お金の悩みを解決!マネープランクリニック/50代以上の家庭のお金悩み相談

50歳主婦、貯金2800万円。コロナ禍で失業、パートを始めたいのですがなかなか採用されません(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、現在求職中という50歳の主婦の方。お子さん2人はすでに独立しているものの、なかなか就職が決まらず、老後に不安を抱いているとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 このままリタイアでも生活費は問題なし

ご相談は、もしこのまま、収入を得られない場合、資金的に老後はどうなるのかということですが、結論から言いますと、可能だと考えます。
 
老後資金は公的年金の不足分を補うことが目的です。ねんきん定期便によれば、公的年金からの受給額は夫婦合計で月24万円とのこと。ぶるるさんが今後厚生年金への加入がないなら、実際の支給額は若干減るはず。そうなると、手取り額で月20万円ほどでしょうか。
 
一方、老後の生活費として月19万円を想定されています。ただし、多少の余裕を見て月20万円としても、普段の生活費についてはほぼ赤字を出さずに済みそうです。ご主人が60歳の定年後、そのままリタイアを希望されているのであれば、年金が受給できるまでの5年間は、生活費を自身で捻出しないといけません。月20万円×12カ月×5年間で1200万円。それとは別に、ボーナスから捻出している支出が年間60万円とすれば、計1500万円を老後資金から取り崩す必要があります。
 
その上で65歳以降も老後資金が十分足りるのであれば、再就職をしなくとも、老後は資金的に問題ないということになるわけです。
 

アドバイス2 今から老後に向けて家計の見直しを

ではまず、ご主人60歳までにいくら老後資金を用意できるでしょうか。

現状では、毎月の貯蓄は3万円。ボーナスからの貯蓄は冬場で15万円、夏場は不明ですが、年間支給額と冬場の支出先から考えて、年間40万円は可能としました。年間の貯蓄は76万円、定年までの7年間で532万円。今ある貯蓄が2800万円、退職金は勤続年数等が不明ですが、手取り2800万円とすれば、合計6100万円ほどが老後資金として用意できることになります。
 
ここから、ご主人65歳までの5年間の生活費、1500万円を差し引きます。また、今後、大きな支出として考えられるものとして、まずクルマの買い替えがあります。これからは軽自動車にするとのことですが、買い替え回数はあと2回ないし3回。予算を400万円とします。あとは住宅のリフォーム。これはその内容によってコストにかなりの差がでますが、一般的な予算として500万円を計上しておきます。
 
結果、前倒しで差し引いているものもありますが、65歳の時点で手元に残るのは3700万円。先に触れたように、生活費が20万円に収まるなら、その後の老後資金の取り崩しはほぼないことになります。
 
ただし、夫が65歳から3年間は年金収入があるのは、夫のみとなりますから、実際はその間、6万円程度、生活費が不足することになります。また、ぶるるさんは国民年金に切り替わっていますから、その保険料がもしこのデータに含まれていないなら、ざっと10年分の保険料コストも計上しなくてはなりません。
 
さらに、現在ボーナスから捻出していたコストがどのくらい抑えられるか、あるいは増えるのか不明ですが、仮に年間30万円とすると、30年間で900万円。これに医療、介護等のための予備費として別途700万円を加算すると、それでもご主人が95歳の時点で、1700万円以上は残るでしょう。
 
老後資金は十分足りるといって問題ありません。
 

アドバイス3 医療費は貯蓄から捻出するという考えでもいい

ただし、この試算は「生活費20万円」という条件付きです。現在の生活費が31万5000円。60歳以降は、住宅ローンの支払いがなくなりますから、22万8000円。しかし、まだあと3万円(生活費が想定されている19万円とすれば4万円)削減しなくはていけません。
 
不安要素としては、60歳になってすぐにその生活に切り替えられるかどうか。できれば、今からその生活を目指して、削減を実践していく。今後数年間は、老後生活に向けての準備期間とも言えます。
 
生活費は、削りやすい部分からが基本。ただ、一般的に見て、ぶるるさんの家計では、食費と光熱費、通信費に削減の余地がありそうです。また、保険については、死亡保障の必要性はありません。ご夫婦で加入されている終身保険は払済保険に。それだけで、月2万8000円支出を削減てきます。

ただし、そうすると医療特約がなくなります。これだけまとまった資金があれば、医療費も保険に頼らず、貯蓄でまかなうという考えでいいとは思いますが、どうしても不安なら、安心料として入院給付金が5000円程度の医療保険か医療共済に加入されてもいいでしょう。月2万3000円が貯蓄に回ります。これだけで280万円近く、老後資金が上積みされることになります。
 
したがって、ぶるるさんが働くとすれば、生活費や老後のためというより、社会とのつながりや生活のメリハリといったメリットを得るため、となるでしょうか。少なくとも無理に働く必要はないと考えます。
 

相談者「ぶるる」さんから寄せられた感想

老後の生活においては、ひとまず安心しました。確かに夫婦二人になったので、食費を抑えること、光熱費は電気のアンペアを1ランク下げ、水道は節水、通信費は更新の際に見直し、月1500円ほど安くなりました。子どもに手がかからなくなったとはいえ、贅沢は敵だなと感じました。あとは、健康でいること。余計な治療費がかからないように、食事や運動など心掛けていきたいと思います。私もこのまま家にいるのも、まだ正直退屈と感じる年なので、短期なり単発なり、わずかでも収入を得られるよう無理のない生活をしていきたいと思います。


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教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
  
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武


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