車中の「HIGH RAIL」

2017年夏に登場した比較的新しい列車。高原列車で有名な小海線(山梨県、長野県)を走破する。八ヶ岳、野辺山高原、千曲川、浅間山と車窓を楽しめるのはもちろんのこと、軽食やスイーツセットがオプションで味わえるのが魅力的だ。また、沿線の高原地帯の空気が澄んでいるため星空が楽しめることをアピールし、車内のギャラリー天井に星空映像を投影している。さらに、夜間に運行する列車では、野辺山駅に1時間ほど停車して駅前で星空観測のイベントを行う。こうしたユニークさが評価され、ベスト10入りを果たした。

<関連記事>
「HIGH RAIL 1375」乗車記 空に一番近い観光列車の旅
 

第8位 のと里山里海号 
(のと鉄道、七尾~穴水)

のと里山里海号

「のと里山里海号」

能登観光をアピールするため2015年春に運行を開始した列車。予算も限られる第3セクター鉄道にありながら、車両の改造ではなく、新車を導入したことでやる気を感じさせる。派手さはないけれど、工夫された車内や、アテンダントさんのおもてなしは好感が持てる。
ビュースポット停車

ビュースポット停車

土休日の食事付きコースのほか、平日は気楽に乗れるカジュアルコースもあり、営業努力を評価したい(コロナ禍のため運行日に変更あり。下記のリンク先を参照のこと)。見ごたえたっぷりの七尾湾に沿って走る車窓は、ビュースポット停車が3カ所もあり、アテンダントさんの説明を聞きながらじっくり楽しめる。

<関連サイト>
のと里山里海号 公式サイト
 

第7位 特急 ゆふいんの森
(JR九州 久大本線ほか、博多~由布院など)

由布院駅を発車する「ゆふいんの森」

由布院駅を発車する「ゆふいんの森」

登場して四半世紀。数あるJR九州の観光列車(JR九州ではD&S[デザイン&ストーリー]列車と呼んでいる)の中では歴史ある老舗的列車だ。丸みを帯びたヨーロッパ的なクラシカル調の車体は優雅な感じを漂わせている。木のぬくもりを感じさせる車内は、今でこそありきたりのものだが、デビュー当時は実に斬新で目を見張ったものである。アテンダントさんのおもてなしぶりも旅を上質なものとしてくれる。
「ゆふいんの森」車内

「ゆふいんの森5号」の4号車車内

2017年夏、2020年夏の豪雨被害で、ルート途中にある久大本線の一部区間が不通になり、2017年のかなりの期間は、小倉まわり、日豊本線経由で迂回運転、2020年は、一部区間運休を余儀なくされた。ようやく、2021年3月に復旧し、運転を再開。人気も上々で、一部列車は増結して5両編成で運転されている。また、車内図書コーナー「ゆふ森としょかん」を設置したり、高級なお弁当の限定販売など、魅力向上に努めていることが評価された。

<関連サイト>
特急ゆふいんの森(JR九州の公式サイト)
 

第6位 リゾートしらかみ 
(JR東日本 五能線など、秋田~青森、弘前)

「リゾートしらかみ」青池編成

「リゾートしらかみ」青池編成

2017年4月に運行20周年を迎え、すっかり人気が定着した感のある観光列車で、老舗的存在だ。観光シーズンには1日3往復し、3種類の車両が用いられている。青池編成に続いて、2016年7月にはブナ編成が新しいハイブリッド車両に置き換えられ面目を一新した。
ブナ編成のORAHOカウンター。

ブナ編成のORAHOカウンター。特産品の販売、カウンターでは車窓を楽しみながらの飲食も可能

ブナの愛称をイメージした木製のシンボルツリーを車内に配置し、非日常感を演出したり、カウンターや展望室、イベントスペースもあり車内散策の楽しみがある。

津軽三味線生演奏、津軽弁語りべ実演といった車内でのイベントのほか、能代駅でのバスケットボールシュート、千畳敷駅での海岸散策など停車駅でのユニークな体験もある。列車は特急ではなく快速列車なので、乗車券のほか指定券(530円、閑散期は330円)のみが必要だ。きわめてリーズナブルな列車で、満足度が高くなる。

<関連サイト>
五能線リゾートしらかみの旅 (JR東日本のサイト)

 

第5位 四国まんなか千年ものがたり
(JR四国 土讃線 多度津~大歩危)

四国まんなか千年ものがたり

琴平駅に停車中の「四国まんなか千年ものがたり」

「伊予灘ものがたり」に続くJR四国の本格的観光列車第2弾。特急用ディーゼルカーを改造した3両編成の車両は古民家風の落ち着いたもので、テーブル席やカウンター席が主体だ。
 
大歩危小歩危の渓谷、讃岐山脈の峠越えなど変化に富んだ車窓を眺めながら食事が楽しめるほか、各駅で停車してのイベントなど盛りだくさんの内容で充実している。それでいて、特急グリーン車料金プラス食事代だけで乗車できるので、良心的な価格だと思う。
3号車車内

3号車車内

2018年よりランクが下がったのは、新たな列車の登場、他の列車の得点がアップしたためであって、この列車の魅力が下がったためではない。JR四国では、「ものがたり列車」第3弾として、「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」を2020年7月より、高知~窪川間(土讃線)で運行を始めた。コロナ禍で取材ができていないけれど、注目の列車である。

<関連記事>
観光列車「四国まんなか千年ものがたり」の優雅な旅
<関連サイト>
観光列車「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」 
 

第4位 ろくもん
(しなの鉄道、軽井沢~長野ほか)

「ろくもん」

珍しく黒姫駅に停車中の「ろくもん」

旧信越本線の一部区間を転換した第3セクターしなの鉄道が運行する観光列車。JR九州の数ある観光列車を手掛けた水戸岡鋭治氏がデザインした個性的な車両である。ふすま張りの料亭を思わせる和風個室や開放的なテーブル席、こどもが楽しめる木のプールなど楽しさ一杯で、水戸岡氏が「ろく(6)もん」だから「ななつ(7)星」の次に優れた車両と自信を持って製作したとのことだ。
 
軽井沢~長野間でのレストラン列車としての運行のほか、軽井沢を夕方出発するワイントレイン、JR篠ノ井線に乗り入れて姨捨駅付近での夜景を楽しむナイトクルーズ列車などバラエティに富んだ運行をしていて、リピーターでも楽しめる。軽井沢をはじめ、温泉地やリゾート地が沿線には目白押しなので、「ろくもん」を利用した観光や保養旅行も魅力的である。
「ろくもんクルーズ」のディナー

「ろくもんクルーズ」のディナー

2019年1月には、新たに「北信濃雪見酒プラン」が登場、長野駅から黒姫駅まで北しなの線に乗り入れ、冬の信州の魅力をアピールしている。車内で生演奏を行うなど、新たな試みも行い、高評価につながった。

<関連記事>
水戸岡鋭治の新デザイン観光列車「ろくもん」とは?
 

第3位 JRKYUSHU SWEET TRAIN 「或る列車」
(JR九州 長崎本線、佐世保線、大村線、久大本線など)

大村湾に沿って走る「或る列車」

大村湾に沿って走る「或る列車」

20世紀初頭、当時の九州鉄道に登場したものの、ほとんど活躍することがなかった幻の豪華列車「或る列車」。横浜の原鉄道模型博物館に残る模型を参考に水戸岡鋭治氏がデザインして21世紀の九州に蘇った話題の車両だ。予算などに妥協しないで製作したため「ななつ星in九州」並みの豪華さで、JR九州に数ある「D&S列車」(観光列車)とは一線を画したインテリアが評判だ。
「或る列車」1号車車内

「或る列車」1号車車内

乗車時間は3時間程度で、スイーツを提供するグルメ列車である。年度、季節によって運行ルートが変わるのも魅力のひとつだ。時間的にも予算的にも「ななつ星」はちょっと無理という人は、この列車に乗車することで欲求をある程度まで満たすことができるであろう。

現実とはかけ離れた異次元の夢の世界で過ごせるようにとのコンセプトからか、窓は大きくないので、車窓を楽しむというよりは、車内でのゴージャスな雰囲気を堪能する列車であろう。

「或る列車」の公式サイト
 

第2位 観光特急「しまかぜ」
(近畿日本鉄道、大阪難波~賢島、京都~賢島、近鉄名古屋~賢島)

近鉄名古屋駅を発車した直後の「しまかぜ」

近鉄名古屋駅を発車した直後の「しまかぜ」

様々な車両で特急を運転している近鉄が、その歴史と伝統を踏まえて威信をかけて世に送り出した豪華な観光特急電車である。ハイデッカー車両やビスタカー以来の伝統である2階建て車両も連結し、独自なカラーは最優等列車であることをアピールしている。

本革を使用した白いシートは電動リクライニングを装備し、豪華さをウリにしている。ほかにグループで楽しめるサロン席、和風個室、洋風個室とバラエティに富んでいるほか、カフェカーは、カウンター席とはいえ、ピラフやカレー、うなぎなど温かい食事がとれる。往年の食堂車を彷彿とさせる貴重な存在である。
「しまかぜ」の洋風個室

「しまかぜ」の洋風個室

全てにおいて文句なし、プレミアム感たっぷりなのに、べらぼうに高価ではないところが嬉しい。満点を取れなかった唯一の弱点は車窓の魅力である。大阪線の山越え区間、鳥羽付近の海の情景など見どころもあるものの、平坦な区間も多いのが実情である。車窓を楽しむなら、京都発の列車がおススメだ。そうした弱点はあるものの、見事2位になったのは、他の列車を圧倒するグレードの高い車両ゆえだと思う。

<関連サイト>
観光特急「しまかぜ」公式サイト

 

第1位 「えちごトキめきリゾート雪月花」
(えちごトキめき鉄道 上越妙高~妙高高原~直江津~糸魚川)

妙高高原駅に停車中の「雪月花」

妙高高原駅に停車中の「雪月花」

第3セクターのえちごトキめき鉄道が、2016年4月に運行を開始したリゾート列車。改造車両が多い観光列車にあって、完全な新製車両で、川西康之氏がデザインした。その斬新さが評価され、グッドデザイン賞、ローレル賞をはじめ国内外の賞を数多く受賞している。
1号車車内

1号車車内

地元の旬の食材にこだわったコース料理を味わいながら、妙高山を始めとする山々、田園風景、日本海と変化に富んだ車窓が楽しめる。1つの列車で山と海の両方の車窓が堪能できる列車は他にはない。何カ所か長時間停車があり、二本木駅のスイッチバック体験、直江津駅の駅弁立ち売り、トンネル内にある筒石駅での途中下車体験など多彩なイベントもある。そのほか、駅や車内でのおもてなしも充実していて、あっという間に3時間の旅は終わってしまう。
展望ハイデッキ席でのランチタイム

展望ハイデッキ席でのランチタイム

工夫を凝らした車内も魅力的で、とりわけ2号車の展望ハイデッキ席は、4名以下のプライベート空間として極上の鉄道旅を味わえる。

すべて満点で、堂々の第1位。唯一の欠点は、予約が極めて取りづらいことであろう。 

<関連サイト>
「えちごトキめきリゾート雪月花」公式サイト
 

ランクインした観光列車の点数表を公開!

なお、ランクインした観光列車の項目ごとの点数は以下の通りである。同点の場合は、列車の格(特急や快速)や豪華さが勝るものを上位とした。※すべてガイドの主観に基づいた評価
2021年版ランキング ガイドによる得点表一覧(クリックで画像拡大)

2021年版ランキング ガイドによる得点表一覧(クリックで画像拡大)

2019年ランキングの順位・得点はこうだった

2019年ランキングの順位・得点はこうだった

観光列車ブームは留まるところを知らず、今後も新規の列車が予定されている。もっとも、一番車窓が魅力的な北海道において、会社の経営不振もあって注目を集めるような列車がない。かえすがえすも残念であるが、2020年になって東急電鉄がJR北海道の線路を借り、普段は横浜~伊豆急下田を走っている「THE ROYAL EXPRESS」の車両を使って北海道周遊を行った。2021年も同じルートでの走行を計画している。注目の列車だ。

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