お金の悩みを解決!マネープランクリニック/シングルマザー・シングルファザーの方のお金悩み相談

54歳シングルマザー、貯金390万円。あと1年半で養育費が終了し、これからの生活資金で悩んでいます(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、あと1年半ほどで子どもの養育費が終了するという54歳の派遣社員の方です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 2年間は現状維持。子どもの卒業と同時に生活の見直しを

現状の家計においても、家賃負担が重く貯蓄が増えない要因となっています。おそらく現在は養育費があり、公営住宅への入居の優先度が低いのではと思われます。本来なら、今すぐにでも家賃の安い郊外などへの引っ越しを考えていただきたいところですが、おかぴさんの勤務先、お子さんの通学を考えると、それも難しいのかもしれません。
 
ひとまず、専門学校を卒業するまでの2年間は現状維持することです。毎月3万円の貯蓄は必ず継続してください。2年間で72万円。今ある金融資産と合わせて462万円。これをできる限りキープしておくことが重要になってきます。
 
1年半後、お子さんが専門学校を卒業。養育費がなくなり、収入は10万円に。当然赤字になってしまいます。そこで、生活費の削減はしなければなりません。また、体調を考慮すれば無理はできないのですが、酷なことを述べますが収入が10万円より増える手立ても考えなければならないでしょう。
 
ここで公営住宅に入居できることが一番ですが、入居できない場合は、引っ越しもやむなしです。少し郊外であれば、5万~6万円の賃貸があるはずです。住居費の削減は必須です。さらに教育費がなくなり、水道光熱費、通信費を削減。これで毎月の支出を18万円程度に抑えることができます。
 

アドバイス2 60歳まで、どのように生活を維持していくのかは収入次第

しかし、収入が10万円のままであれば、不足分は貯蓄からの取り崩しになってしまいます。仮に毎月8万円の不足だとすると、年間で96万円。5年弱で貯蓄は底をついてしまいます。おかぴさんが60歳になるまで、持たないかもしれません。
 
お子さんが卒業後、しばらくは同居とのことですから、生活費の一部を負担してもらうことも検討してみてください。引っ越しして勤務先を変えたり、働き方を変えたりして、収入があと1万円でも2万円でも増えれば、お子さんの負担も少なくてすみます。60歳まで何とか乗り切ることが、現段階での大切なポイントとなります。
 
非常に心苦しいのですが、60歳になったら、老齢基礎年金の繰り上げ受給をしてください。1カ月につき0.5%の減額で、60歳で繰り上げ受給にすると65歳までの5年間で30%の減額になってしまい、その額は生涯変わりません。しかしながら、そうするしか今のところ65歳までの生活の目途が立たないのです。公的年金の繰り上げ受給額で不足する分は、無理のない範囲でパート・アルバイト収入を得てください。

なお、年金の繰り上げ受給は、令和4年4月分から1カ月につき0.4%、60歳からの5年間だと24%の減額に変更になる予定です。
 

アドバイス3 年金の範囲内で収め、手元資金は可能な限り、残しておく

65歳からは離婚に伴う年金分割での年金受給が始まります。具体的な年額がわかりませんが、ご自身の老齢基礎年金と、年金分割分で生活費はまかなうようにしてください。支出をもう一段削減する必要がありますが、年金の範囲で生活するほかありません。具体的な年金受給額は、一度、年金事務所で確認されてください。
 
65歳時点で、実際にどの程度、手元資金が残っているかは、今後の住居費など生活コストをどのくらい下げられるか、おかぴさんの収入が現状維持なのか、少しでも増やせる可能性があるのか、また、お子さんと同居の間は生活費を分け合うことができるのか、ということにかかっています。この先2年の猶予期間に、お子さんとも話をしてみてほしいと思います。
 
最後に、マネープランの範疇からは外れますが、ご実家の相続については、気になります。実家がお姉さま名義になった経緯はわかりませんが、おかぴさんが相続放棄をしていない限り、相続人としての遺留分があります。お姉さまが実家の不動産を相続したのであれば、それに見合った金銭を受け取る正当な権利があります。自治体で行われる無料法律相談などで、一度、弁護士にご相談なさってはいかがでしょうか。
 
無理は禁物で、体をいたわることは大事です。アドバイスでは65歳まで働くことを前提としましたが、無理なようであれば、自治体の社会福祉協議会や区の福祉課へ躊躇することなく相談されてください。公営の住宅への入居の後押しになるかもしれませんし、補助金・助成金の活用、社会保障料の免除など、生活に必要なアドバイスを必ず受けるようにしてください。
 

相談者「おかぴ」さんから寄せられた感想

このたびは貴重なアドバイスをありがとうございました。深野先生の著書や新聞コラムも拝読しており、その先生にご指摘抱けたことで、より現実的に将来を考えるターニングポイントとなりました。家賃減が何よりですが、郊外への転居はやはりできません。公営住宅の応募は続けつつ、今後1年半の間に、さらに収入アップとなる職について派遣先と相談しながら職探しをすることにいたします。家賃以外の家計費のやりくりが指摘されなかったのが意外で、その部分は安心いたしました。近い将来のために気持ちを引き締め、子どもとも話し合いながら、今あるものを減らさずに生活していく所存です。


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教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
  
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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