会社を辞めると再就職などはほぼ無理だと思います

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、コロナ禍により会社が休業して、月収が減ってしまった58歳の会社員女性。このまま早期退職していいのかについて悩んでいます。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料です)

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コロナ禍により会社が休業し収入減になりました

コロナ禍により会社が休業し収入減になりました


■相談者
TOUR EIFFELさん
女性/会社員/58歳
関西/持ち家(マンション)
 
■家族構成
シングル
 
■相談内容(原文ママ)
母が亡くなりました。コロナ禍の中、会社が休業してしまい早期退職に応じるべきかどうか思案しています。減収して手取りが16万円です。昔から預金のほとんどは、個人年金にしており、65歳からの5年間は400万円/年と、おおよそ現在の手取り程度がもらえるようになります。会社を辞めると再就職などはほぼ無理だと思います。年金が始まるまで5年ほどをどうするかというところで迷っております。退職後は、年に2、3回の海外旅行 (予算80万円程度)、習い事、スポーツジム通い、ボランティア活動をするつもりです。マンションの住宅ローンは完済しましたが管理費(駐車場を含む)が発生しています。改装は特に考えていませんが、電化製品の買い替えが必要そうです。改装工事をするならば、500万円程度が必要と見込んでいます。車は、あと5年程度乗るつもり。その後はカーシェアリングにするつもり。

75歳ごろにはマンションから老人ホームへ移ろうと考えています。退職のタイミングは今なのか、それとも2年今の状態でいて、退職時に、コロナが収まっていれば再雇用であと2、3年働くべきか。公的年金は、63歳から、特別老齢厚生年金90万円/年。65歳から老齢厚生年金170万円/年。相続と生命保険でおおよそ1500万円。また、退職金はおおよそ800万円の予定です。
 
アドバイスいただければ幸いです。
 
■家計収支データ
相談者「TOUR EIFFEL」さんの家計収支データ

相談者「TOUR EIFFEL」さんの家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使い道
年払いの保険約50万円、海外旅行30万円、貯蓄20万円
 
(2)家計収支について
会社の休業前の収入は26万円でした。データの支出で残った分を貯蓄としています。現在手取りが10万円マイナスとなっております。普通預金から補填しながら生活をしています。アルバイトを探していますが、なかなか見つかりません。
 
(3)保険について
・終身保険(死亡保障500万円、60歳払い済み))=毎月の保険料1万円
・がん保険(10年保障、以降10年ごと自動更新、入院日額1万5000円、手術給付金20万円)=毎月の保険料5500円
・共済(病気死亡400万円、入院日額4500円)=毎月の保険料2000円
 
(4)個人年金について
【1】外貨建て個人年金保険(60歳から年30万円、5年確定)=110万円払い済み
【2】個人年金保険(60歳まで払込、61歳から年40万円、終身<15年保証>)=年払い保険料12万円
【3】個人年金保険(62歳まで払込、62歳から年156万円、10年確定)=毎月の保険料13万円
※保険料は、投資信託の分配金を振替
【4】外貨建て個人年金保険(60歳まで払込、60歳から年40万円、終身<10年保証>)=年払い保険料48万円
【5】外貨建て個人年金保険(70歳から年25万円、20年確定)=360万円払い済み
 
※外貨建ての個人年金が3本です。元本割の可能性は理解しています。
【4】【5】については、払込総額より受け取り時点のレートが良ければ、一括で受け取ることも考えています。
 
(5)退職について
退職金予定額は60歳まで働いた場合の予定額です。早期退職の割増ありません。現時点での退職だとマイナス50万~60万円程度だと思います。早期退職したい気持ちもありますが、いきなり収入がなくなることとコロナ禍で新しい道に踏み出す不安を感じており、とりあえず今のままでもいいのか迷っております。
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 すぐに退職しても、金銭的に困ることはまったくない
アドバイス2 62歳から収支は黒字になり貯蓄の上乗せが可能
アドバイス3 ゆっくり休んでから、次のことを考えればOK
 

アドバイス1 すぐに退職しても、金銭的に困ることはまったくない

ここまで、しっかりやってこられたと思います。家計も問題ありません。一時的に給与が減ってしまい、不安になる気持ちは理解できますが、現状のまま働き続けても毎月の収支は黒字ですし、金融資産も十分ありますから、何の問題もありません。さらに公的年金、個人年金もありますから、老後はゆとりある生活をおくれるでしょう。
 
仮に、いますぐ、退職した場合、どうなるかを見てみましょう。
 
退職して収入がなくなったら、保険料のみ整理してしまったほうがいいように思います。金融資産があるので、本来、保険は不要です。もし残すとしても共済のみで十分です。ただ、終身保険の払い込みは、あと2年ですから、この時点で払い済にしてもそれほど保障に違いはないでしょう。このまま払い続けても問題ありませんが、残り2年分を前納するという方法もあるでしょう。がん保険はどうしても気になるということであれば継続してください。収入がない期間は、毎月の支出を減らせるものがあれば、検討してみてください。
 
ただ、退職後1年ぐらいは失業給付が受けられますので、その範囲内で収まるよう支出をコントロールできればいいでしょう。会社都合の早期退職であれば、失業給付の待期期間も短くて済みます。
 
ですから、この1年は貯蓄を取り崩すことなく生活ができ、金融資産も退職金の750万円を加えて5250万円。これが59歳時点での貯蓄総額となります。この先、一時的に貯蓄を取り崩すことにはなりますが、60歳以降は、個人年金、公的年金の受け取りが始まりますので、それほど気にされる必要はありません。
 

アドバイス2 62歳から収支は黒字になり貯蓄の上乗せが可能

59歳からの毎月の支出は、保険料がなくなったとすると、およそ11万7000円。年間で140万円です。これに趣味娯楽の費用、固定資産税や国民年金などの支払いで100万円とすると、都合、年間で240万円となります。59歳の1年間は収入がありませんので、240万円は貯蓄から取り崩します。それでも60歳時点で4260万円残っています。
 
60歳からは個人年金の受け取りが始まります。60歳で70万円、61歳で110万円、62歳で266万円、63歳からは特別老齢厚生年金が加わり、356万円、65歳で個人年金の1つが終了しますが、老齢厚生年金の170万円が加わり496万円に。これが69歳まで続きます。
 
この間の年間の支出を240万円のままだとすると、60歳で170万円の不足、61歳で130万円の不足となり、2年間で300万円を貯蓄から取り崩すことになり、残りは約4000万円です、しかしながら、62歳では20万円ほどの黒字、それ以降は120万円、260万円の黒字が続きますから、貯蓄の上乗せができ、70歳時点での金融資産は約5500万円となります。
 
これ以降、個人年金の保証期間が順次終了し、収入は減っていきますが、公的年金だけでも285万円ありますから、ずっと黒字が続くことに変わりはありません。
 
個人年金は外貨建てが3本あり、為替によるリスクも承知されているので、一括で受け取りをするなどの判断で、資産の動きは変わりますが、基本的には、年間収支が赤字になるのは、最初の数年のみで、それ以降は、貯蓄が増え続けるということです。
 
ですから、このまま働き続けてもいいし、いますぐやめても、何ら問題はありません。
 

アドバイス3 ゆっくり休んでから、次のことを考えればOK

コロナ禍で会社が休業、給与の減額ばかりか、お母さまも亡くなられ、精神的にキツイ状況であろうかとお察しします。社会的なつながりは、今後も何らかの形で維持されたほうがいいと思いますが、金銭的には問題ありませんので、いったんここで区切りをつけ、少しの間、ゆっくりされてもいいのではないでしょうか。
 
退職後は、旅行や習い事、スポーツジム、ボランティア活動と、アクティブに生活されるとのことですから、余計な心配ではありますが、家に引きこもることなく、大いに楽しんで休養してください。
 
今後の大きな支出は、家のメンテナンス費用だと思いますが、500万円など予算を決めて、その範囲内でリフォームしていけばいいでしょう。家電製品の買い換えも問題ありません。
 
最終的には、高齢者施設への転居もお考えのようですから、マンションの売却も含め、いろいろ検討してみてください。さまざまなタイプの施設がありますから、全国各地の高齢者施設の見学を兼ねて、旅行をしてもいいかもしれませんね。
 
ある程度、費用の目途がわかれば、海外旅行や、そのほかの楽しみのための支出を抑える必要もなくなるでしょう。この先の収入と支出を1年ごとに書き出し、75歳時点でどのくらい金融資産が残るのか、一度やってみてください。きっと安心できる結果になると思いますよ。
 

相談者「TOUR EIFFEL」さんから寄せられた感想

アドバイスをいただき安心いたしました。ただ、現在のコロナの状況が収まるまでは、退職してもしなくてもstay at homeの日々が続くことになり、先が見えないままで別の不安があります。いずれにしても、金銭的な不安がないことを再確認できましたので御礼申し上げます。


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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
  
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子



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