映像が人の心に与える影響は? 悲惨なニュースによるトラウマも
悲しいニュースで、子どもの心が不安定になってしまうことも…
悲惨な出来事を経験して強いショックを受け、心に生じる傷のことを「トラウマ」(心的外傷)と呼びますが、心に影響が出るのは、実際に体験した場合だけに限りません。映像などを通じて、間接的にシーンを目の当たりにすることで、トラウマと同様の心の不安定さが生じてしまうことがあります。
特に子どもは、大人のようにうまくはショックを消化することができません。そのため、子どもが受けたトラウマの影響は大人が想像する以上に大きく、何十年も過去の出来事に苦しめられてしまうこともあるのです。
したがって、子どもにはなるべく悲惨なシーンに触れさせないことも大切です。ほとんどのニュースは大人を対象にしており、悲惨な映像、つらい情報もありのままに報じられますので、子どもが感じる恐怖心を考慮して、適切なケアをする必要があります。
悲惨なシーンの視聴は最小限に……子どもの心を安心させることが大切
緊迫感のある映像を用いたニュース番組を見ることは、現実を知るために貴重な機会になります。しかし、悲惨なシーンは人の目を一瞬でくぎ付けにしてしまうため、映像が流れている間は、大人も子どもも映像から目を離せなくなってしまいがちです。この点を意識して、もし子どもとニュースを見ているときに、幼い心では消化しきれないような悲惨な映像が流れたら、その場ではテレビをオフにすることも大切です。小さな子どもには、暴力的な映像や悲惨な場面の刺激には触れさせないようにすることです。
もし子どもが見た映像におびえてしまった場合、近くにいる大人はしっかりと抱きしめてあげてください。短い映像でも、子どもは大人以上にショックを受けることがあります。できるだけ不安感が心に刻まれないよう、すぐに安心させることが大事です。
「今のテレビはとっても怖かったね。でも大丈夫だから安心して」というように伝えながら、体をやさしくなでてあげてください。これだけでも子どもの心は落ち着き、ショックをやわらげることができます。
子どものテレビやネット視聴時、近くの大人がすべきこと
もう一つ大事なことがあります。それは「ニュースは大人と一緒に観る」ということです。子どもにニュースを見せる場合も、そのままでは理解が難しいことも多いので、感じたことや考えたことを一緒に話すことに意味があります。少し大きくなった子どもの、世の中に対して深く考察する力を伸ばすためにも、大人との語りあいはとても大切なのです。また、キッズ向けのコンテンツをインターネットで利用しているような場合も、できれば大人が見守った状態で、限定的に使用させることが大切です。
大人が近くにいない状態で、一人で悲惨な映像を目にしてしまうと、子どもは恐怖を感じたままどうすることもできなくなってしまいます。
もし日中、幼い子がリビングで一人になるような時間がある場合には、テレビのリモコンを子どもが届かない場所に置いておくと安心です。そして、子どもがある程度成長したら、ニュースの視聴方法を子どもと一緒に決めていきましょう。すると、子ども自身が納得して自分の心を守ることができますし、自分の心を成長させるためのニュースや映像とのつきあい方を考えることもできるようになるでしょう。