Q:年金月額30万円もらえる夫婦の、現役時代の年収はいくら?
「毎月の年金額を、夫婦で30万円ぐらいもらいたい場合、働いている間は、いくらぐらいの年収があればいいでしょうか? 妻の私は、パートで扶養範囲で働きたいです。夫は30歳の会社員です」(パート主婦)年金月額30万円もらえる夫婦の、現役時代の収入はいくら?
A:妻は扶養内で年収106万円未満(月収8万8000円未満)、夫は年収884万円が目安です
相談者は扶養範囲内で、厚生年金に加入せずパートで働いているとのことですので、国民年金の未納金や免除期間がないという前提で、65歳から老齢基礎年金の満額である月額約6万5000円(令和4年度)を受け取れるとします。したがって夫婦で毎月30万円の年金を受け取るには、夫は月額23万5000円受け取る必要があります。夫は令和4年現在で30歳の会社員なので、平成15年4月以後に、20歳から60歳まで40年間、厚生年金に加入したという前提で、23万5000円の年金を受け取れる年収について計算してみましょう。
この場合、夫の老齢基礎年金も令和4年度で満額の約6万5000円を受給できますので、毎月23万5000円の年金を受け取るために、老齢厚生年金は月額17万円(23万5000円-6万5000円)を受け取る必要があります。
老齢厚生年金は、現役世代の収入金額(給与など)と勤続年数によって、次の計算式で計算されます。
(1)平成15年3月までは、平均標準報酬月額×7.5/1000×平成15年3月までの加入期間
(2)平成15年4月以降は、平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年4月以後の加入期間(※)
※スライド率等については省略。乗率は昭和21年4月2日生まれ以降の人の新乗率を使用
夫は平成15年4月以後に厚生年金に入っていることになるので(2)の計算式を使います。なお、ボーナス込みで、40年間の年収の変更は考慮しません。標準報酬月額の上限は65万円、標準報酬賞与額の上限は150万円とします。
老齢厚生年金を月17万円(年額204万円)受け取るための年収を下記の計算式で計算すると、年収の目安は年収884万円(月額73万6696円)です。
●計算式
平均標準報酬額×5.769/1000×480カ月(加入期間)=204万円(年間の厚生年金受給額)
平均標準報酬額=204万円/(5.769/1000×480)≒73万6696円
73万6696円×12カ月≒884万円(年収)
まとめると、夫の生涯平均年収が884万円であれば、65歳から月額約23万5000円受給でき、相談者が年収106万円未満(夫の扶養内)であれば、65歳から約6万5000円受給できます。これで65歳から夫婦で月額は30万円(23万5000円+6万5000円)受け取れることになります。
なお、夫が、配偶者加給年金額が受け取れる要件を満たした場合には、配偶者加給年金額38万8900円(令和4年度、昭和18年4月2日以後生まれの特別加算額を含む)が上乗せされますので、覚えておきましょう。
あくまでも概算でのシミュレーションになりますので、一つの目安としていただければと思います。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
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